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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

633隊長:2012/06/07(木) 04:25:47
『こちらジャック!聞こえるか!?』
突然のキンキン声が通信ノイズと交ざり耳を突いた。
その五月蝿い雑音が応答を求めるたびにノイズは大きくなり、声から判断する能天気な若者が自身の通信機の不調を疑い始めた頃、少女が怒鳴り散すに充分な怒りを溜め込ませた。
「通信機の回線を見直そうとも思わんのか!貴様ァっ!!」
ぎりりと聞こえる少女の歯軋りに、同じ回線に繋いでいたマリーはコレはまだ続くのだろうと少女の怒号を聞いていた。
さんざっぱら言葉で蹴散らした若者ジャックに、次やったらホントに蹴散らすぞ?と釘を刺す少女。
やっとこ本題へ移れるとなると、ジャックは少ぅし控えめながらに言葉を並べはじめる。
『こっちの区画はあと10分もすれば避難完了だ。漏れも今の所はなしだな、それよりもじいさんの所が遅れてるらしい』
「オールドマンの区画か、あっちは隘路ばかりだからな」
その返答と共に目の前の光学画面に行路補足や別経路案が書き加えられた地図を展開する。
バツ印のない道に幾つかの線を加えてその情報をどこかへと転送する少女。相手のどうする?という言葉に
「余裕があるなら行ってやれ、この三人で一番脚が早いのはお前だろう」
と返す。ジャックからは了解だ、の軽快な返事。
五月蝿い相手の厄介払いが終わるや少女は空いていた手をぶらぶら、それから操縦桿を力強く握り機械仕掛けの人型重機、ACの脚を働かせた。
今度見上げる空はACの瞳を解してのもの、浮かぶ雲の大きさが変わらないのは、アレに比べればこの重機も小さいものだからだろう。
『あとどれくらいでしょうか』
静かに囁くマリーの声、同時に友軍機の信号を表示する熱源の接近。
重厚な装甲を身に纏う2本脚の厳ついAC、レディ・レッドが音と揺れを連れて少女の乗るACの近くに脚を付けた。
5時間程度だろう、と4本脚とレディ・レッドに負けぬ装甲を持つACアイオブカースは通信に少女の声を乗せてマリーの方を向く。
「内陸は弾の雨ばかりだ。それに比べれば微量な汚染を運ぶ嵐くらい、どうってことない、だろう?」
『それでも、避難が必要であるくらいには危険ですけれど……』
つまらん答えだ。彼女の呟きをACの歩行音が掻き消した。


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