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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

624隊長:2011/11/21(月) 15:34:15

「盾の本質」


薄暗がりにポツポツと浮かぶ電子画面の明り、明りに照らされるスーツを着込んだお偉方はがどうにも騒がしい。
部下の手から引っ手繰った受話器に耳を傾け汗水拭って言葉を選ぶ。与えられた指示に従いいそいそと走っていく部下を心配そうに見送りながら次に何をすべきか顔を覆った。
指の隙間から覗いた目は今に気狂いしそうな程困惑と動揺がちらついていた。
無様にも戸惑うだけのお偉方の姿をモニターを介し全てを把握できたのだが、むしろ困惑するのはコチラの方だ。何時もなら対面を気にするであろう彼等スーツの人間が今や仕草を隠そうともしない。
コチラへと繋がるモニターに青ざめた顔を向けられた時、それよりもずっと前からだが、事態の殆どを予測できた。

「火星のレイヴンによる掌握が失敗した…」

予測なんて存外に容易い。できることなら当たってくれなければよかった。
地球から約2500万kmの距離、火星へ繋がる軌道エレベーターのレールの上。太陽の光が当たって白いレールが
浮かび上がる黒い宇宙の中に私という赤い盾は居る。

「レイヴンハングマン…君だけが頼りだ」

地球を背負った重みが、重装AC戒世から操縦する私の足へと伝わる。とてもじゃないが耐えられそうになかった。
コックピットチェアを突き抜け、機体をも貫き、そのままこの宇宙に投げ出されそうな感覚。不思議と表面にはでてこないが此処まで重荷だったとは思いもよらなかった。
視線の先には赤い星、火星。

あそこから、弾丸となり加速するエレベーターが地球を目指しここを通る。


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