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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

613隊長:2011/11/06(日) 13:45:16

―― 彼女から見れば、君は誇れる人だったと
―― 私から見れば、君は才のある烏だったと
―― 企業達から見れば、君は強い獣だったと言えばよろこぶだろうか?


「それじゃあ、屋上に連れて行ってくれ」
ラストレイヴンのその言葉を聞き少女は扉を抜けてフロア奥の階段に、それに遅れないよう男も後に続いた。
薄暗い階段を壁に開いた穴から漏れる光が微かに照らす。
先を行く少女が鉄製の扉を開き、錆の軋みが響くのがわかる。
男が最後の段を踏んだとき、開いた扉の向こう、快晴の青空を背にこちらを見やる少女が。
流れ込む風に髪を揺らしながら、ラストレイヴンは少女の近くに寄った。

「何度もしつこいかも知れない、だがこれで最後だ。……いいんだな?君が背負うには大きすぎるし、無理に背負うことのない名なんだ。彼は何度も膝を付き敗れたことがある、しかし、本当に強かったのも事実だからな」

うん、と少女は頷きながら自分よりも高い背の男を見上げる。
その時の瞳は幼さの中に力強さ、それはまるで誰かさんを彷彿とさせる、そうレイヴンが笑いそうになったとき。
目の前の少女は続けて口を開いた。

「前になまえ聞かれたことあって、そのときにわたしは昔を思い出すからいやだって言って泣いちゃって………そしたらあの人が……あの人がなまえ、考えておくって言って、さいごにこのなまえくれた……もらってばっかりのわたしからせめて、このなまえに与えたい」

今にも泣きそうな少女は唇を噛み締める。
肩を震わせながらも深呼吸、そして彼女は眼前の、風に揺れる帽子を押さえるラストレイヴンの瞳に睨み込む。

「特別を超える!烏で在ることをっ!!」


やめておこう、その子はもうこの世にいない ――


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