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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

583隊長:2011/11/06(日) 13:32:46
それから少しして、何故企業に見つかり回収されなかったか、最後に生き残ったのは誰か、街を放浪しながら一般の端末を使い調べた。最中、無意識から忍び寄る狂気を酒と煙草で誤魔化しながら。
古代兵器に関する情報への規制と調査部隊の派遣断念の決定、それらはアライアンス分裂後の復興作業と世論からなる各企業合意の判断。臭い物には蓋、触らぬ神に祟りなしとはこのことだ。
そして―――

〝どの企業すら持て余すラストレイヴンの存在〟

「私やジャック、ましてやあの女ですら…こいつの前では駄目だったのか……」
この感覚は何度目だろう、男にとっては二度と味わいたくもないこの感覚。絶望という底のない穴に突き落とされ、側面の壁に打たれながら闇の中に消えていく。
そしてその穴の中で闇から伸びた手に拾われ、嘲笑い楽しむかの様に落としてはまた拾われる。
何も出来ずに打ちのめされ、女の前で膝を付き、その上望んで受け入れた絶望の力すら名も知らぬ男を前に砕かれ散った。
そして無様にもその力で生を取り戻し、知らぬ間に流れていた時間の中で自身は消えていったのだ。


それは酒に溺れ、気力を失いながらもただ生きていく今にも引き継がれていた。
「何も…なかった、私には………何もっ……!強さも、才能も、安いプライドすらも守れず!誇れるものなどひとつも!!」
路地の隙間に積み上げられたゴミの山の陰、浴びる様に酒を飲んでは喉への負担など気にも留めずに叫んだ。狂気に襲われては繰り返す、今この男にとっての全てはコレだ。
だが今夜の疼きは何時ものソレとは違った、わかってはいた男自身、日に日にこの感覚が強くなるのを。酒や煙草では抑えきれない、忘れきれないことを。
無様な記憶、無様な体(てい)が拍車かける男の中の狂気は膨れ上がり青とは別に蝕む孤独か、その中でふとあの娘の顔を、言葉を思い出した。

温かいもの……今、叶った

温かい?あのハンカチが?私の行いが?男にはわからなかった。だが、今そんなことどうでも良い。彼女の言葉を思い出した時確かに忘れられた。
この痛みを、感覚を、絶望、孤独……狂気、なんでも良い、これの呼び名など!そう繰り返す頭は男の身体を突き動かした。足は自然と路地を抜け、あの人通りのない街外れへと。


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