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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

509隊長:2011/10/19(水) 14:20:21
何者で在れなくとも、何も無くても構わない
こんな抜け殻みたいなざまの私を見て、同じ瞳の少女は歩み寄ってくれた
類は友をと言うのか、一緒に堕ちていくとばかり思っていた
だが、あの子は泣いてくれた、笑ってくれた、優しく、温かかった
同じにしてはならないと、教えてやりたかった
だから、今更自分がどうであろうと、構わない
やっと気付けたことに、手が届く気がするから…―――

「…とさ」

レイヴンは雨水に顔を打たせた。
汗と疲れは憂色を残し流されていく、それと同時に嗚呼の声。
彼のACの装甲に響く雨音と一緒に叩くのはブーツ、伸ばした手で引く緊急用のレバーは頭部パーツの強制分離機能。
固定ボルトの雷管に点火、指向性爆薬の起爆と同時に支えのなくなった頭部はコアの上で転がりレイヴンはそれを蹴り落とす。
ボルトの爆発以前に酷く歪み破損して、原型を失っていたそれは数メートル下へと落ちていく。

『…勝てたのね』

レイヴンの語らいに耳を傾けていたシーラは、彼のヘッドセットへと言葉を。
まぁな、と寂しげの呟きに彼女はトドメを刺せたかどうか、そんな野暮なことを聞くことはできなかった。

「俺から言わせれば…高望みでもしてんのか、どれにでも、そう在ることはできていたと思うがな」

生真面目なのか、考えすぎなのか。そう口走るレイヴンの顔にもどこか幼さが。
同じ子供、そう思っていたエヴァンジェが、今の彼からはとても大きく見えていたから。

「周りの意じゃない、本人がそう思っている以上、何も変わらないのさ…結局」


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