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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
495
:
隊長
:2011/10/10(月) 16:35:30
〝あの頃<死ぬ前>〟の自分にこんな感情はなかった。
此処いるのはやはり、獣が模しただけのまったく別な存在なのだろうか。だからこんなにも温かいのか。だからこんなにも胸が苦しいのか。
今こうして感じている人間の様な感情すら粒子の思考でしか、0と1でしか、もっと高度なものなのか単純なものなのか。
ただ、そういったものでしかないのか。
ふと思い出す幼少期、人として扱われなかった自分、父と母の顔よりも深く刻まれたのは双方から受けた暴力の痛みだった。
人として扱われなかったが故に男は自分を捻じ曲げた、何が神託<オラクル>、何が選ばれた者なのか。
それは特別<ドミナント>を前に簡単に砕かれ、安いプライドすら残らない。
そして闇に堕ち、目覚めてから拠り所を見つけ、そこで初めて気付いてしまった。
獣になる前の、以前の自分はなんとも醜くひ弱な存在だったのだろう、と。
人として未完成で、烏として不恰好で、獣となった今あまりにも眩しい。
それが悔しかった。
そして恨めしかった。
何よりも ―――
「わからない、………わからないんだっ。自分が何なのか、どうすれば良いのか、どうしてやれるのかが!」
椅子から崩れ、膝を付く男はぐいと抱き寄せた少女の胸に泣いた。
少女の近くに居ると、男の心は温かく、それが獣であるが故と考えてしまうと、どうしようもなく涙が溢れてくる。
男がどこか、端で望むように。
自身が人で在れたならば、もしくは烏で在ったとき、この温もりをもっと早く、知り、感じたかった。
そう願うのは贅沢なのだろうか。
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