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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

488隊長:2011/10/04(火) 20:10:31
仇討ちをしたと言えばよろこぶだろうか?

シャツの胸ポケットから煙草を、コートのポケットからオイル式ライターを、緊張に腕が震えた。火打ち石が上手く噛み合わない。
さり気無く歩み寄るつもりだったが足が縺れて転びそうだ、落ち着け、この娘のために色々と準備しただろう。そう自分の頭に渇を入れながらようやく点った炙り火に煙草の先を近づける。
彼女がこちらを見ているのに気付くと出かけた言葉が喉に詰まる、ただでさへ高い体温が更に上がってしまいそうだった。
首を横に振り脇道にそれた思考を正す。咥えた煙草を指に持ち煙と一緒に言葉を吐き出した。
「スープを作りすぎてしまたんだが…一緒にどうだ?」
無礼を詫びる意味も含めた言葉にも関わらず、震える舌に言葉を噛み誤った。そんな自分に情けなさすら覚える。
今すぐにでも言い直したい衝動を下唇を噛むことで抑え、返答を待つ。少女は言葉を返してくれるだろうか?余計な考えが頭の中を支配しないようそれだけを考え待った。
だが、声は聞こえない。額や鼻に嫌な汗が浮かぶような感覚。永い、今この瞬間がすごく永く感じられる。やはり素直に謝るべきだろうか?そうこうとしている内に危惧していたように余計な考えが男の頭を支配しかけていた頃、少女は口を開いた。
「また…痛いことする?」
少女は頬に、その下の布切れに、ぽろぽろと涙を零していた。
男の胸に稲妻のような感覚が、今すぐにでもこの心臓を抜き取ってしまいたいと思う程の痛みとなって駆け巡る。少女が持っているであろう銃で、この頭を撃ち抜かれればどれだけラクだろうか、少女に願ってでもそうして貰いたかった。
「絶対にしない…!誓おう!」
近寄った男のコートの端を掴み、少女は顔を埋めながら泣いていた。男も釣られて涙を流す。
この娘にどう接してやれば、私の胸の内の痛みは和らぐだろうか?この娘にも同じ痛みがあるならそれはどう和らげてやれるだろうか?痛烈に胸を打つ鼓動感じながら、男は考えた。だが、今の男には到底わからないだろう。不器用な男は泣きじゃくる少女の頭に手を置いた。
「スープ…飲むか?」
泣きながら少女は頷き、男もまたしゃくり上げながら少女を優しく抱き寄せた。

やめておこう、この子にはこれ以上…汚れを見せずにいたい ―――


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