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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
463
:
隊長
:2011/03/16(水) 15:01:57
「イィィレェェギュゥゥゥラァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!」
膝は折れたままで良い、その場に留まるだけで良い、私は君を待っていた。
敗者に近づく勝者である君を。私は叫んだ、背負うガトリングの爆音に負けぬ程。君のあだ名を叫んでやった。
風に舞う砂すらも焼き、吐き出される排莢の山をも崩す程の威力を持つガトリングが牙となって。
油断した君を、穴だらけにしてくれる。そう、敗者となることも私の持つ役割の、プランの内の、道程のひとつなのだから。
だから最後に、私は君を殺そう。敗者のままで良い、勝者でなくて良い、無様なやり方で、残酷なやり方で。
イレギュラー、君の息の根を止めよう。
―――砂に身を任せた。
ガトリングの対機動兵器用スクリーン干渉弾頭が空を切った。昔見た映画を思い出す。
砂嵐は海、私は魔法使い、海を半分に割ってみせたのだ。
そこに彼の姿がないと気付くのに遅れたのは歳のせいだろう。私の機体はとうとう黒煙を上げた。
機体の損傷を考慮せずガトリングを乱射したのもそうだが、なにより、彼のライフルが私のACの装甲にトドメの一撃を加えたことこそ大きな理由。
クラインよりも永い付き合いのACは砂の上に倒れる。
ボロボロなのは私と一緒だ、血が、オイルが止まることを忘れたようだ。
私はようやく、砂にゆっくりと身を任せたのだ。
悔しいが、障害となるに充分な腕の男をレイヴンとして見送ってしまったな。
「…クライン」
これが最後というのも、悪くないのかもしれない。
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