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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

452隊長:2010/11/08(月) 11:34:18

「コイルに軋む砂嵐」


『5カウント、4…3…2…1……AC投下』
外部接続アンカーが取り外され、ロックボルトの解除音が夜空の中に消えた。
垂直降下する人型兵器の影に砂嵐が紛れ込む。ざらついた質感の風に機体のコイルが軋むのを感じる。
操縦桿には何時もと変わらぬ重み、首筋の神経接続部から髄液が一粒零れ落ちるのがなんとも不愉快だ…と男は心の内に毒吐いた。
横風をものともせず頭から垂直に落ちていくAC、コックピットの中の浮遊感に胃が浮つくような感覚は慣れていた。
『そろそろ敵部隊の索敵範囲内です。レイヴン、ACを垂直降下体勢からフラットに切り換えてください』
ヘッドセットから女性の声が響くのと同じくらいにコックピットの画面端には地上の様子を映した衛星からの映像。
その横を高度メーターがキリキリとメモリを変える。コックピット内に並ぶ電子画面は男の視覚からあらゆる情報を脳に伝えようと点滅するのだ。
「降下体勢を維持しそのまま部隊に突っ込む、目標はあくまで大型索敵機及びその周辺の基地、設備の破壊
 雑魚に構うのは好きじゃあない」
『仰る通りですがこの体制ではスクリーン展開率が前面のみの出力60%、数発の被弾でバランス制御に問題が生じます。無茶では――』
「ないな、信用しろとは言わんが私を過小評価するのも良い気がしない」
雲を抜けた。ACに絡まる雲の尾も千切れ地表のレーダー基地の明りに装甲が輝く。
ACのコアを中心に、関節が装甲に格納され空気抵抗減らすため後方に伸ばされた脚部は各部が折畳まれコンパクトになっているのがわかる。
腕部一体型兵装は前方に展開されその間にある頭部は半ばコアに埋まった状態となる。
この状態が彼等の言う降下体勢のようだ。横から見れば戦闘機と見間違うようなフォルムはACであることを疑う代物だった。
地表から迫り来る光点の連続、光の柱と言えば聞こえは良いが実際は鉛弾の飛礫。
数発の被弾がレイヴンにとって嬉しいことではない、男が操縦桿に微妙な力加減を加えることで各部に付いた小型のブースターと装甲の一部が
小刻みに動きその降下軌道を変える。何百という光の粒が風に混じる砂を蹴散らすのを見ながら近くをかすめる弾だけをきように避けてみせた。
「OB展開。一気に加速、接敵する」
背中の装甲板が展開すると同時に脚部が大型出力に干渉しないようその位置を斜め下へと可動。
『ここから先は砂嵐と妨害電磁網で通信不可領域です、〝コープスペッカー〟幸運を――』
オペレーターの声がかすれ途絶えた。
ACは後部から発した膨大なエネルギーと共に急加速、速度をマッハまで一気に持って行き地上へと接近する。


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