したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

449隊長:2010/10/10(日) 03:01:24

「究極の騎士は愛に生きた」


広大な敷地、見下ろせばそこが巨大な屋敷を中心に広がる見事な庭園だということに気付く。
そんな庭園の一角、頭上を埋める夜空の星明かりに見惚れる男が一人いた。
黒が基調のダンスドレスには装飾なのか腰にはロングソード、下地のフリルが目立つものの、男は見事にその珍妙なドレスを着飾っている。気品ある顔立ちが理由だと言えよう。
手に持ったグラスには映り込む月ですらその色を変える琥珀色の酒が甘い香りを漂わせる。しかし男にはそれすらも魅力ではなく、思いに耽るような憂いた眼差しで夜空を見上げていた。
「そんなに見つめては月も顔を紅く染めてしまいますわ、御兄様」
男の背後から少女は囁いた、歳相応の甘い声だ。
男もしばし月から目を逸らし、後に立つ聞きなれた声の少女を歓迎することにした。
「ルデッタ、12歳の誕生日…貴女に祝いの言葉を送りましょう。その月が顔を紅くするのなら、それは今宵ドレスに包まれ一段と美しくなった貴女が居るからこそ」
男は自分を兄と呼ぶ少女に会釈するとそう言った。純白のドレスに身を包み年頃にしては少し背伸び気味の化粧が見れる少女は頬を赤らめた。
男は少女に微笑むと、グラスの酒を気持ち程度にあおる。
「御兄様は私と居るとすぐに優しくなってしまわれる。胸の内に百獣王の魂を宿す勇猛果敢な騎士もどこ吹く風…」
「如何に猛々しい獣王も美しい姫君の前では首を鳴らして猫のよう…貴女を前にするとある賢者がそう言っていたのも理解できるというものです」
「幾ら言葉で持ち上げようと、褒美が出るわけではありません」
「幾千万の星ですら霞んで見える美しい女性が近くに居ること以外に、何が褒美と言えましょう」
「もう、御兄様に言葉では敵いませんわ」
そう言ってルデッタは紅い頬をそのままに照れくさそうに微笑む。
そのまま歩み寄ってくる少女に男も同じように笑ってみせた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板