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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

444隊長:2010/10/06(水) 01:03:40
『実験体の接続が完了しました、プロジェクトゲシュペンストを再開します』
薄暗い格納庫内にこだまするアナウンス、ACのコアだけが吊り下げられた固定台から研究員が離れていく。
その様子を離れた場所に設置されたモニタールームから監視する技術者連中と先程のスーツの男、画面を確認しながら記録を取る白衣の集団を横目にスーツの男は強化ガラス越しにACのコアを睨みつけている。
「どうなんだ?状況は」
ネクタイを結び直しながら男は聞いた。隣に立っている白衣の女性は自分に向けられた言葉だと理解しこう答える。
「今の所順調、彼女とAIの同化率が6割を超えたわ。7割を超えればこの研究では及第点、8割を超えた状態で精神に異常がなければAIの商品化は目前かしらね、肉体を必要とせず尚且つ休む必要もない、AIのみでは不可能な操作系統を人間の思考と同化させることで実現するまさに名の通りのAIでありパイロット、亡霊ね」
それを聞いた男は嫌味ったらしく鼻で笑ってみせる。
「精神に異常がなければ?今のどこが正常だってんだ、部屋にいる時は薬で動けなくされて、あんなちっこい身体で大人を簡単にひねり殺せる。しかも次の週には忘れて平気な顔して笑ってみせてるのが正常か?笑わせんなよゲス共」
「別に、自分を認識できるか否かが判断基準なのだから道徳的観念は必要ないわ。それよりも貴方…ロリータコンプレックスなの?この世界で子供のことを気にするのなんて馬鹿かソレの二択じゃなくて?人の性癖をとやかく言うつもりはないけど、仕事に影響がでない範囲で頼みたいものね」
噛み付き返された男はせっかく結び直したネクタイをもぎ取るように解き、八つ当たりする勢いで扉を開ける。
「実験途中よ?どこへ行くの」
「煙草だよクソ女」

――実験用AC X-025A-1Jコア内部――

格納庫よりも更に暗い吊らされたコアのコックピットで、彼女は眠るように静かに息をしている。今回は投薬が原因ではなくACとの神経接続のせいだ。彼女は今夢の中にいるような感覚に陥っている。
「こんな実験嫌だ…こんな実験嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤだいやだいやだいやだいやだ………」
脳内に流れ込んでくる膨大な量の情報が自動的に処理され彼女の身体は人ではなくなっていく感覚を憶える。自分でそれをどうすることもできず、ただうずくまり否定することでその処理される情報量を抑えるだけだった。
「身体を取らないでもっていかないで私をこわさないで…」


「同化率は6割から変化なし、実験はもう少し掛かりそうですね」
モニターを見つめていた技術者の一人がメガネを外し疲れた目を目蓋の上からほぐしながら言い、クソ女と罵倒された白衣の女性は人差し指で頬を軽く叩きながら答える。
「確か〝X-025A-2J〟が実戦訓練用にあったわね?あれを今晩中にフル装備で用意して、今日の実験はこの位にして明日実戦訓練を試しましょう」
「6割の時点で実戦ですか…?了解、整備班に連絡します」
「そうよね、まだ子供だもの。遊んで学ぶ…存分に暴れさせれば存外効果が期待できそうじゃない?」
女性はお世辞にも美しいとは言えぬ笑みを浮かべながら部屋を後にする。格納庫を出る際、薬を打たれまたも死んだような状態でコアから引っ張り出された少女を目にし、得意気にメガネ光らせた。


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