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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

438LO隊長:2010/06/12(土) 19:25:37

「妄想添加物〝マグマスピリット〟」


薄暗い廊下は酷く冷たく、吹き抜ける風に温さを感じる程だ。
それは彼女が寒がりなせいかもしれないが。
時々点滅する天井のライトが照らす下、ベンチに腰掛ける10歳位の女の子。
季節外れのホットコーヒーに、燃えるような赤毛が印象的。
肉付きの良いしなやかな身体、その柔肌の所々にラバー素材のようなパイロットスーツを食いこませている。
彼女はアリーナで戦うレイヴン、決して誉められた戦績ではない下位ランカー。
今は彼女にとって大切な反省会の時間であり、少し前の対戦を思い出す苦手な時間でもあった。
先も言ったように、誉められた戦績ではない彼女。
その理由は戦いのコンセプトにあった。
相手に背を向けることなく、ひたすらに特攻。
立派な心掛けではあるが、その戦法で押し切れる程の技量が彼女にはなく。
殺られる前に殺れる程、高い性能の機体も武器も持ち合わせてはいなかった。
「もっと戦術的に動かして…いやいや、私の操縦技術じゃぁ付け焼刃だ。兵装一新する資金もないし…」
呟きが虚しく廊下にこだまする。
真剣に考察し、自身の欠点や僅かな長所を把握。それらをどう埋めてどう生かすかを考える下位ランカーは珍しい。
よほど愚直な性格なのだろう。故に、彼女は気付いていなかった。
今この廊下、それも腰掛けているベンチのすぐ傍に、もう一人のレイヴンがいることを。
「資金なら、俺が出してもいいぞ…」
突然聞こえた声に彼女が驚くのは当たり前だ。
持っていた缶コーヒーを落とし、呟く自分を見られたと理解した彼女は顔を耳まで真っ赤にしている。
動揺していたせいで相手が誰なのかもわからず、意味不明な言い訳を口からボロボロと垂れ流す。
おかげで、ようやく平常心を取り戻し相手の顔を認識した時に再度同じこと繰り返すはめになったのだ。
「あばっああぁああなた、貴方は…トップランカーの!!」

そこにレイヴンは居た。


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