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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

437LO隊長:2010/05/27(木) 14:50:30
翌日、アリーナに人だかりが見えた。一般客ではない、席に座る者全員がランカーだった。
何故なら、期待の新人のテストを兼ねた模擬戦にトップランカーが志願したからだ。
戦闘前に両者パイロットが顔合わせる。
「まさかトップランカーに模擬戦を手伝って頂けるなんて、光栄です」
「それはよかった」
男は顔を大きく歪め不気味な笑みを作った。
新人は戦慄した。
開始5分、新人レイヴンの機体は煙を上げ機能停止していた。
観客であるランカー達はまぁそうだろうなと予想通りの結果に笑っている。
観客席の一部をサブカメラでズームする男、そこには満足そうに鼻で笑う少女、ヴァッハフントが居た。
男は反り返った。
模擬戦終了後、男は自販機の前で何を飲もうか悩んでいる。
彼の頭の中に新人に対する申し訳なさなど微塵もなく、ヴァッハフントの笑みを肴に何を飲もうか決めあぐねることだけが詰まっていた。
が突然、横から伸びた細い指が一番下の段のサイダーを押す。
男が驚いて横を向くとヴァッハフントが飲み物を取り出していたのだ。
男は二度驚いた。
「いやぁ気分が晴れたよ、しかしトップランカーは物好きか奇特な奴が多いのかな?」
「………や、やぁヴァッハフント…」
「普通新人レイヴンをあそこまでボコボコにゃしないよ、でもまぁ、昨日さんざアイツにやられたからさ、なんとなくありがとさん」
にっこり作ったヴァッハフントの笑顔、口の端の笑窪と八重歯が堪らない。
男は少し前屈みになった。
「私このサイダー好きなんだけどいつも残すんだよね、量が多くてさ。よかったら飲みかけだけど飲む?」
「い………いただきます…!」
「サイダーごちそうさん、あとなんかあれば言ってよ。サイダー分くらいは礼をするから」
男は考えた、一世一隅のチャンスを無駄にするまいと。
「じゃぁ!…にゃ〜って言ってくれっ!!」
「?いいけど、…にゃぁ〜。はいサイダー分ちゃらだね」
ヴァッハフントは廊下の突き当たりまで行くと見えなくなった。
男は選択を誤った。しかし彼は今、非常に満足している。
レイヴン齢32歳での事である。


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