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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
434
:
LO隊長
:2010/05/09(日) 22:22:46
フィル爺へ
これを読んでる頃には、俺は多分もういないと思う。
なんかこういうのって映画みたいでちょっと興奮するな。一人で書いてるのに凄くドキドキしてきたよ。
まぁこういう手紙を書いておくからには格好良く死んでみてぇな。な〜んて、冗談。
フィル爺とリオちゃんが楽できるまで死んでも死に切れねぇっての!
そうだ、本件はアレだ。
俺が死んだらさ、貯金と俺に掛けてある生命保険がフィル爺の講座に振り込まれるようになってんだ。
つっても額が額だから結構な金額引かれちゃうみたいだけど、この歳になっても税ってのが納得いかねぇな!まったく。
それでも、二人が安心して食ってけるくらいはあるからよ!心配すんな。
面倒な手続きとかは、コレ渡しにきた獅子王さんがやってくれるみたい、どうよ?美人だったろぉ?
リオちゃんのドレスもさ、獅子王さんに選んでもらったのよ。俺じゃぁ何が可愛いとかわからんからさ。
ちなみに只今猛烈アタック中です。惚れたからって告るなよ?歳考えろっての!
リオちゃんによろしく〜
レイ
「…プッククク、クハハハハハハハハ!これが遺書かぁ?まったく書くこと選べってんだ!しっかしコレは…クク、クハ傑作だなコリャ…
歳を考えるのはお前さんの方だろう…まったく……馬鹿野郎め…ほんっとうの大馬鹿者め………」
フィルは涙を流しながらも、まるで子供のように笑っていた。
アイツらしい、そういいながら遺書に目を通す度に腹を抱えたのだ。
「おじいちゃん、どうしたの?…泣いてるの?」
店から出てきたリオに気付き、シャツの袖で涙を拭ってから飛び切り笑顔で笑って見せた。
「まっさか、あんまりに面白くてな、つい笑ってしまったのよ!」
「アハハ、へんなの〜」
リオもまたフィルに笑ってみせた。
二人は空を見上げる、雲だけが形を変えるあの変哲のない空。
あの青空の向こうの飛行機雲があった場所を、日が落ちるまでいつまでも。
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