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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

432LO隊長:2010/05/09(日) 22:22:02
一撃目。プラズマトーチが肉を切り裂くナイフのように装甲を抜けていく。
高鳴るアラームの音色も忘れボンヤリと頭に少女が映った。
まるで眩しく光り輝く宝石を敷き詰めた絨毯のような草原の上を駆けて行く少女、手に古びた本を抱え
回りの光景も色あせるような笑顔をしている。

二撃目。腕と足に一瞬だが熱さと痛みを感じた。その次にはコアの前半分が空の向こうへと落ちていくのが見える。
よく見れば手足が見当たらない。一緒に向こうの方へと落ちていったのだろう。
遮るものがなくなり風が身体を包む、涼しかった。ヘルメットがなければもっと良い気分になれただろう。
その風の向こう、草原を走り回る少女に優しい瞳を向ける老人が見えた。
心地良い風に椅子を揺らし、口に咥える煙草から煙を燻らせていた。

三撃目。横半分に両断されたようだ。
落ちていく中でそのバランスをなくした如来を打ちのめすように大気の壁が全体を揺らす。
開いたコアの前から見える景色はグルグルと姿を変え、なんとも言い表せない気分の悪さになる。
崩れ落ちていく如来はそこかしこから破片を放り投げて、ゆっくりと自身を削っていく。
少女と老人が見える。
二人はコチラに気付くと、少女はその場で崩れ落ち、大きな瞳からぼろぼろと大粒の涙を流す。
行かないで、行かないでとひたすらに喚きながらむせ返り、顔を上げることはなかった。
老人は涙を一筋流し、顔を腕で覆い隠した。震える肩で声に出せぬ感情を表している。
そして、青年レイもまた、その瞳から涙の粒を宙へと落とし身体を振るわせる。ヘルメットで遮られなかった涙がコアの中をさまよった。

「……ごめん、ごめんよ。リオちゃん、フィル爺、ホントにゴメン…」

誰も見ることのない青空の向こう、ひとつの爆発が静かに雲を振るわせた。


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