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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

424LO隊長:2010/05/09(日) 22:18:45
「俺の後ろに隠れてないと風で飛ばされっちゃうぞ?」
店の壁にいくつもある木目も顔負けの皺だらけの顔をくしゃくしゃに、微笑みながら少女をからかった。
それを聞いて少女ははしゃぎながら老人の後に回り、少しだけ顔を覗かせて先程までいた道路に
その視線を向けた。
少女の肩に手を置く老人もまた、同じ場所を眺めていた。
それから少しして、静かだった辺りに重低音が響く。その次に砂煙だった。
二つは次第に賑やかさを増し、砂煙が目に入らないかと少女はドギマギしていた頃だった。
通りの向こう、少女と老人の二人から見て左の空から黒い影がその身を落としていた。
影、ではなく影のように黒い何かだ。それが〝人型〟を模しているのは老人の衰えた視力でも把握できる。
その人型は直線状に伸びる道路の上をなぞるように飛びながら、その高度をゆっくりと下げていき、あと少しで脚の裏が
道路を削る手前というところで胸部から推力を吹き飛ばした。
が、減速が充分ではなかったためか、道路の上を滑るように削り進んでいる。
近くで見るとその人型は大きく、人と比べればその身の丈は巨人と言う他ならないだろう。
店の前を少し通り過ぎた所で人型はやっとこさその勢いを殺し、その巨大な脚で店の近くまでやってきた。
口に入った砂をぺっぺっと吐き出し終えた少女は、近づいて来た人型の方へと走っていく。
「レイ兄ー!」
老人は少女の後を追うように、店の日陰から日の光の下へと歩いていった。
黒い人型は少女の背丈で見上げると、倍以上の大きさに見える。
先端が太くそれでいて滑らかな流線形の胴体、悩ましい美しさの曲線は背中の方へと続いている。頭は半ば胴体に隠れているようで
細長く、平べったいそのフォルムをきちんと眺めるには屋根に登らないと難しいだろう。
この人型は人間のような肌ではなく、硬い装甲で覆われている。
そのせいか、直線的なフォルムの部分は刺々しく、曲線的な部分はどうにも芸術作品を思わせた。
二つでは事足りないため複数設けられている人型の目は二人に向けられている。
足元で飛び跳ねる少女と、その後から腕を組んで見上げる老人の二人を。
「うぅむ、やはりこうして見ると格好良いもんだなぁ、〝AC(アーマードコア)〟は…」
そう、二人の前に立っているこの人型の名だ。アーマードコア、この地上でもっとも優れた兵器。
老人の呟きはACに乗っている者の耳にも届いていた。
『惚れたってやれねぇぞ?コイツは俺の大事な身体だからな』
外部スピーカーから聞こえてきたのは生意気さを感じさせる青年の声だった。


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