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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

407隊長:2010/03/31(水) 00:51:45
目の前で肩を震わせる親子がいる。
夫、妻、息子。身を寄せて両親が子供を挟むように力強く抱きしめ、子は母のお腹辺りまでしかない背を更に小さくし
母の体にひしとしがみ付いている。
彼等彼女等がこんなにも脅えきっているのは無理もない。
身の丈10m、身体の隅から隅までを装甲で覆った人兵器が、本来人に向けるべきでない大きさの武器を構えているからだ。
銃口から人の塊までの距離は僅か2m足らず、撃てば間違いなくハンバーグが食べられなくなる。
肉全般は大方食べられなくなるだろう。
正直、こんな依頼だとわかっていたら受けることはなかった。
ジョイスティックを握る腕が震えている。
寒いワケではない、武者震いでもない。恐い、目の前彼等となんら変わりはない、恐いのだ。
いつもは装甲に隠れている人、殺した所で拝むことのない肉片。
あんなに躊躇なく引いていたトリガーがこんなにも重い、人というのは不思議だ。
いや、心?精神?人格?こういった考えが人間らしさなのだろうか、向けている銃を持つ手を振るわせる事が。
ただ臆病なだけにも思えるがきっとそうなのだろう。
時計を見た、考え事をしていながら銃を向けてから30秒と経っていない。
気付いたら目標が消えていた、なんて事を期待していたのに彼等ときたら大粒の涙をボロボロと零しているだけだ。

「なんとか…なんとかしなきゃ」

頭の中では殺したくないと声を大にしているのに、身体がそれを拒んでいる。
何時ものように握ったスティックをしっかりと握り、標準を少しもずらそうとしていないのだ。
レイヴンらしさ、人間らしさ、二つが葛藤しているのだろうか。
そうだとしたら、ドチラも中途半端で酷く醜い。
少し冷静に考えよう、私はどちらに従うべきか。
自身の価値観と偽善と自己満足、それらから来る中途半端な人間らしさ。
金と自身の名に忠実だけど、中途半端な罪悪に揺れるレイヴンらしさ。


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