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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

387隊長:2010/03/10(水) 01:57:15
「やっぱり此処は良いねぇ」
モニター越しに映る都市の光景を、まるで宝石でも眺めるかのようにうっとりと溜息をつく。
右腕を伸ばし目の前のモニターを愛しそうに触れた。
「ねぇ、コックピットブロックを開けてよ」
「『雨に濡れたら風邪を引くから建物に着いてからにしろ』?…いいでしょ、少しだけだから」
AC、テン・コマンドメンツの首後から気密用ガスが吐き出される。
排出が終ると頭部が首ごと前方へスライド、最後に薄い金属板が引っ込むとチェアーに座るサイプレスが露になった。
凄い勢いで雨粒がコックピットに降りかかる。
雨を頭から被りながら狭い空間から這い出るサイプレス、モニター越しの外を自身の眼で見たとき、彼は言いようのない
開放感で満たされた。
モニターで見ただけではわからない、巨大な空間。
壁や天井はあまりにも遠く霞んで見える程だ、地下施設にも関わらず地平線までそこにはあった。
「すごい!こんなに広いんだ!こんなに広かったんだ!!此処は!」
「建物の中やACの中からじゃわからないワケだ!すごい、すごいよ!」
「テン・コマンドメンツ!君はいつもこれを独り占めしてたんだね!羨ましい奴だ!」
水上に浮かぶACの上で飛んだり跳ねたり、本当に子供のように目を輝かせはしゃいでみせる。
少し落ち着いた所でサイプレスはACの肩の部分に飛び乗り、身を乗り出して下を見た。
透き通った水面は雨が当たるせいで下の方まで見通せない、少し不満に思いながらも彼はにんまりと笑い閃いた。
「『早くしろ』なんて言わないでよ、今凄く楽しいんだから」
「シャツは邪魔だから持ってて、『何をする気だ?』って決まってるだろ」
「テン・コマンドメンツ、建物まで競争しよう!」
そう言うが早いか、脱いだシャツをコックピットに投げ込み全高8m、フロート機能で浮いてる分も合わせて
10m強の高さから水面に飛び込んだ。
着水する前に3回転半のターンを決め、殆ど音を立てず水に吸い込まれるように着水する。
サイプレスは閉じた目をゆっくりと開き、水中の世界を目に焼き付けた。
彼はふと、頭に言葉が浮かぶ。

〝別世界〟、だと。


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