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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

386隊長:2010/03/10(水) 01:56:39
「あっ!言わなくても結構、レイヴンと言えば企業の依頼でしょう!」
「いやぁお疲れ様!」
「お名前を聞かせてもらえませんか!?」
正直こういった会話はうんざりだった。
五月蝿いし面倒くさい、何より人と話すことじたい好きではなかったからだ。
「テン・コマンドメンツ、レイヴン〝サイプレス〟だ」
「サイプレスさん…あぁっ!あの!Bランクの!?試合見ましたよぉ〜」
「雨で気付かなかったけど、そういえばこういう機体でしたね!いんや〜立派なACで」
「すまない、先を急いでるんだ…」
「あぁこりゃ失敬!この先の水没都市は今水かさが増してて、えぇこの量の雨でしょ!?」
「排水施設が間に合わないもんだからコッチに流してるんですよ!」
「…そうか、有り難う」
作業員の「いえいえ、これが仕事なもので」の言葉を軽く流し、MTがロック解除したのを見るや扉の向こうに進んだ。
サイプレスはやっと拘束が解けたと一息付く、ベルトをキツく締めるより窮屈だと思えるのは気さくな人との会話だ。
そう心の中で呟きながら、現にキツく締めていたベルトを緩めた。
「ふぅ、人と話すのは苦手なんだよね」
「変に気を使っちゃうし、…『俺を使えばよかったのに』って?駄目だよテン・コマンドメンツ」
「依頼以外での騒ぎは避けたいし、僕は苦手だ」
「でも、あと少しで都市に着くからね、わくわくするなぁ」

水没都市、ここはサイプレスのよく訪れる第二のガレージと言えた。
高層ビルや建設最中だった大型の施設はどれも水に沈み、その中でも高い建設物がその頭をひょっこりと覗かせている。
水に浸かった部分は酷く荒れているのが見て取れた。
透き通った水の中を様々な色形の魚が泳ぎ、天井からは人工の雨、壁に沿って引かれたパイプからは排水溝からの
大量の水が飛沫を上げ流れ落ちる。
光源が殆どないため透き通った水も深い場所までは見えず、底に近づくにつれ濃くなる影はまるで底など
ないのではと感じさせる。おとぎ話のようでそうでないこの空間に来る度、彼は心躍らせるのだ。


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