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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

385隊長:2010/03/10(水) 01:56:11

「希望を求めた狂信者」


とんとん…とんとん…、雨の打つ音が心地良い。
窓の外はどしゃ降りの雨で、遠くまで眺めることができない。
けれど、僕はそれが好きだ。湿気で髪はゴワゴワするけど、肌がじっとりと濡れるのは嫌いじゃない。
戸を開けよう、靴を履いてコンクリートを思いきり蹴りつてやるんだ。
傘なんか要らない。
そうだアイツと一緒に出掛けよう、テン・コマンドメンツといつもの場所に行くんだ。
雨の日はこんなにも気分が晴れるのに、ガレージに篭るなんて馬鹿みたいだって教えてやる。
「さぁ出掛けよう、テン・コマンドメンツ」
「管理者さまのお恵みを心置きなく楽しもうじゃないか!」


止む気配を見せない大粒の雨はそこかしこにぶつかり、地面を水浸しにしては排水溝に流れていった。
そもそもこれは自然の雨ではない、人工的に作られた空、その向こうに広がる巨大な天井からの放水。
管理者の恵みであり、戦闘によって舞い上げられた粉塵を洗い流す環境整理でもあるのだ。
とはいえ、これは少々やり過ぎだと言える。
道路は既に浸水、深さは1mにもなるだろうか。
これでは道路を走ることは無理だろう。もっと大きな乗り物なら話は別だが。
通りに溜まった水の上を軽快に進んで行くオレンジのAC。
フロート型脚部は水や沈んだ車さへも飛び越し、順調に速度を上げていく。
水飛沫の軌跡を残し、装甲に雨を打ちつけて、サイプレスは目的の場所へ向かう。
数十km進んだ所で、目的地の扉が見えた。
その扉の前で赤色灯を喚かせる作業用MTの姿にも気付く。
「こんな時間にレイヴンが何用ですか!?」
雨の音で声が遮られぬようMT搭乗者の作業員は大声で尋ねたが、サイプレスにはそれが喧しくて仕方がなかった。


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