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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

376隊長:2010/01/27(水) 19:24:14
斜面を下りながら減速、男のACはそこで立ち止まると背中と腕の装備をパージした。
柔らかい土の上にその重量を預けた火器を置いていき、身軽さを得た男のACはまたも斜面を下りだした。
これ以上無駄な弾を撃つまいとしたのだ。
森の木を抜ければ敵のMT達はすぐそこまで迫っていた。
こちらを発見した手前のMTは身構えた、しかし男は正面から近づこうとしない。
背中のハッチを展開し大型のブースタで一気に接敵することを選んだ。
MTはあのブースターを発動させまいと腕の機銃を振り回すように撃ちまくる、しかし遅かった。
とてつもない推力は軽くなった機体をぶっ飛ばし、その場からACは消えていたのだ。
あの距離を縮めるにはあまりも早すぎるブースター推力に驚きながらも、ACは捉えきれないMTに回り込む。
伸ばした脚を揃え、機体が今にも倒れそうな程に傾かせる。
バランスが崩れぬように突き出した左手は、マニピュレータの先が地面を擦った。
渦を描くようにMTへと近づき、敵が気付くか気付かないかの刹那、ACは左腕を振るった。
左手のダガーナイフに見立てたブレードが敵のコアと頭部の付近、首の辺りを切り開いた。
血のようにオイルが噴出し、MTは力なく崩れる。
残っていたもう1機のMTに歩行で近づいていく、ACに向けられた銃の弾は恐怖の震えによってか当たることはなかった。

「悪く思うな」

冷酷な男が、眉一つ動かさず左手を上げた。
目の前のMTは弾が切れた事に気付いていなかった。
男が眼を閉じる、そこにはあの時のだらしなくも男らしい父親の顔が映った。
猟銃を構え、獲物に感謝の眼を向けたあの父親の。
その時男の取った行動は気まぐれだと言える。
振り上げた左手はコアではなく、敵MTの脚の付け根を狙ったのだ。
突き刺さったブレードを引き抜くと勢いよくオイルが噴出し、男のACにかかる。
装甲の汚れを気にするでもなく、男は置き去りにした武器の元へと戻ってゆく。
その顔は少しだけだが、感謝するかのような優しい顔に見えた。


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