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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

374隊長:2010/01/27(水) 19:23:21
緑の濃い森。
重く冷たい風がゆっくりと木々の隙間を通り抜けた。
とたんにぶつかった、風は木ではない何か行く手を阻まれたのだ。
近くで見ればそれは金属の塊だった、少し距離をあければそれが人型だとわかる。
金属の四肢は人間と同じように曲げられ、腰を下ろしたポーズでもう何時間もそこにある。
頭部にあたる部分では横に長いバイザーが薄らと光ってみせた。
右腕を少しだけ前に伸ばし、その腕の甲から長い銃身が光に反射せぬよう木々の枝の中へ突っ込んである。
このサイズならば銃というより砲が適切だろう。
その木々に埋もれた砲は、口をほんの少しだけ枝の中から覗かせる。
腕に取り付けらた砲の横からはベルト状の帯が伸びている。その帯は人型の背中に積まれた大きな箱で止まっていた。
察するに、これはACだ。
鮮麗されたデザインの四肢からは想像もできない程のパワーを出すことができる人型の兵器。
しかしそのパワーを見せ付けるでもなく、その人型兵器は未だその場所から動こうとはしなかった。
地面の脚と膝は重量でめり込み、装甲には露が光っている。
低い出力で保っているせいもあってか、低くうなるような音は遠くまで響かない。
異様だった。これではまるで獲物を待つ狩人、それがそのまま大きくなったように思えたのだ。

「来たか…」

コックピットで息を殺していた男が呟く。
頭部のレーダーだけの索敵を補うように男の鋭い瞳が電子画面を睨みつけた。
敵の数は16、お世辞にも充分ではない性能のレーダーがそう告げている。
確認した男は握るスティックを僅かに、素人目には動かしていないと思える程に傾けた。
砲身が動くことで木の枝がパキリと音たてる。
が、敵に聞こえる筈がない。何せここから敵までの距離は5キロも離れているのだから。
だが男には充分だった、むしろ近すぎるくらいだ。

「獲物1匹を1撃で」

男の乗るACの腕から眩いまでの閃光、そして轟音と振動が放たれた。


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