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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

321名無しさん@コテ溜まり:2009/11/20(金) 23:46:58
事態を把握した女性は、上から2段目の引き出しを開く。
大小様々な薬品が入り混じるなか、赤いラベルの〝安定剤〟を強く握り、声の主がいる部屋へと駆けていく。
扉を開けると声はますます大きく響き、女性の耳に掻き毟るような感覚を与えた。
薬が握られた手とは逆の手でスイッチを押すと、家具や装飾が置かれていないコンクリートが剥き出しの部屋が視界に入った。
その部屋の隅で、声の主は巨体を小さく見せるかのように縮こまり、身体を震わせていた。
頭を抱える腕から覗く視点の定まっていない瞳、体中から流れる玉のような汗。
男の姿を見るやいなや、握り締めていた入れ物から錠剤を5つ掌に投げ出し、男に近づいて未だ叫び声を上げる口へと押しやる。
そして、これでもかと力を入れ小さくなっている男を抱きしめた。
男は次第に叫ぶのをやめ落ち着きを取り戻す。そんな男を抱きしめる女性の頬に一筋の涙が光る。
「落ち着いた?」
涙を流し、しゃくり上げる自分を抑え、優しく男に問う女性。
薄いアイシャドウがほんの少し溶け出し、伝う涙と共に頬へと流れる。
「ごめんねシーラ。ぼくこわいゆめをみたんだ」
「みんなみ〜んなくらがりにいってしまうんだ」
厳つい顔と引き締まった体の持ち主とは思えぬ程、幼い子供のように喋り出す男。
その男をまるで母親のようにもっと強く、ギュッと抱き寄せるシーラ。
「そう、恐かったね」


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