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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

315 ◆lolicon8k6:2009/11/17(火) 18:48:36
分厚い金属がコックピット内部を守るように閉じ、男の視界から光を追い出した。
薄暗いコックピットを唯一照らすのは目の前のパネル一つ、男はそのパネルをいそいそと叩きだす。
「起動準備」
男が静かにそう言うと、男を囲むように配置されていたパネルが順番に点灯し始めた。
『MT、カイノス/E02−陸戦機動型起動開始』
突然聞こえる無機質な女性の声、どうやら兵器のものらしい。
「プロテクトスクリーンは張るな、出力を本来の30%で維持。ラジエーターは60から80、熱を出さないように」
『了解、状態を維持。システムを通常から戦闘へ移項』
「よろしい、レーダーを熱源からソナーに移項。距離は半径20mに絞れ。周りの状況がわかればいい」
『了解、武器状態を説明。湿度が高い為、レーザーの使用に時間が掛かります。砲身を乾かしますか?』
「それもいい、熱がでる。今見つかるのは不味い」
『了解』
重苦しい声で無機質な彼女を黙らせると男はパネルを二度三度叩いた。
次に男は呼吸を抑え、パネル脇のソナーに神経を集中させる。メインモニターが点いていないコックピット内部は未だに薄暗かった。


反応。
男の見つめる画面に三つの光点が現れる。
男は小さく舌なめずりをし、敵の行動を逐一考察した。
「やはりか、アローポータータイプC。密林戦闘用特殊仕様」
「ソナーでなければ映っていないところだ。ブリーフィングでそれらしいことを聞いてはいたが充分ではないぞ、クレストめ」
敵を現す光点の一つは、男の正面18mの所。本来なら見つかってしまう距離。
「この様子では気付いていないな。低出力で潜んでる上に水分を多く含んだシートで身を包んでいる」
「熱源として捉えられないのも無理はない。…それにこの霧だ、目も使えないだろう」
男は最適な距離を待つ、奇襲の威力を最大まで上げる距離を。
敵逆関節MTの足音が一歩また一歩、森の声すら静かに聞こえる程大きく、近く。
「まだだ…」
衝撃を緩和するジャッキの音まではっきりと男の耳に届く、距離10m。
「まだ…」
辺りを見回しているのか、身体を捻り擦れる金属の音。距離8m。
「今!!」


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