したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

253ロリコン隊長:2009/02/17(火) 16:10:11

「観戦者」


赤い烏と青い烏、二人の烏は睨み合う。
辺りに人は見当たらず、静かに始まる殺し合い。
しかし予想は裏切られ、二人の烏は上を見た。

緊迫した空気が漂うなかソレは一斉に現れた。
騒がしい歓声と共に幾千幾万の観戦者が二人の烏を包み込む。
鳴り止まぬ歓声に一人の烏が悪態を吐くが、それも歓声に消えていった。

先に動くは赤い方。
青い烏を殺そうと、手に持つ大きな鋼の筒から鋼の粒を吐き出した。
青い烏は鼻で笑う、鋼の粒をひらりとかわし右手の筒を相手に向ける。

始まった殺し合いに観戦者は興奮する。
中には烏の身体に自身を当てて砕け散る者も多く見られる。
それでも一向に数を減らさぬ観戦者、彼等の歓声は続いた。

赤い烏は地を滑り、青い烏は空を舞う。
当たらぬ粒は底を付き、赤い烏は毒を付く。
青い烏は地に脚を付け、赤い烏の隙を突く。

観戦者はより一層盛り上がった。
青い烏がどう止めを刺すのか、赤い烏は切り返せるのか。
何よりも青い烏の左腕に輝く金色のソレが、気になって仕方なかった。

青い烏は腕を振る、飛ぶためではなく斬るために。
眩い光が烏を撫でる、赤い烏を優しく撫でる。
赤い烏の鋼の身体はずるりずるりと溶けてゆく。

烏の殺し合いは終わり、歓声も次第に止んでいった。
そして最後の一人になった観戦者が小さな歓声を上げた後に、青い烏は呟いた。


「雨が止んだか…」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板