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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

195シャイアン ◆sjPepK8Mso:2007/02/13(火) 00:25:49
 寮の入り口で「減点五」と呟く寮長を尻目に、チームに割り当てられた部屋に向かう。カードキーをパネルに差し込んで
 警報が鳴った。
 廊下に備え付けられた警報は、壊れているのではないかと思われるほどボロボロのものだったが、赤いランプがぐるぐると回りながら点滅して、正常に機能した。
 ぶーぶーぶーと耳障りな音が聞こえて、ロッフとハンナは何が起ったのかと右へ左へ首を回す。
 直後に目の前にあったドアが開いて、ミレイが飛び出してきた。夜の街に飛び出していった筈なのに、何でここにいるのか。
「お前なんでいるのよ」
「んな事言ってる場合じゃねえ! そこのニュース見てみろ!」
 警報がうるさくても、音量を最大にされたテレビは高らかに原稿を読み上げる。キャスターが明らかにカメラの方向を向いていない。カメラ横にはカンニングペーパーがあるのだと思う。
『既に第三防衛ラインは崩壊しております。避難勧告に従い、落ち着いてシェルターに向かって下さい』
 同時に、警報と一緒に全館に訓練所の総責任者の声が響いた。最大音量の放送。
『キサラギ第二支社より出撃命令が出た。訓練生は直ちに割り振られた標準ACに乗り込み、出撃せよ! 尚、今作戦に生き残った者には無条件で第一級レイヴンライセンスを与える。今作戦は試験である。簡易的な装備変更は認められる。装備の確認を怠るな』
 放送が一度終わって、もう一度繰り返すと言っている間に、ミレイがまくし立てる。
「簡単な話じゃないらしい。防衛線が壊されそうなら、ただの試験には過ぎる課題になるだろ、気を抜くなよ」
 もう、その時にはロッフもハンナも気を取り直していて、次にやるべき事を考え始めている。まず、ACを起動させる必要がある。ロッフは部屋の中に駆け込んで、机の上に眠ったままの雛を置いた。
「それはお前ではないのか?」
 普段はミレイに向かって憎まれ口も叩かないハンナの声を向けられて、ミレイが多少よろめくが、すぐに立ち直って走り出す。
 ロッフ達に割り当てられた六番ハンガーの桟橋を渡って、それぞれの機体に乗り込んだ。
 外部から接続してACにアクセスして、ロックを解除させる。レバーを三回捻って、五十の装甲に覆われたコクピットブロックに身を滑り込ませる。
 ロッフは、自らの機体に割り当てられたハンガーアームに命じて、低性能のレーダーを取り外し、ライフルを取り払った。あまり多くの装備を取り替えている時間はなさそうだったから、取り急ぎスナイパーライフルと高級レーダーを積む。
 ロッフのACの隣では、ハンナのACがライフルを速射性の高いものに交換しており、その向こうのミレイはライフルをマシンガンに交換していた。
「俺がバックス、ミレイとハンナはフォワードを」
「了解だ」
「わかっている」
 橋が折り畳まれ、申し訳程度の小さい扉が開いていく。
 夜で、真っ暗で、雨雲が空に広がっていて、雨粒が落ちてきた。
 何か悪い予感がする。


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