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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
18
:
なごみ(753)
◆nfj/oZUsU2
:2006/08/23(水) 21:36:59
規制食らったので、こちらに続きを投下。
* * *
爆発し、もはや形状すら形容できぬガラクタの塊と化したマリーゴールドを視認し、トロット・S・スパーは一息ついた。
引き撃ち戦法を行使された時にはどうなるかと思ったが、相手を仕留める事は出来た。作戦は成功だ。
その立役者が自分ではなく他の者である事は残念だが、成功は喜ばしいものである。
『その機体……クォモクォモか。礼を言う』
『礼を言われる程の事ではない。尻拭いをしただけだ』
トロットは眉を顰めて沈黙する。彼は隊長の事を信頼しているし、隊員の実力も評価している。
それ故に、戦術部隊の所属でもない外来のレイヴンに侮蔑を向けられる事は耐え難いものだった。
とはいえ、それで悪辣な態度を取る程、トロットは愚かではない。
クォモクォモの操るAC、ALIEは、機動力と防御力を併せ持ったものだ。加えて、それを操る腕も確かである。
これは、アライアンス戦術部隊にとって重要だ。
クォモクォモの活躍を聞けば、フリーのレイヴンもアライアンス戦術部隊に興味を示すだろう。ともすれば、アーク所属のレイヴンの寝返りも期待できる。
五人ものレイヴンを保有しているとは言っても、部隊の規模は小規模だ。より多くのレイヴンを懐に引き込まねば、敗北は自明の理である。
もっとも、それはスパイが入り込む可能性も増えるという事ではあるが――――アライアンスの出す報酬は破格のものだ。それを棒に振ってまで忠義に尽くす者は、今のアークには存在しない。
ジャック・Oというカリスマ、最大の旗印となるべき存在を失ったアークでは、金に飢えるレイヴンを引き止める術はない。
現状における指導者、セレスチャル卿は凡庸な指導者であり、利害関係を超えた忠節を生み出す事は出来ないだろう。結果、アークの屋台骨であるレイヴンは、アライアンス戦術部隊へと流れていく事になる。
そして、それこそが、今後の戦術部隊の盛衰を占う重要な計画でもあるのだ。
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