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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

170AC4SSその25:2007/02/04(日) 22:06:26
 フィオナの動きが止まった。
 その顔が困惑の色に染まっていく。
「これって……」
『……どうした?』
 彼女は応えに詰まった。
 観測システムが、ネクスト内のジェネレーターが、異常に加熱していると告げているのだ。
 妙だった。
 通常の場合、撃破された機体のジェネレーターは即座に活動を停止する。加熱などしない。
 そもそも爆発物や可燃物が使用されていないのだから。
 しかし――それは一般常識だ。
 専門家が見れば、ざらにあることなのかも知れない。容易に異変と認定してよいものだろうか。
 その迷いが仇となった。
 ネクスト技術は各社の生命線だ。
 レイレナードのような野心的な企業が、人質を見殺しにしてまで作戦を強行するような企業が、残骸とはいえネクストの素体を易々と明け渡すはずがなかったのだ。
「レイヴン、実は――」
 言葉はそこで途切れた。
 モニターの中で、閃光が炸裂する。一拍遅れて、画面が砂嵐になる。
 だがその変化を最後まで見届けた者は皆無だった。
 なぜなら、フィオナも、見張りのテロリストさえも、突き上げる衝撃に吹き飛ばされたからだ。
『くはは……』
 最後まで生き残っていたスピーカーは、レイヴンの声を流した。
 うすら寒くなるほどの、からからに渇いた笑い声。
 それもまた轟音に塗りつぶされ、誰かに届くことはなかったが。


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