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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
169
:
AC4SSその24
:2007/02/04(日) 22:06:03
ネクストの腕部が――徐々に下がっていく。敵のパワーに押されているのだ。
それと平行して、刀身も近づき――じりじりと頭頂部の装甲を焦がしていく。
(馬鹿な……!)
愕然とするグランツだったが、これも当然のことだった。
ノーマルは、ネクストよりも大きい。多くの部分を小型化し、かつ無駄を省いたネクストと異なり、旧式のパーツを多用しているせいだ。
そのため挙動は鈍いし、そのくせPAも特殊装甲もないため防御も薄い。
だが――とにかく『重い』。
だからこそ、体重をかけた押し合いは、ノーマルの方が優位になる。
強力な装備もない。堅牢な装甲もない。電子設備も粗末なものだ。
けれど、車輌《ヴィークル》としての――原始的な意味での『パワー』ならば、ノーマルの方が強力なのである。
『それじゃ』
やがて力強い腕部が、ネクストのガードをうち破った。
*
フィオナは、息を呑んだ。
ブレードを振り下ろす巨体。それを真正面から受けて、切り倒されるもう一つの巨人。
大型モニターの枠が、そのコントラストをまるで一幅の絵画のように切り取っている。
綺麗だ、と思った。
破滅的な光景のはずなのに、近寄りがたいほどの神々しさを感じる。
(……これが……)
レイヴン。
戦場を渡り歩く者。
『ここにいるのは、俺とお前……そんだけだよ』
彼の放った言葉が、実感として飲み込めた。
飲み込まれた言葉は、フィオナの胸深くへ落ち込み、そこで猛然と燃焼を開始する。
生まれるのは――熱だ。
触れるもの全てを焼き尽くすような、凄まじい熱を、体の芯に感じる。
堪らず胸を押さえた。そうでもしないと、体が動き出してしまいそうだった。
(これが……!)
思ったとき、甲高い電子音が響いた。
フィオナははっと我に帰ると、慌ててパネルに注意を戻す。
もっとも、すでにネクストは撃破した。目だった脅威はないはずだったが――
「……え?」
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