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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

163AC4SSその18:2007/02/04(日) 22:02:13
 だがグランツがQBを命じるよりも、敵ACが加速、ブレードを振りかぶる方が早かった。
 左腕部から伸ばされる、真っ青な収束エネルギー、その輝きがカメラを埋め尽くし――すぐに通り過ぎていった。
「……は?」
 間抜けな声が漏れる。
 PAが防御効果を発揮した、とシステムが告げたのは五秒程経ってからだった。
 PAに邪魔され、刀身が装甲にまで届かなかったのだ、というところまで考えが行くのには、さらに十秒が必要だった。
 その頃には――敵ACはこちらに背を向け、要塞に向かってブーストダッシュしていた。
(なに?)
 怪訝に思ったのは一瞬だった。
 逃げているのだ、と理解した瞬間、胸に猛烈な感情が吹き荒れる。
 どうしてだか、その背中を追いたかった。
 いや、追わなければならない気がした。
 そうしないと、何かが終わってしまうかのような――そういう焦りを感じた。
 本来なら、一連の攻撃を全て受け止めたPAの頑強さを、誇るべきなのだが。
「……あの野郎」
 言葉が漏れた。
 はめられた。その一念が心中で荒れ狂う。
 ガリ、という妙な音がした。自分の奥歯が噛みしめられる音だった。
 ノーマルが要塞の中へ入った。その姿がどんどん小さくなっていく。
「殺してやるっ」
 背中で装甲がスライドした。中から出てくるのは、一対の巨大なブースターだ。
『軍曹! まさか追いかけるつもりですかっ』
 部下が悲鳴を上げた。
『怪しすぎます! いくらネクスト乗りとはいえ……』
「曹長」
 グランツは苛立たしげに言った。
「リンクスだ。二度と間違えるなっ」
 直後、OBが発動した。


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