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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
162
:
AC4SSその17
:2007/02/04(日) 22:01:46
MTにここまでの器用さはない。
「AC……」
グランツは探るように言った。
「レイヴンか」
相手は応えなかった。
代わりにもう一発、スナイパーキャノンを撃ってきた。
だが、さすがにもう読めた。
グランツはQBで易々と回避すると、逆にショットガンを発砲した。
MTなら一撃の距離だ。
だが敵ACは、柔軟な関節機構を活かし、左右に機体を揺らめかせる。
補正をずらされた散弾は、敵の周囲へ散っていった。
(これがあるから、ACは面倒だ)
グランツは背中のブースターに火を入れた。
同時に地面を蹴り、MT達を飛び越してACに迫る。
その時の勢いは完璧だった。ノーマルの機動力ではとても逃げ切れない加速力だ。
それが災いした。
敵ACの肩口から、何かが発射される。
円盤状の物体が六発。飛来するそれらに、ネクストは自分から突っ込んでいた。
「しまっ……」
轟音。
先程とは比べものにならない衝撃が、機体を揺さぶった。
吸着地雷の直当て。
堪らず地面に着地する。オートバランサーが脅威的な能力を発揮し、なんとか重心位置を調整した。
だがそれで終わりではなかった。
カメラと連動した視界が、黒煙の向こうに――銃器を構えて周りを取り囲む、MT達の姿を捉えた。
QB、と瞬時に意識が飛ぶ。
けれど――この不安定下でのQBは、システムが許可しなかった。
結果、無数の鉄塊がコアを直撃した。
ネクストが数メートルもずり下がる。
転倒しないのが奇跡だった。
だが凄まじい反動で、しばらくは動けそうにない。
(まずい……!)
全細胞が逃げろと絶叫した。
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