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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
161
:
AC4SSその16
:2007/02/04(日) 22:01:16
自分は今からオペレーターの真似事をする。経験はない。が、やらなければならない。
故郷へ――アナトリアへ帰るためには。
「……やります」
「よし。状況を開始しよう。
格納庫も、ネクスト用のコジマタンクを出せ。バルバロイの分がなくなっても構わん、全部だ」
それらを聞きながらフィオナはボタンを押し、レイヴンへの通信回線を開く。
平行して、頭を英語からギリシア語へと――アナトリアの言語へと切り替えた。
*
グランツはご機嫌だった。
次元の違う戦闘力で、一方的に場を支配している。
AMSシステムで機体と同調することで、その感触がこれ以上ないほどリアルに伝わってきた。
この場においては明らかに自分が最強であり、他は全て取るに足らないものなのだ。
(たまらないな……!)
思いつつ、ショットガンを発砲する。
前にいた逆足MTが、ボロ切れのように吹き飛んだ。
失笑が漏れる。
(まったく……)
こいつらはどうしてこんなに脆いんだろう。
もっと頑張れ。
でなければ、そもそも俺の前に立つことがおこがましい。
「違いってやつだ」
異変が起こったのは、そう傲然と言い放った時だった。
突如、側頭部に鈍痛が走り、感覚の一分がかき乱される。機体トラブルだ。
ECM障害、とシステムが告げてくる。
(ECM?)
グランツは周囲に目を向けた。
と、少し離れたところに中型のMTが停まっていた。その周囲には、円盤形の機材が散乱している。
恐らくECM発生器だろう。
それも、こっちのレーダーが完全に死んでいる辺り、相当な濃度のECMだ。
グランツは剣呑に目を細めた。
「舐めた野郎だ」
呟き、グランツはQBを噴射、ECMを出したMTへ襲いかかる。
が、そこを鋭い衝撃が貫いた。
PAでも殺しきれない。
たまらず、グランツのネクストは地面に縫い止められた。
『ご苦労様』
衝撃に息を詰まらせるグランツに、そんな声が聞こえた。低く掠れた男の声だ。
『後はこっちが引き継ぐ』
二発目が飛んできた。
QBが発動する。が、擦過音が聞き取れるほどの、ぎりぎりの回避になった。
MT用火器とは比べものにならない弾速だ。
(こいつは……!)
グランツは、要塞の出入り口を見やる。
思った通りだった。
装甲をひたすら重ね合わせたような、武骨なフレーム。明らかにGA社の仕事だ。
だが肩に構えたキャノンは、スナイパーキャノン――BFF社の製品だ。また右手のライフルはイクバール製、左手のブレードはローゼンタール製である。
柔軟な組み替えの産物だ。
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