したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

156AC4SSその11:2007/02/04(日) 21:58:20
 正直、フィオナもこの辺りは奇妙に思っていたのだ。立場上政治にも明るいので、尚更に。
 だが――
(犯行声明の……捏造っ?)
 ここまでとは想像もしなかった。
 それはテロリスト達も同じらしい。さすがに浮き足だってはいないが――どの顔にも、深刻な当惑と焦りが浮かんでいる。
「レイヴン! 早く格納庫へ行け!」
「見張りのお前も来いっ、MTが余ってるっ」
「人質は?」
「縛っとけっ。今すぐ出るぞ! 意地を見せろ!」
 そういった騒ぎを前に、レイヴンが口を開いた。
「……待て」
 湖水のような声が、部屋中に染みわたった。
 白熱しつつあった議論は、波が引くように静まる。
 レイヴンは続けた。
「落ち着け。慌てて出撃しても、何にもならないぞ」
「呑気なことを――」
「じゃあいいぞ。お前、ノーマルにでも乗って突撃してみるか」
 レイヴンは、男達を冷然と見上げた。
「格納庫へ行くのはいい。だがすぐに出撃するってのは反対だ。相手はネクストだ、ただ出撃するだけじゃ、結果は何も変わらない」
 的確な指摘に、テロリスト達が口を閉ざした。だが納得していないのは、引き結ばれた口元を見れば明らかだ。
「……では、どうするつもりだ。交渉でも持ちかけるつもりか」
 たっぷりと沈黙を置いて、一人が剣呑な声を出した。
 空気がピンと張りつめ、全員の視線はレイヴンに向かう。
「さてな」
 レイヴンは、背もたれへ体を預けた。
 ポケットから煙草を取りだし、ライターで火を点ける。
 二、三度煙をくゆらせてから、ようやく話を始めた。
「交渉の余地なし、てのには同意だ。ガレージから出してまともな機動させるだけで、億単位の金が動くバケモノだ。
あっちから攻撃してきた以上、半端な真似はしないだろう。念のため聞くが、降伏という選択肢は?」
「ない。戦うだけだ」
 一人が言うと、残りもはっきりと追従した。
 レイヴンの口元が、笑みの形に歪んだ。
「……じゃあ、必要なのは議論だ。格納庫に行く前に、全員集まって作戦会議をしよう」
「……情報関係は、すでに情報部がやっている」
 レイヴンはせせら笑った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板