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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

104エヴァンジェSSその23:2006/10/29(日) 23:15:05
 だから、頼むから教えてくれないか。
 そこまで言われて、ようやくACは受諾した。
 仕方がない、とでも言いたげな調子で、
『……分かった』
 チーフは顔をほころばせた。
 が、ACはさらに続けた。
『だが、もう一つ条件がある』
「……これ以上は……」
 慌てるチーフに、ACは被せる。
『銃を捨てろ。窓の外にだ。自殺などされたら、面倒だ』
 言われ、チーフは右手で拳銃を握っていることに気がついた。
 曖昧に笑うと、窓に向かってそれを投げつける。
 ガラスを割って外へ飛び出した拳銃は、ACのアイカメラにぶつかると、そのまま下へ落ちていった。
「これで、いいかね」
 言うと、次の指示が来た。
『……お前が先に、情報を吐け。念のため、できるだけ詳しく身の上も話せ』
 相手の方が、立場が強い。チーフは言うとおりにした。
 身の上を話させるのは、矛盾がないか確かめるためだろう。
 チーフは様々なことを話した。
 かつてキサラギにいたこと。だけでなく、特攻兵器を作動させた、急進的なキサラギの一派、その中にいたこと。
 彼らが遺跡内に置いた、侵入者排除用のガードマシンは、彼が設計したこと。
 四機のAC達には、その技術が使われていたこと。
 それら身の上話から始まり、キサラギとミラージュの癒着や、クレストとの密会など、世界単位での陰謀にまで話は広がった。
 告白は十分にも及んだ。
「……これで全部だ。さぁ、教えてくれ。我々のどこに、問題が……」
 言い終わると、チーフはACを見やった。
 瞳が、ぎらぎらと輝いている。待ちきれないのだ。
 ACは数秒、何を言おうか迷っているようだったが――やがて、ゆっくりと語り始めた。
『戦闘は――』
 静まり返った室内に、レイヴンの声が重く響く。
『チェスじゃない』
 チーフが眉をひそめると、向こうはさらに言った。


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