[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
試験投下スレッド
868
:
怪物対峙
◆CC0Zm79P5c
:2007/02/15(木) 15:02:28 ID:H59YxF2c
――だが全てが暗闇に沈む寸前に、見えた物があった。
最初は光だと思った。眩い光。暗闇では光を包めない。だから残ったのだろうと思った。
だがその光も霞み始めていた。その金色が黒く薄れていく。光さえ獣性は食い尽くす――?
違う。終は直感的に否定した。これは光ではない。
ならばこの金色は何だ。万物を浸食する獣性に抗えているこの『強さ』は――何だ。
金色に触れるのを恐れるかのように、闇の侵攻は遅々としたものだった。
そして気付く。その金色の背後に、死んだ兄と従姉妹の顔がある。
守っているのだ。金色は、竜化が竜堂終から喪失させることを拒んでいる。彼らを守るために、その身を獣の牙に晒し続けている。
ならば、なおさらその正体が分からない。
兄貴は死んだ。茉理ちゃんも死んだ。ならば何だ? そうまでして竜堂終を守ろうとするモノは何だ?
――居るではないか。居たではないか。
気付くと同時、金色が振り返る。金の髪をたなびかせ、強靭な『女王』が振り返る。
彼らの旗。潰えたと思っていた旗。
だが、そうではなかった。
「……ああ、そうだ」
言葉を紡ぐ。狂乱する獣ではない、人としての言葉を。
それを合図とするように、ささくれだったような鱗は再び人肌に戻り、針のように細められた瞳孔も丸く戻り始めた。
――取り戻す。竜堂終が、人としての心を取り戻す。
「……負けて、たまるか」
憤怒が冷めたのではない――冷ましたのだ。終単身では制御できなかったはずの竜化を、制御していた。
怒りはある。ともすれば簡単に吹き出すだろう。
だが、それでも、
(……そうだ。俺は託された)
――あの時、ダナティアが自分を止めた理由。
それが分からないほど終は愚かではない。それを伝えられないほどダナティアは無力ではない。
憎しみに任せての殺人を自分の仲間達は止めてくれた。それを無駄にする? そんなことには耐えられない。
自分が手玉に取られた所為で舞台は崩壊した。そんな失態を二度も晒す? そんなものは冗談にもならない。
彼らは憎しみの連鎖を起こすために凶行を止めたのではない。竜堂終は、竜堂終の自意識をもって敵を退けなければならない。
――そうだ。やはり彼は単身で竜化を制御していたのではない。
竜堂終を、人として繋ぎ止めていたのは――
「あんたなんかに――譲れるかっ!」
――遺志だ。ダナティア。ベルガー。メフィスト。彼らが竜堂終に託していった遺志だ。
目前では少年ががゆっくりとした動作で立ち上がっている。左腕は折れ、それでも退かずに立ち向かってくる。
その様はまるで不死身の怪物のよう。竜すら喰らう巨大蛇のよう。
それでも竜堂終は前進する。受け取ったものを無駄にしないためにも。
遺志とは継ぐもの。後継者を守り、正しい方向へと導くものだ。
そう――竜堂終には、遺志がある。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板