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試験投下スレッド
776
:
嘘つきは語り手にしておく・b(10/12)
◆5KqBC89beU
:2006/05/15(月) 22:25:24 ID:LcfGWHUk
あたしと少女は対話する。お互いに腹を探り合う。
「とりあえず捕虜になって好機を待ちたい、というわけですわね」
「怖くなんかないでしょう? あんたは強いんだから」
「そう言われて調子に乗るほど、わたしは子供じゃありませんわよ」
「それは残念」
この交渉で窮地を切り抜けられないなら、かなり困ったことになる。
さて、彼女はどう出るだろうか。
「決めました。彼もあなたも、今は殺さないであげましょう」
あたしは、用心深く少女の様子をうかがう。
「交渉成立ってこと?」
「いいえ、わたしは逃げますわ」
「……え?」
予想外の答えだった。一瞬、あたしは呆気にとられた。
「わたしを殺しにいらっしゃい。仲間を集め、知恵をしぼり、死にもの狂いで復讐しに
おいでなさい。……遊び心を忘れてしまうほど、わたしは大人じゃありませんの」
少女は、嬉しそうに笑っていた。
「きっと、楽しい殺し合いになりますわね」
タチの悪い冗談みたいに、そのまま少女は走り去ってしまった。北側の出入口から
海洋遊園地の外へ向かうつもりのようだった。
追いかけるべきだとは思えなかった。ヒースロゥを放置するわけにもいかなかった。
結局、あたしは彼女の背中を黙って見送った。
もう灯りはない。地面に転がっていた懐中電灯は、少女が回収していった。
辺りはすっかり暗くなっている。夜空は雲に隠されていて、月も星も見えない。
「ハードね、まったく――」
闇の中へ、あたしの溜息が拡散していった。
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