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460神将と神父の閃舞(3/5) ◆5KqBC89beU:2005/07/16(土) 14:16:32 ID:gze6IUQc
「あのー……」
 背後からかけられた声に神父が振り返ると、少し離れた位置に子供が一人いた。
子供は荷物も武器も持っておらず、怪我をしていたが、それでも怯えてはいない。
「や、どうも、こんにちは」
 まっすぐ目を見て挨拶する相手を、快い、とハックルボーン神父は感じた。
 柔和な笑顔で軽く会釈し、神父は来訪者を迎える。内面の善良さがにじみ出るような、
親しげな挙動だった。当然だ。彼は、史上最強の超弩級聖人なのだから。
「俺は鳳月っていいます。争うつもりはありません。あなたと話がしたいんです」
 やや安心した様子で、子供が語りかけてきた。神父は鷹揚に頷き、厳かに言う。
「私の名はハックルボーン。神に仕える者」
 誰よりも先に、一刻も早く参加者たちを昇天させるために、情報はあった方が良い。
鳳月を神の下へと導くのは、話を聞いてからでも遅くはない。そう判断した結果だ。
「へぇ、そうなんですか。……だったら話が早いかもしれないな。
 えーと、実は俺、これでも一応、神サマの端くれなんですよ」
 鳳月の自己紹介を耳にして、思わず神父は天を仰いだ。にこやかだった笑顔が、
残念そうに歪む。神将たちが異変に気づいたときには、すべてが手遅れになっていた。
 ゆっくりと歩を進めながら、哀れみを込めた瞳で鳳月を見て、神父が一言ささやく。
「神を騙るなかれ」
 次の瞬間、敬虔なる神の使徒は、疾走と同時に拳を振りかぶっていた。
 鳳月が動くより先に、神父の全身が聖光を放つ。至近距離からの発光は目潰しとなり、
少年神将から貴重な一瞬を奪った。そして、鳳月の脇腹が、拳の一撃で大きく陥没する。
 奇跡と神通力が相殺しあい、生身と生身の勝負となった末に、神父の怪力が、鳳月の
内臓に致命傷を与えたのだ。救済の対象と同調し、神父の口から鮮血があふれる。


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