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本ストーリーの修正版を投下するスレッド
128
:
メイド天使誕生
◆VoEIlrZXW2
:2005/06/02(木) 23:50:19 ID:MqxFG5Y.
奈津子のエプロンドレス姿を想像してしまったのか、コキュートスは「げえっ」と声をあげた。
↓
奈津子のエプロンドレス姿を想像してしまったのか、コキュートスは「う」と声をあげた。
それと、本文中の「コキュートス」を「アラストール」に変更をお願いします。
129
:
好奇心のもたらすもの◇7Xmruv2jXQ
:2005/06/05(日) 02:28:20 ID:MK/bu.h6
状態表の【戯言ポップぴぴるぴ〜】 の方を
【F−4/森の中/1日目・12:40】→【F−4/森の中/1日目・11:45】
に修正お願いします。
130
:
雷速の殺し手(1/10)
◆J0mAROIq3E
:2005/06/05(日) 16:10:28 ID:rbtlF9OM
豊花の死体に関して矛盾があったため、1レス目の差し替えをお願いします。
「これが先ほど言っていた死体か?」
「ええ。三時の時点で死後硬直が始まっていたから、死んだのは多分開始直後」
ゼルガディスとクエロは海の見える高台に足を伸ばしていた。
そこに転がっていたのは俯せに倒れる少女。一条豊花の死体だった。
「背中の刺し傷が死因というのはさっきの男と同じね」
「傷口も似ているな。……同じ奴か?」
「可能性は高いわ。腐敗の進み具合から見ても、こちらの方が先のようね。
手口がスマートといえばスマートだけど……動揺も大きかったみたいだし」
肩をすくめて指し示したのは死体のすぐ傍に広がる吐瀉物。
「素人が腹を決めてゲームに乗った、といったところか。……許せんな」
「そう? 何の能力も持たない一般人がこんなとこに放り出されて、冷静でいられると思うの?」
「錯乱など理由にはならん。異常な状況で殺人に走る人間は、最初から人を殺せる人間だ」
「いちいち私の方を睨まないでほしいんだけど。
……でも、そうね。確かに最初会ったときにもクリーオウはナイフを振り回さなかったわ」
話題を逸らすように『仲間』の少女の名を口にする。
彼女が状況によっては刃物で斬り掛かる猟奇少女であることは、さしものクエロでも想像の外だったが。
しかしゼルガディスは警戒を解かず、真っ直ぐにクエロを見つめる。
「――お前は表情一つ変えず人を殺せる人間だ。演技力は認めるが誤魔化しきれると思うな」
「……いい加減にして。先入観を捨てないと見えるものも見えなくなるわよ」
「これは勘と言うより確信だ。気を緩めては尻尾を見逃すことになるのでな。悪く思うな。
……お前が元の世界で何をしようと勝手だが、ここではおとなしくしててもらおうか」
「言われなくても事を荒立てるつもりはないって何度も言ってるはずだけど」
その苛立ちの表情さえ演技。
化かし合いでは自分に分があることを、クエロはよく理解していた。
131
:
魔女の消失2/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/05(日) 21:13:47 ID:K2iQuOdo
佐山は歩む。路地の影を縫い、先程の音の元となった気配を探り、十字路に差し掛かる。
光と闇が交錯し、アラベスクの布を思わせる風景のその路地に、一歩――
「何者かね?」
「あんた、誰?」
佐山の眉間に、槍の穂先。
赤毛の男の眉間に、銃口。
「私は佐山御言、世界の中心に立つ者だ。ゲームに乗っていないのならばそれを下げたまえ」
「……ハーヴェイ」
眼に映ったのは、見知った槍。このハーヴェイなる男の支給品だったのだろうか。
佐山の奇言にも、ハーヴェイは僅かに眉を動かしただけの無関心な対応。
「なかなか新鮮な反応だが、無関心は現代人の悪癖と――」
「女の子を捜してる」
更には相手の言葉をぶった切っての質問。
かなり淡白で執着の無い性格なのだろう、と佐山は思いつつ、
「どんな女の子なのかね?」
「…………」
言葉を探しているようだが、なかなか見つからないようだ。
女の子、という以外に年頃の女性を形容する文句を殆ど知らないらしい。
語彙が貧困、というよりは性癖に根ざした問題だろう。
「……髪が肩の前後まではあったはず。あと、幽霊なんかが見える」
暫し考えてのハーヴェイの台詞に、佐山は黙考。
肩ほどまでの髪で霊能力者。――詠子君の言っていた知人か?
ならば会わせるべきだろう。そしてここはやはり感動の再会を演出せねば。
「それは私と同年代の女性だね?」
確認をとると、ハーヴェイはたぶん、と頷く。
「心当たりがある。ついてきたまえ」
そう言うと、佐山とハーヴェイは歩き出す。
互いに盛大な勘違いを抱えたまま。
132
:
メイド天使誕生
◆VoEIlrZXW2
:2005/06/06(月) 20:56:06 ID:MqxFG5Y.
【慶滋保胤】
[状態]:不死化(不完全ver)、疲労は多少回復
↓
【慶滋保胤】
[状態]:不死化(不完全ver)、疲労は多少回復、貧血状態(行動に多少支障あり)
こちらに変更お願いします。
133
:
159:クリティカル・シャドウ ◇7Xmruv2jXQ
:2005/06/06(月) 23:29:58 ID:MK/bu.h6
状態表の上、ベリアルの描写を以下に差し替えお願いします。
もう何度か修正してるのにすいません……。
「やってくれるわ、あのガキ……」
地面に転がったまま、ベリアルは悪態をついた。
全身が水に濡れそぼり、長い銀髪も前髪が顔に張り付いている。
銀の巨人の攻撃は直撃ではなかった。
近距離で受けたとはいえ、余波に過ぎない衝撃波で右腕を折られ、あばらも数本やられた。
止血はしたが、血もかなり流した。
衝撃で川に放り込まれ、どうにか岸に上がれたのは奇跡だった。
「どこまで流されたんか知らんが、生きてるだけ儲けもんか」
正介は歴戦の悪魔持ちだ。今まで様々な相手と戦い、そのことごとくを討ち滅ぼしてきた。
その経験から言えば、あの巨人の攻撃を受けて自分が生きてるのは不自然だ。
本来ならバラバラに四散していてもおかしくはない。
それだけの力を確かに感じた。ということは……
「あの化け物も、悪魔と同じように制限を受けている?」
そういうことなのだろう。
ならば、やり方によっては互角に渡り合えるはずだ。
「もっとも、もう会わんようにするのがベストやろうな。それ以前に、どっかで治療せんと、まずいわ」
ベリアルは苦痛を堪えて起き上がると、ゆっくりと闇へと消えていった。
134
:
魔女の消失1/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/08(水) 19:35:41 ID:K2iQuOdo
耳鳴りがするほどの静寂。
邪気の無い、純粋な、純粋すぎる狂気の笑み。
軋む胸。過去。痛み。
魔女。洗礼。悪役。法典……
――がた、と外から物音が聞こえた。
と、その音を契機にしてふっとあたりの空気が緩む。
「ああ、私が見てこよう。詠子君はここで待っていてくれたまえ」
言うと、片手は胸を押さえたままに、拳銃を携えて佐山は立ち上がる。
「大丈夫?」
声を潜めて尋ねる詠子に、佐山は笑みを返して歩み去る。
その足取りに、一切の隙は無い。
「うん……やっぱり法典君は強いなあ」
無邪気な微笑みを浮かべて佐山を見送り、詠子はくるりと振り向いた。
「でも、君はもっと強いのかな? “不気味な泡”さん?」
詠子の背後には、逆光に立つ棒のようなシルエット。
その口元が、左右非対称の奇妙な表情を浮かべた。
135
:
魔女の消失2/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/08(水) 19:36:47 ID:K2iQuOdo
佐山は歩む。路地の影を縫い、先程の音の元となった気配を探り、十字路に差し掛かる。
光と闇が交錯し、アラベスクの布を思わせる風景のその路地に、一歩――
「何者かね?」
「あんた、誰?」
佐山の眉間に、槍の穂先。
赤毛の男の眉間に、銃口。
「私は佐山御言、世界の中心に立つ者だ。ゲームに乗っていないのならばそれを下げたまえ」
「……ああ、そう」
眼に映ったのは、見知った槍。このハーヴェイなる男の支給品だったのだろうか。
佐山の奇言にも、赤毛の男、ハーヴェイは僅かに眉を動かしただけの無関心な対応。
「なかなか新鮮な反応だが、無関心は現代人の悪癖と――」
「女の子を捜してる」
更には相手の言葉をぶった切っての質問。
かなり淡白で執着の無い性格なのだろう、と佐山は思いつつ、
「どんな女の子なのかね?」
「…………」
言葉を探しているようだが、なかなか見つからないようだ。
女の子、という以外に年頃の女性を形容する文句を殆ど知らないらしい。
「……髪が肩の前後まではあったはず。あと、幽霊なんかが見える」
暫し考えてのハーヴェイの台詞に、佐山は黙考。
肩ほどまでの髪で霊能力者。――詠子君の言っていた知人か?
ならば会わせるべきだろう。そしてここはやはり感動の再会を演出せねば。
「それは私と同年代の女性だね?」
確認をとると、ハーヴェイはたぶん、と頷く。
「心当たりがある。ついてきたまえ」
そう言うと、佐山とハーヴェイは歩き出す。
互いに盛大な勘違いを抱えたまま。
136
:
魔女の消失2/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/08(水) 19:37:47 ID:K2iQuOdo
「君は掛け値なしに危険だ。無自覚に、悪意無く、無邪気に――世界に狂気と破滅をもたらす」
「あなたの魂のカタチは私にも見えないみたいだね……だけど、だからこそ不自然な空白が出来る」
都市伝説に謳われる死神、ブギーポップ。
都市伝説をその掌中に弄ぶ魔女、十叶詠子。
「そうして君が重ねようとしている世界に、どれだけの人々が命を失い、どれだけの人々が狂気に侵される?」
「さしずめ水の中の泡、かな。そうして綺麗な泡に誘い込まれて、歪んだ人たちがみんな失われてしまう」
路地にしん、と闇が堕ち、静寂が音という音を排除して耳を圧する。
「それを一種の環境の変化と捉えるにしろ、その環境に適応できてしまった存在は、もはや人間ではない」
「私は“できそこない”になってしまう人たちが可哀想なだけなのに。あなたも融通が利かないねえ」
異形と異形。
狂人と死神。
夜会の魔女と自動的な泡。
歪みに狂う娘と、歪みを刈る者。
「こんな場でも、いや、だからこそ断言できる」
「うん、確かにあなたは“物語”の存在だけど、そうして人の身体を借りてる以上は私を殺せる」
互いの言葉は噛み合わない。
そもそもどちらも会話をしようという気すら無い。
「君は、世界の敵だ」
微笑みを浮かべた詠子は、仰々しく両手を広げる。
「そう、私は世界の敵。でも私は、」
一息。
「この世界の敵にもなれる。――それでも殺すの?」
137
:
魔女の消失4/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/08(水) 19:44:35 ID:K2iQuOdo
「ああ。殺す――僕は自動的だからね」
答えはひどく、無感情だった。
「なら、なぜまだ殺さないの?」
「佐山君に気兼ねしているからさ。彼には恩義があるからね」
冗談めかして言の葉を紡ぐブギーポップ。
確かに大概の殺し方では、僅かな痕跡から佐山は感付くだろう。
「そう、なら隣のエリアに湖があるし、そこに突き落としたら? 証拠は残りにくいよ?」
「それでも放送で伝わってしまう……彼まで世界の敵になってしまうと、面倒だ」
「大丈夫。しばらくは行方不明の扱いになるから、法典君も心の準備ができると思う」
彼は強い子だよ、と微笑みを浮かべ、詠子はブギーポップの手を取る。
「さあ、私は抵抗しないよ? 縛って括って殺してみせて? 不気味な泡さん」
路地の向こうから、二人分の足音が聞こえる。
判断は一瞬だった。
それらが到着する前に、音も無くブギーポップは走り出す。
「速い速い。流石だねえ」
抱きかかえられた詠子は、笑みを浮かべて無邪気にはしゃぐ。
――その狂気の前には、死すらも映っていないのか。
138
:
魔女の消失5/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/08(水) 19:47:34 ID:K2iQuOdo
ブギーポップは、違和感を感じていた。
地下から戻り、見つけた敵の気配は知人と行動を共にしていた。
その知人が、世界の敵となりうる要素を持っていたことも事実だ。
彼を刺激しないよう、隙を見て彼女を殺そうとして――相手の言葉に従って殺し方を選んでいる。
……何故?
島の制限?
魔女の言?
分からない。分からないまま、湖の縁、崖じみた高所にブギーポップは立っている。
「下は深い淵だ。デイパックと衣類を身につけた君の運動能力では、確実に助からない」
抱えた詠子に言うと、詠子は微笑んだ。
「ん。じゃあ、最後に一言だけ良いかな?」
すとんと地面に降り立ち、詠子は崖の縁に立つ。
「遺言かい? 伝えられるならば伝えるが……」
と、詠子はふるふると首を左右に振る。
そのまま魔女の短剣を取り出し、手首を浅く切る。
「……万全だったら、不気味な泡さんの勝ちだったんだけどな」
手首から滴り落ちる鮮血が、やけに紅い。
詠子はざんねんでした、と悪戯めいた囁きを残し、流れる血の雫と共に――崖の縁から身を躍らせた。
「……!」
ブギーポップが、即座の判断で包丁を投擲。
落下する詠子に包丁が迫るが、湖から湧き出た手のような何かがそれを振り払う。
どぼん、と。
いともあっさりとした音と共に、詠子は湖に沈み――そうしてもう、泡沫一つ上がってはこなかった。
「してやられた……? 僕が?」
流石にこれ以上は追えないだろう――本当に調子が狂っている。
と、ブギーポップの身体が僅かによろめく。
「もう時間か……単独行動ばかりさせていては、藤花君にも悪い。佐山君と合流といこうか」
気を取り直して、とばかりに頭を一振り。
ほんの少しだけ楽しげに、ブギーポップは来た道を引き返した。
139
:
魔女の消失7/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/08(水) 19:48:59 ID:K2iQuOdo
【ハーヴェイ】
[状態]:生身の腕大破、他は完治。(回復には数時間必要)
[装備]:G−Sp2
[道具]:支給品一式
[思考]:まともな武器を調達しつつキーリを探す。ゲームに乗った奴を野放しに出来ない。特にウルペン。
[備考]:服が自分の血で汚れてます。
鳥羽茉理とカザミを勘違いしています。
【宮下藤花(ブギーポップ)】
[状態]:健康
[装備]:ブギーポップの衣装
[道具]:支給品一式。
[思考]:あちこち彷徨っていたら佐山達を見つけたので声をかけた。(と思っている)
【D-6/湖/1日目・12:36】
【十叶詠子】(消失中)
[状態]:???
[装備]:魔女の短剣、『物語』を記した幾枚かの紙片
[道具]:デイパック(支給品一式、食料が若干減)
[思考]:???
注:詠子が死亡するか、湖の岸に流れ着くか、異界に入るか。
またはそれ以外のどのような道を辿るかは、次の書き手さんにお任せします。
140
:
名も無き黒幕さん
:2005/06/08(水) 19:49:49 ID:K2iQuOdo
>>136
は3/7のミスです。
失礼致しました。
141
:
砂の上の黒い踪跡
◆l8jfhXC/BA
:2005/06/17(金) 18:30:50 ID:ZVCLfpzM
7から8に当たる一部分を修正します。お手数おかけして申し訳ありません。
「娘、二つ質問をしよう。まず……お前はチサトという名か?」
意図がよくわからない質問だった。“チサト”だとしたら──見逃してくれるのだろうか。
「……その顔からするに違うようだな。ならばいい。では、もう一つ聞こう。──お前に確かなものはあるか?」
男は自分たちを一瞥しただけで、答えを聞く前に次の──これもまた奇妙な質問に移った。
──確かなもの。
そんなものが、このゲームの中にあるわけはなく。
キーリはしばしあっけにとられた後──再び表情を引き締めてこう言った。
「…………そんなもの、ない。神さまだっていないのに、そんなもの、あるわけがない。
……でも。でも、私は生きたいって思ってる。 ハーヴェイと一緒に、ここから出たいって思ってる!
その私の意思だけは確かで、信じられる!」
「……そうか。ならば、俺はその意思を奪うとしよう」
そして男の言葉と銃声が、由乃の耳に入った。
「……」
目を見開いたまま死んでいる少女を、ただ石でも見るかのようにウルペンは眺めていた。
何の偶然も起きないまま、弾丸は彼を大きくはずれ、そして彼の念糸は彼女から命を奪った。
(この娘は契約者ではなかったか)
この男と旧知の仲だったようなので、あるいは、と思ったのだが。それに、探していた女とも違ったようだ。
「…………の……」
「念糸の威力を抑えたのは俺だ。偶然ではない」
142
:
Harmony is mangled 10/11 ◇7Xmruv2jXQ
:2005/06/21(火) 00:17:15 ID:MK/bu.h6
【042 シャーネ 死亡】で【残り 76人】でした。
訂正します、どうもすいません。
143
:
今、一人が死んだ(1/)の修正
◆eUaeu3dols
:2005/06/21(火) 06:36:48 ID:tIApGrY6
それでも、内心では問わずには居られなかった。
気の置ける仲間達が居れば、こんな事にはなっていなかったのではないか。
↓ ↓ ↓
それでも、内心では問わずには居られなかった。
気の置けない仲間達が居れば、こんな事にはなっていなかったのではないか。
気の置けない仲間達、に修正をよろしくお願いします。
144
:
魔女の消失2/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/23(木) 18:45:20 ID:qiVHkK6I
「君は掛け値なしに危険だ。無自覚に、悪意無く、無邪気に――世界に狂気と破滅をもたらす」
「あなたの魂のカタチは私にも見えないみたいだね……だけど、だからこそ不自然な空白が出来る」
都市伝説に謳われる死神、ブギーポップ。
都市伝説をその掌中に弄ぶ魔女、十叶詠子。
「そうして君が重ねようとしている世界に、どれだけの人々が命を失い、どれだけの人々が狂気に侵される?」
「さしずめ水の中の泡、かな。そうして綺麗な泡に誘い込まれて、歪んだ人たちがみんな失われてしまう」
路地にしん、と闇が堕ち、静寂が音という音を排除して耳を圧する。
「それを一種の環境の変化と捉えるにしろ、その環境に適応できてしまった存在は、もはや人間ではない」
「人間がそういうものになるのだとしたら、それは人間にそいういうものになる力と可能性があった、ってだけじゃないかな?」
異形と異形。
狂人と死神。
夜会の魔女と自動的な泡。
歪みに狂う娘と、歪みを刈る者。
「――こんな場でも、いや、だからこそ断言できる」
「うん、確かにあなたは“物語”の存在だけど、そうして人の身体を借りてる以上は私を殺せる」
互いの言葉は噛み合わない。
そもそもどちらも会話をしようという気すら無い。
「君は、世界の敵だ」
応じて詠子が、仰々しく両手を広げる。その顔には、笑み。
無邪気と言うには、その正邪の概念は著しく我々の常識から乖離している。
「そう、私は世界の敵。でも私は、」
一息。
「この世界の敵にもなれる。――それでも殺すの?」
145
:
魔女の消失7/7
◆a6GSuxAXWA
:2005/06/23(木) 18:46:21 ID:qiVHkK6I
【宮下藤花(ブギーポップ)】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式。ブギーポップの衣装
[思考]:あちこち彷徨っていたら佐山達を見つけたので声をかけた。(と思っている)
146
:
砂の上の黒い踪跡(11/11)
◆l8jfhXC/BA
:2005/06/24(金) 20:38:06 ID:/shNDqX.
藤花の状態を修正します。
【宮下藤花(ブギーポップ)】
[状態]:藤花状態。健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)、ブギーポップの衣装
[思考]:佐山についていく
147
:
炎上、再び (最強対最胸) 5および6
:2005/06/25(土) 16:53:01 ID:pBSSTsig
漏電でもしたのか、売り物のライターから失火でもしたのか、徐々に煙が回り火の粉が舞う。
両足のそれは致命傷ではない、すでに痛みも引きつつある、しかし戦線から取り残されるには十分な傷だった。
初めての敗北のときと重ね、フォルテッシモは、
「馬鹿馬鹿しい」
吐き捨てた。
立ち上がろうとして失敗し、尻餅をついて笑う。
初めは己を嘲る様に、しかしその笑みは次第に晴れ晴れとしたものへ変わる。
「生き残れ。俺がお前の挑戦者と……」
そこでフォルテッシモは言葉を止めた。体がぶるりと震える。
気がつけば、火の粉が群青色に染まっていた。
空気が、空間すら震える殺気で染まっていた。
視線をめぐらせその元を探るが、殺気は四方八方から等しく注がれていた。
思考が無意識に臨戦態勢へと移行する。
「誰だ」
フォルテッシモの苛立たしげな誰何の声に、物陰からずんぐりムックリの獣達が取り囲むように姿を見せる。
その数7匹。それらがいっせいに口を開け、女と男の声がひどく軽薄な死刑宣告をステレオで告げた。
「はじめに言っとくわ。あたしはあんたを負かしたあいつを追わなきゃいけないのよ、だから速やかに殺されなさい」
「ま、そー言うこったッ! 楽しませてくれる必要はねえ。ヒッアハァー!」
フォルテッシモの本能に火がついた。
じりじりとにじり寄る、ひどく滑稽な死の表現。フォルテッシモは口元をゆがめ、前方の三匹を無警告で薙ぎ掃った。
「ハ・ズ・レ!」
三匹の獣は亀裂に裂かれた。真っ二つになったそれらが、次を狙う彼の目前で嘲笑とともに爆発する。
次の瞬間、吹き荒れる火の粉から顔を庇うフォルテッシモめがけて、残る四匹の獣達が殺到した!
舌打ちどころではなかった。油断なく張っていた全周囲の空間断裂で完全に外部と遮断。
一旦阻まれた獣達が、その周りを踊るようにぐるぐると回りだす。
獣の中央、口とおぼしき裂け目がガクガク揺れる。
笑っているのだろうが、断裂にさえぎられフォルテッシモにはその声が聞こえない。
「とんだメリーゴーランドだ、くそったれッ!」
獣の数はいつの間にか七匹に戻っている。フォルテッシモの頬を汗が伝った。熱気ではなく、焦りで。
いまだ回復しない足、完全に押し込まれた状況。現状を打開するため、フォルテッシモは敵の狙いを思考する。
煌く群青の火の粉がその目に留まる。閉鎖空間、燃える炎。
「酸欠か!」
応じて動く獣の口、ハ・ズ・レ、と。空間断裂の内側で、より最悪な事態が展開された。
火の粉が収束する。紛れもない群青に火の玉に。
「!」
空間を操作する間もなく、火の玉はフォルテッシモの眼前で炸裂した。
今度は悲鳴もなかった。喉を、肺を、目を焼かれ、空間断裂が解除される。
飛びかかってくる獣のような女の声。耳障りな、悲鳴にも似た笑い声。最期は全身を砕く一撃。
眠りよりも深く、気絶よりも迅速に、フォルテッシモの意識は闇へと消えた。
148
:
馬鹿な男4/7・7/7
◆lmrmar5YFk
:2005/06/26(日) 01:42:13 ID:u1Qscqyw
憤怒の目で狙撃手を見つめた彼女は、手にした呪符を狙撃手へ向けて振り構えた。
「臨兵闘者以下略!雷光来来、急々如律令!」
叫んだ言葉と共にひらりと一閃されたそれから走った雷撃は、格納庫の壁面をしたたかに打ち鳴らし、その威力にがらがらと入り口付近の壁が崩れ落ちる。
しかし、逃げる相手は落ちてくる破片を物ともせずに、寄り添う二人に向けてもう一発銃声を唸らせた。
「何でですか? 何でみんな、ミラを知らないっていうんですか?」
[道具]:支給品一式。呪符×19。 陸
4のラスト4行と7の淑芳の状態(呪符の枚数)を、以上に修正お願いします。
149
:
: 戯言は止まらない 修正 ◇Sf10UnKI5A
:2005/06/26(日) 23:51:30 ID:nMvLa.qc
(2/7)
けたたましく騒ぎ立てる少年と、眼鏡をかけた無言無表情の少女だった。
→けたたましく騒ぎ立てる少女と、眼鏡をかけた無言無表情の少女だった。
(3/7)
「そっちの少女は?」
→「そっちの子は?」
修正お願いします。
150
:
<管理者より削除>
:<管理者より削除>
<管理者より削除>
151
:
願う再会、願わぬ再会 修正
:2005/07/05(火) 00:11:30 ID:ID3GV2uI
(4/7)後半部から(5/7)にあたる部分、及び(7/7)の時間表記を以下に差し替えてください。
(4/7)〜(5/7)
話し合いの結果、リナとシャナは携帯電話を持ってベルガー達と合流。
ダナティアとテッサは、相良宗介と合流後にC−6へ移動することに決まった。
ダナティアは二人に罠に充分注意するように、テッサには聞こえないようにして告げた。
そして、四人は二手に別れて歩き出す。
空を覆い始めた灰色の雲は、彼女らの未来を暗示しているのだろうか。
鬱蒼と茂る森の中を、二人の少年――正確には片方は少女なのだが――が歩いている。
宗介とキノは、最小限の会話しかせずに黙々と歩いていた。
元々が無口な二人なので、当然と言えばそうかもしれない。
しかし、宗介には口に出す気も起きない不満があった。
――予想外に時間を食ってしまったな……。
それは、罠の設置を終えて移動しようと思った矢先の出来事だった。
バサッという音と共に、仕掛けた罠――『スピア』が突然作動したのだ。
それも一箇所だけではなく、少し離れたもう一箇所も作動していた。
獣でも引っ掛かったとしか考えられないが、それにしても死骸が無い。
ウサギのような小動物がスピアの下をすり抜けた可能性はある。
しかし、原因を探るよりも罠を元に戻す方が重要だ。
哀れな誰かが引っ掛かるまで存在を隠しておかねば、罠は罠にならない。
やむなく宗介は二箇所のスピアを補修し、そして改めて学校へと歩き出したのだった。
ふと、宗介は異音を耳にした。
自分達の足音以外の音。かすかに聞こえるのは、何者かが草を蹴飛ばし駆ける足音。
その音をキノへ知らせようとするが、彼は既に足を止めていた。
「……聞こえましたか?」
「肯定だ。ひとまず索敵を」
ゆっくりと体勢を低くし、手近な木に背を預ける。何も言わずともキノは反対側に回った。
木々の合間へ目を向け、足音の主を探す宗介。
さほど苦労もせずにその正体を見つけることが出来た。
――金髪の女か。それに、もう一人いるか?
(7/7)
【D−4/森林部/一日目・14・10】
152
:
戯言は止まらない 修正1
:2005/07/05(火) 01:30:22 ID:ID3GV2uI
お手数ですが、状態表以外の全文の差し替えをお願いします。
海岸傍の草原を二人の少女――片方の精神は男だが――が歩いている。
匂宮出夢と長門有希の二人は、マージョリーから逃げた後に市街地に隠れて体力を回復。
その後、SOS団最後の生き残りである古泉と、行方不明になった坂井悠二を探して歩き続けていた。
しかし、かなりの距離を歩きはしたが、結局二人以外の誰かにすら会えずにいた。
―― 一旦戯言遣いのお兄さんとこに戻っかぁ……?
出夢の後ろを歩く長門は、今はしっかりとした足取りをしている。
しかし、人間としては規格外である自分に、いつまでも付き合わせるわけにいかない。
――どっちにしても、まずは少し休んでからだな。
二人の歩く先には、一軒の大きな建家がある。
海岸からほど近いD−1にある公民館の中では、頭脳派四名による情報交換が続いていた。。
「――とまあ、ありえないほど馬鹿らしい話だったけれど、それが平和島静雄って男なんだよね」
「自販機投げてナイフを腹筋で弾き返す、か。今更どんなバケモンが出てこようと疑わへんわ……」
溜め息をつく緋崎ことベリアル。
自分の怪我が、正真正銘の化け物によって負わされたものだとまでは言わない。
「さ、次はそっちが情報を出す番だ」
「そやったな。おらガユス、お前の番やで」
言いつつガユスの体を小突く。
「……ああ、クエロのことだったな。あの女は……」
未だに鬱々とした暗い顔をしているガユスは、そのまま話し始めようとして――
突然、強烈な衝撃音と共に部屋の扉が破壊され、ガユスの言葉は中断させられた。
――いきなり何や!? これ以上の面倒は御免やで……!
ベリアルを初めとし、全員が疑問を顔に浮かべ、鍵と蝶つがいの壊れた扉を見る。
そこに立っていたのは、
「どぉ――もこーんにーちはーァッ! 何か話し声が聞こえたから、不っ法侵入してみましたぁ!!
まことにお騒がせしております……って選挙カーかっつーのっ! ぎゃははははっ!!!」
「…………」
けたたましく騒ぎ立てる少女と、対称的な無言無表情の少女だった。
「……あんたら、何もンや一体……」
闖入者に対し、ベリアルは呆れと警戒が入り混じった声をかける。
「あーん? お兄さん、『殺し屋』に向かって名前を聞くのかい?
どうなっても知らねーぜ? もっとも『元・殺し屋』だけどな――ぎゃはははっ!」
「…………」
返ってきたのは、物騒な内容の叫びと無言だった。
「つ――――っかっさぁー、みんなそんなに僕に注目しないでくれるかなあ?
そんな風に見つめられたら、いやあん出夢ちゃんは体の芯の奥まで
火照って震えて痺ッれちゃうぅーううううう……イエーっ!!」
『…………少し落ち着けそして黙れ』
ベリアル、臨也、ガユスの声が見事に重なった。
153
:
戯言は止まらない 修正2
:2005/07/05(火) 01:32:13 ID:ID3GV2uI
「……で、出夢君? 君はゲームに乗ってるのかい?」
たまたま一番近くにいた臨也が問いかけた。
「生憎ながら、殺戮は一日一時間って決めてるのさ。
大事な一時間をあんたらみたいな弱そうな人に使う気は無いね」
ある意味予想通りの、微妙にズレた回答が返ってくる。
「そっちの子は?」
「……長門有希」
今度は意外なことに、ここに来て初めて長門が口を開いた。
しかしその口はすぐに閉まり、また出夢が話し出す。
「おいおいおいおいお兄さん。一方的な質問はちょーっと卑怯じゃないかい?」
「まあ、それもそうだね」
「だろ? つーわけでっ質問ターイム。三つ受けたからこっちも三つな。
まず、坂井悠二って男を知ってるか?」
答えはノー。
「んじゃ、古泉って男は?」
これもノー。
「なんでぇ外れかよ。そいじゃ、最後の一つだけどさあ――」
一拍の間が空き、
「そこのお姉さんの名前、教えてほっしいなあー」
その言葉の意味を真に理解していたのは、問いかけた出夢と質問対象の子荻だけ。
(何故、話し相手の俺じゃなくて子荻ちゃんを……?)
疑念を持った臨也の返答が遅れる。そして、
「――確か、萩原子荻やったなあ」
臨也のわずかな変化を見たベリアルは、横から素早く口を挟んだ。
その言葉を聞いた出夢の表情は、ニヤニヤ笑いを浮かべたまま深く頷く。
「なっげえ髪に、その物腰、その眼……間違いねえか。
にしても、『策師』の萩原子荻までいやがるたあな。
哀川潤だけでも僕ちゃん震えて漏らしちゃいそうなのにさあ……」
ぶつぶつと一人呟く出夢。
「おいガキ、何の話しとるんや?」
「お兄さん達とは違う世界の話さ。関わらない方が身のため――つってももう手遅れか。
こんな島まで連れてこられちゃあなあ」
出夢は、ゆっくりとした手の動きで長門を廊下へ下がらせた。
「その肩の物を撃つなよ『策師』。今お前が撃ったら、僕は全身全霊全力をかけてここの全員を殺戮しなきゃならねえ」
物騒なことを言いながら、出夢もゆっくりと下がった。
「お兄さん達に大サービスで、つまらないことを話してやるよ。
そこにいる『策師』は、殺戮奇術集団である匂宮雑技団と、
殺人鬼集団の零崎一賊を敵に回して対等に渡りあったっつー唯一の存在だ。
僕がその雑技団でさんざっぱら言われたことはなあ――」
一拍の間が空いた。
「――『死色の真紅・哀川潤と策師・萩原子荻には関わるな』」
154
:
戯言は止まらない 修正3
:2005/07/05(火) 01:33:14 ID:ID3GV2uI
沈黙は長くは続かず、打ち切ったのは出夢自身。
「こんな島でゲームなんかに巻き込まれてなきゃ勝負してるんだけどな。
血の臭いがプンプンするし、戯言遣いのお兄さんのことも気になるし、僕は逃げさせてもらうぜ。
そんっじゃあ、アッッディオ―――― ォォォスッ!!」
「ちょっ、待――」
既に廊下を走る出夢に、静止の言葉は届かない。
結局出夢は、突然現れ好き勝手喋りあっという間に消えてしまった。
部屋に残ったのは、困り顔の臨也と、無表情を貫く子荻と、
その二人をあからさまな疑念の目で見るベリアルとガユスだった。
「いやぁ、悪いなおねーさん。まさかあんな化け物がいるとは思わねえっての、ぎゃははっ!」
「それはもういい。降ろして」
マージョリー・ドーから逃げた時と同じ様に、長門は出夢の腕に抱きかかえられていた。
わりぃわりぃ、と一応の謝罪をしつつ、出夢は長門を降ろした。
「んじゃ、一回お兄さんところに戻ろーぜ。もしかすっと古泉ってのがいるかもしれねぇしな」
長門の返事も聞かずに出夢は歩き出す。結局長門もその後に続いて歩き始めた。
既に彼らの戻る場所には、誰も残っていないと知らぬままに。
155
:
修正願い
:2005/07/05(火) 20:37:53 ID:pBSSTsig
・――鏡には厭なものが映る の状態テンプレに変更
【H-1/神社・渡殿/1:30】を追加
コミクロン状態表の道具末尾(パンは砂浜で食べた)の削除。
イド君(エス)の悲劇 の修正
4の頭のエスカリボルクを棘付きバットに差し替え。
状態表の時刻を13:30から13:45に変更
細かい部分が多くて申し訳ないです。お願いします
156
:
今、一人が死んだ【修正稿】(1/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:42:56 ID:yBh8MmFE
「サガラさぁーんっ!!」
テッサが声を上げて駆け寄ってくる。今にも転びそうになりながら、必至に走ってくる。
宗介は思わず硬直していた。
(何故……)
問うまでもない。彼女が自分を捜す事は十分に考えられた。
考えるまでもない。彼女が生き残り、自分を捜しているのなら、いつか出会うのだ。
(何故、こんな時に来るのです!? 大佐殿!)
だからこの迷いと焦りに満ちた問い掛けは理不尽だ。
それでも、内心では問わずには居られなかった。
気の置けない仲間達が居れば、こんな事にはなっていなかったのではないか。
例えば、優れた指揮官である彼女と一緒であれば何かが違ったのではないか?
クルツの死は避けようがなかったかもしれない。
だが、無為に人を殺したり、オドーが強敵と一対一で戦って死んだりするような、
そんな選択ではないもっと適切な判断が出来たのではないだろうか。
かなめを人質に取られて5人もの人を殺さなければならない現状が、
何か違う物になっていたのではないだろうか。
(――何を甘えているのだ、俺は)
いつの間にこれほど疲れていたのか。そんな事を考えても意味が無い。
かなめの命が彼の双肩に掛かっている現状も変わらない。
だから、彼女の足下に銃弾を撃ち込んだ。銃声は曇り空の下、思いの外鈍く響いた。
「サガラさん!?」
「大佐殿、下がってください。自分はゲームに乗りました。
自分は、大佐殿を殺したくありません」
単純で残酷な宣言。それだけで十分だと宗介は考えた。
「……嘘」
「嘘ではありません」
もし現実を認めずに信じようとしないならば、撃たなければならない。
それだけだと自らに言い聞かせる。
「いいえ、嘘です」
宗介はテッサが断言した事に気づいた。
テッサは俯きも目を逸らしもせずに、正面から宗介を見つめていた。
強い怯えと共に、何か確信を宿した視線を向けていた。
157
:
今、一人が死んだ【修正稿】(2/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:43:37 ID:yBh8MmFE
「もし、サガラさんがゲームに乗っていたなら、私を帰す理由が有りません。
ゲームの勝者は一人だけ。無力な者も力を得るかもしれない。
今、勝者になる為に動いているなら、サガラさんは最初に私を殺そうとしたはずです」
「……………!!」
もちろん、例外はある。
例えば、愛しい誰か一人を勝ち残らせる為にそれ以外の全ての人を殺し、
その上で自害するだとか……そういった道も有り得るだろう。しかし。
(サガラさんがその道を選ぶとしたら、それは……それはきっと)
――それはきっと、千鳥かなめの為に選ぶ道。
「俺を惑わせるつもりなら……貴方を撃ちます、大佐殿」
僅かに震えながらも、銃口をしっかりとテッサに向けて食い下がる宗介。
「必要なら、私を殺せるのですね?」
「……そうです」
宗介がテッサを殺せる。それが事実だとすれば、テッサ自身が深く傷つく事。
テッサはそれを――
「それなら、どうしてさっきは撃たなかったのですか!?」
――それを認める事で宗介を返り討った。
「!?」
必要であれば殺せるにも関わらず殺さなかった。
それは勿論、先ほどの状況が必ずしもテッサを殺さずとも良い状況だったという事だ。
ゲームに乗ったと前提するなら、それは有り得ない。
つまり、相良宗介はゲームに乗っていない。あるいは、テッサを殺す事が出来ない。
「サガラさんはゲームに乗っていない」
その二択を敢えて一方と確定する事で、テッサは宗介を追いつめた。
(私は、サガラさんにとって私が殺せない人間であると信じるよりも、
サガラさんがこんなゲームに乗るような人間ではない事を信じたい!)
彼がそんな人間であると信じているから、彼女は宗介の事が好きだった。
それはずっと前に通り過ぎた、今更変えられない事実の再認識。
その冷え切るような切ない想いと、冷静な思考の下に組み立てられた推測が、
彼女に答えを教えてくれる。
「かなめさんに何かあったんですね?」
158
:
今、一人が死んだ【修正稿】(3/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:44:22 ID:yBh8MmFE
相良宗介が殺傷力の高い罠を仕掛け、人を殺そうとしていたのは紛れもない事実だ。
そして、相良宗介にとって殺人はそう大した禁忌では無い事もまた事実だ。
だからといって彼は意味も無く人を殺せる人間ではない。
ゲームに乗る以外にその理由が有るとすれば、誰かに強要された事が考えられる。
彼は彼自身の命を重く見ない。誰か他人の命が掛かっていると考えるべきだろう。
クルツが死に、テッサが目の前に居る以上、最も可能性が高いのは誰か?
(つまり、この人は他の誰かに良いように使われているわけか)
少年――実は少女である――キノは冷静に話を聞き、思考していた。
(罠を仕掛けていた事から、相手は無差別だ。
他の全参加者を殺せ、というわけではない。でも一人殺せばいいわけでもない。
そうだとしたらもっとボクを襲おうとする素振りが有るはずだ)
冷静に、冷酷に、どの程度利用できるかを考える。
おそらく自分が『一人分』として見られている事も考えに含め……
(まだ役に立つ。だけど、手を切る時は近いな)
そう結論付けると、背後方向への警戒を止め、宗介と来訪者達に目を向けた。
宗介は、応える事も出来ずに立ちつくしていた。
テッサは宗介を見つめ、その答えを待っていた。
今にも泣き出してしまいそうな心を懸命に押さえつけながら。
――いつしか、彼女の代わりに泣くかのように空が水を流し始める。
ぽたり、ぽたりと滴り始めた水滴は、すぐにざあざあと降り注ぐ雨に変わった。
強い風が吹き、役者達に豪雨と泥水を浴びせかける。
まるで大泣きするかのような雨のなかで、宗介はようやく心を決めた。
「……肯定です、大佐殿。
チドリを人質に取られ、自分は参加者達の殺害を余儀なくされています」
銃口を向け、デコッキングレバーに指を掛ける。
「自分は如何なる手段を取ってでもチドリを助けます。それを止めようというのなら……」
「そう。それじゃ、ここからはあたくしが話の続きを引き継ぐわ」
テッサのすぐ後ろから、金髪の若い女性――ダナティア皇女が歩み出た。
「守られるかすら判らない約束に縋って身を落とすより、隙を見て取り返しなさい。
あなたの為に何人もの人が殺されたのだ。そんな業を勝手に背負わせるつもり?」
159
:
今、一人が死んだ【修正稿】(4/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:45:07 ID:yBh8MmFE
ぞくりと、宗介の背中に寒気が走った。
「それは……」
「あなたが罪を被れば良いとでも思っていたの? 滑稽だわ。
ただでさえ、自己を犠牲にして大切な人を助ける事は救いにならない。
助けられた者は、助けた者の受けた犠牲を自らが受けたかのように感じるでしょうね。
傷も、罪も。時には実際にそれを受けた者以上に」
「――っ」
それは、相良宗介がしているやり方では、例え千鳥かなめを救えたとしても、
その過程で相良宗介が受けた以上の痛みを千鳥かなめに与えてしまうという事。
「それで助けるだなんて烏滸がましい。
自分こそが、その過程で受ける傷や罪から助けられている自覚は有って?」
更にダナティアは続ける。
自らもそうしてしまう愚か者である事を自嘲しながら、宗介を止めるために。
「もし、誰かを助ける為に死にでもしたら……」
しかし、その言葉は同時に――
「それは、助けようとした人の心を殺す、自己満足の愚かな行為でしかないわ」
――キノの根底を揺るがした。
「ッ!」
それは正に神速。
刹那の間にキノはへイルストームの銃口をダナティアの額に定め引き金を引いた。
音速の鉛の塊がダナティアへと……放たれない。
「……ぇ!?」「これは……!!」
宗介はその瞬間にようやく、自分の握るソーコムのデコッキングレバーに
雨露を宿した、針金のような硬質な糸が絡んでいる事に気がついた。
キノの銃にも絡みついたそれは、薄暗い雨空の下でも黄金に輝いている。
ハッとダナティア皇女に視線を向ける。
「髪……!?」
「ええ、そうよ。先ほど、風に乗せてあたくしの髪を巻き付かせました」
強風に乗せ、雨水と泥水に混じった一房の毛髪に気づく事など出来るはずがない。
「勝負は戦う前に決しておくものだわ。あたくしと戦うなんて、百万年早くってよ!!」
裂帛の気合を篭めた叫びはそのまま暴風となり、泥を巻き上げて二人に襲い掛かった。
160
:
今、一人が死んだ【修正稿】(5/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:46:51 ID:yBh8MmFE
「下がっていなさい、テッサ!」
「でも……いいえ、判りました。だけど……」
「判っているわ。出来る限りは殺さないつもりよ」
その言葉にホッと安堵の息を洩らし、テッサは茂みの中に隠れた。
それに伴い敵対するものから見えにくくする防護服の機能がテッサを隠蔽する。
ダナティアは敵へと向き直った。
キノは咄嗟に左に跳んで暴風の塊を回避した。
隠れもせずに真っ向から相手を睨み付ける。
(許さない)
手持ちは封じられた銃と、弾の無いカノンと、パチンコと、散弾2発のみのショットガン。
それに折り畳みナイフが一丁だけ。
(ボクはあなたを許さない……)
敵との距離はざっと20m。この近距離でのショットガンは必殺の武器となる。
取り出し、構え、正確に狙いを定める。ここまでを一瞬でこなし、引き金を引いた。
「師匠の死は、ただの自己満足なんかじゃないっ」
宗介はギリギリで右に転がり暴風圏から逃れた。
暴風と水たまりが泥を全身に塗りたくり、宗介の姿を包み隠す。
(どうせ戦いは避けられないのだ。むしろ悩む必要が無くなり好都合だ)
いつの間にか姿が消えているテッサに一抹の疑問を抱きながらも、状況を視認する。
キノが瞬時に武器をショットガンに持ち替え、散弾を撃ち放つ。
(武器は封じられたソーコムとナイフが一つ、目標の武装は……!?)
既に攻撃に備えていたダナティアは暴風を呼び、全ての散弾が叩き落とされた。
宗介はナイフを握ると、茂みを駆け抜けた。
ダナティアはぞくりと寒気を感じた。
それは数十回と暗殺の危機に晒され鍛え上げられた危険の感知。
(透視で場所を……いえ、遅い!)
音も気配も無かったが、直感を信じて右前方に跳びながら振り向く。
それと同時に左後方の茂みから宗介が飛び出してきていた。
宗介のナイフが虚しく空を切る。
161
:
今、一人が死んだ【修正稿】(6/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:47:33 ID:yBh8MmFE
(流石にやるものね……)
ダナティアは内心で冷や汗をかいていた。だが、同時に順調だった。
彼女は超常の力を見せつけるために戦っていた。
圧勝すれば、その力をもって相良宗介に戦いを強要する誰かとの戦いに従わせる。
劣勢になれば、超常の力への恐怖が失われる事で、彼に戦いを強要する者を対処可能と考えさせる。
(問題はあの少年……いえ、ファリスと似た感じがするわ。女ね)
相良宗介からは僅かに距離を置いた。攻撃にも反応できる。もう一人は……
「なんですって!?」
相良宗介も確実に巻き込まれる射線。
にも関わらず、キノは二発目の散弾の引き金を引いた。
「しまった!?」
宗介は跳びすさりながら腕を上げて顔面を防御する。
しかし、幸運なのか散弾は思ったより飛来しない。
そのまま距離を取り、腕を下ろして状況を確認すると、負傷した目標がそこに居た。
(してやられた!)
咄嗟に暴風を起こしはしたが、相良宗介に当たる銃弾も防いだため、風の壁は最小限となる。
左の二の腕を抉られる。右足首を貫く。脇を掠め、頬を裂き、全身に傷が刻まれる……!
よろめき、木に持たれかかったその目に映るのはソーコムを構えた宗介の姿。
レバーに絡みつかせた毛髪は、既にナイフで切り裂かれ力を失っている!
「まずい――――!!」
銃と魔術の両方を知る事で作り上げた優位性は失われ、遂に戦況は五分となる。
宗介がレバーを上げると同時に、ダナティアは全力で風を呼んだ。
宗介が引き金を引くのと同時に、ダナティアは必殺の風の槍を放っていた。
その瞬間に『少女』は気が付いた。
追いつめられたダナティアの表情と余風の強さから、恐れていた事が起きてしまったと。
「!? この馬鹿!!」
ダナティアは失敗に気づき、自分が投じた風の槍を操ろうとする。
既に放った風の槍を曲げるだけ、簡単な事の筈だった。……いつもの彼女なら。
世界の制限を受け、英知の杖を持たないで使う魔術は、決定的な場面で彼女を裏切った。
風の槍が、二人の間に飛び込んだテレサ・テスタロッサを貫いた。
162
:
今、一人が死んだ【修正稿】(7/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:48:27 ID:yBh8MmFE
ゴポリと、口から血の泡が溢れる。
見下ろしてみると、胸にポッカリと握り拳くらいの大きさの穴が空いていた。
真っ赤な血が雨に流されて、でも絶える事無く、後から後から溢れている。
(ああ……やっぱりこうなったんですね)
二人の間に飛び込んだテッサは、背後から銃弾に、前から風の槍に撃たれた。
背後からの銃弾は防護服の概念により止められたが、風の槍はどうしようもなかった。
(なのに変ですね。サガラさんに撃たれた背中の方が……ずっと、痛いんです……)
全身から力が抜け、ガクリと膝が落ちる。
「大佐!」「テッサ!」
二人の腕が支えてくれた。
見上げるとそこには宗介の顔が有る。
「良かった……サガラさん…………死ななく……て…………でも……」
テッサは泣いていた。
「ごめ……なさいっ。勝手に…………こ…な……事……」
先ほど、ダナティアは言った。この行為は助けた相手を傷つけてしまう行為だと。
それが悲しかった。
助けたかった。本当にその想いだけでやった事が、同時に相手を傷つけてもしまう。
「構いません、大佐! 構いませんから……」
(構わないから……何と言えばいい?)
死なないで欲しい? せめて泣かないで欲しい?
宗介は、続く言葉を掛けられなかった。
「……ぁ…………」
降りしきる雨の中……テッサの瞳から、光が消えた。
――ダナティアは、テッサを支える宗介の手を振り払った。
「何を……?」
答えず、ダナティアは印を切り……次の瞬間、二人の姿がフッと消える。
「!?」
そこには大量の血痕だけが残され、それさえも降りしきる雨で、次第に薄らいでいく。
「何を……何故……?」
まるで判らなかった。
風が吹き、茂みがガサリと音を立てた。
163
:
今、一人が死んだ【修正稿】(8/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:49:57 ID:yBh8MmFE
「まだよ……まだ、足掻く時間は残っていてよ」
ダナティアはテッサを背負い歩いていた。
右足首に散弾を受けたため、びっこを引きながら、泥の中を歩いていた。
「まだ、死んではいないわ!」
そう、『まだ』死んではいなかった。
テッサの瞳は、もう何も映さず、しかしその唇はぶつぶつと何かを呟いている。
その内容は聞き取れないが、それ自体が生きている証だ。
ダナティアにはこんな致命傷を受けた人間を救う術は無いし、
その術を持っている者と出会える可能性も殆ど無きに等しい。それでも、『まだ』だ。
「感動的な死に様……そんな物に妥協なんてしなくてよ!」
泥に足を取られ、地面に叩きつけられる。
「くぅっ!!」
自分から下敷きになって衝撃を和らげると、すぐに立ち上がり、また歩く。
もう、テッサは何も呟いていない。それでもまだ、歩く。歩く。歩く。
また、何かに躓いた。だが、今度は誰かの腕が二人を抱き留めた。
「誰か?」と問うと、誰かは答えた。
「魔界医師メフィスト」
(俺は……どうすればいい!?)
宗介はダナティアの言った通り、自分を庇ったテッサが受けた痛みを感じていた。
自分のせいで、自分を慕ってくれる誰かが傷つき、時には死ぬという痛み。
それがどれ程に心に傷を付けるのかを噛み締め、恐れていた。
(大佐……!!)
そして……どうしようもない悲しみを感じていた。
また、同盟を組んでいるキノも、自らを犠牲にして死んでいったテッサと師の姿が重なり、
更にダナティアの揺さぶりにより、激しい動揺状態にあった。
だから、気づいた時には少しだけ間に合わず――宗介の両腕は宙に舞っていた。
「かはははっ、落とした小説を取りに来てみるもんだ。首を狙ったんだぜ?」
宗介の絶叫と血飛沫を浴びながら、零崎人識は自殺志願を弄んでいた。
教会の地下礼拝堂で、千鳥かなめが悲鳴を上げる。
何かが失われた事を感じながら。
164
:
今、一人が死んだ【修正稿】(9/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:51:40 ID:yBh8MmFE
救われた。何の根拠も無く、そう感じた。
目の前にいる男ならば救えると、そう思った。
「メフィスト医師。あなたに看てもらいたい患者が……」
だが、メフィスト医師はダナティアの口に手を当ててその言葉を遮った。
(何故……!?)
視線が合い、気づいた。……その美しい貌が、自らへの怒りに満たされている事に。
「今の私には、死者を甦らせる事は出来ない」
「――――っ!!」
テッサは、今度こそ事切れていた。
宗介は逃げていた。
偶然口に向けて落ちてきた自らの右腕を銜え、腕の無い両肩から血を迸らせながら。
(逃げてなんになる……!?)
判っている。どうせもう、意味が無い事くらい。
銃を失い、両腕を失い、同盟すら失った自分に、最早五人の殺害など出来る筈がない。
キノも、両腕を切り落とされた宗介に銃口を向けた。
いや、それ以前に……両腕を切り落とされてまだ生きている事が不思議なのだ。
あの場から逃げきれた事も、出血多量で意識を失ったりショック死していない事も。
(だが、俺は彼女に命を救われてしまった)
それなら、せめて少しでも生きなければ申し訳が立たない。
しかし、冷たい雨と壮絶な出血が高速で余命をカウントダウンしていく。
アドレナリンの大量分泌か、痛覚が完全にマヒしているのが唯一の救いだろう。
(かなめ……テッサ…………すまない…………)
朦朧となる意識の中で――ふいに視界が開けた。
「あなたは……!?」
驚愕の声。目の前にいるのはダナティア皇女。
その姿と声を感じて、途切れかけた意識が再び灼熱と化した。
(そう、どうせ死ぬのならば……せめてこいつを……!!)
銜えていた腕を地に落とし、腰のサバイバルナイフを歯で掴み、引き抜いた。
「フウゥゥゥゥゥッ!!」
雨の中、最後の余力を使い、宗介はダナティアに突進する!
165
:
今、一人が死んだ【修正稿】(10/10)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:52:24 ID:yBh8MmFE
だがその突撃もまた、ダナティアの転移と同じ悪足掻きに終わった。
ダナティアに辿り着く事すら出来ず、泥水に足を取られて倒れ伏す。
そこで彼の余力は尽きた。
「……メフィスト医師。せめて、彼の治療を頼めるかしら?」
メフィストは頷き、答えた。
「まだ生きている者ならば、全て治療してみせよう。
この島の参加者全てが私の患者だ。……君は良いのかね?」
ダナティアも散弾を止めきれずに傷を負い、ドレスは紅い襤褸のようになっていた。
その上、雨に体温を奪われ、それ以外の要因も有って血の気の失せた幽鬼の如く青白い顔をしていた。
だが、ダナティアは首を振る。
「彼の後でお願いするわ」
「そうか。私にとっては簡単な手術だが、終君達にも準備を手伝って貰う必要は有るな」
呟きつつ、メフィストは幸運にも彼が運んでくる事の出来た利き腕を拾い上げた。
「では行こうか。この近くに病院を見つけてね。私達はそこで雨宿りをしているのだよ」
そう言ってメフィストは宗介を背中に担ぎ上げた。
ダナティアはテッサを背負ったまま歩き出す。
「何故……だ?」
歩きながら、宗介が問い掛ける。
「何故、俺を生かす……?」
ダナティアは、それには答えず――唇を噛み締めながら、告げた。
「あたくしを憎みなさい、相良宗介」
教会の地下礼拝堂。
美姫に抱かれながら、かなめは泣いていた。
「どうしたのかえ? あの男が死んだのか?」
かなめは首を振る。彼女が知りえたのはその事ではなかった。彼女が知りえたのは……
(……テッサが死んだ。最後に偶然、共振が繋がって……最後に少しだけ話して……)
そして、かなめの中で消えていったのだ。
(でも、どうすればいいのよ! 今の私に出来る事なんて、それは……)
それは……吸血鬼化に伴い沸き上がる、自らの黒い欲望と戦い続ける事くらいしかなかった。
166
:
今、一人が死んだ【修正稿】(1/報告2)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:56:08 ID:yBh8MmFE
【B-4/病院/一日目/15:00】
【創楽園の魔界様が見てるパニック――混迷編】
【Dr メフィスト】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:デイパック(支給品入り)
[思考]:病める人々の治療(見込みなしは安楽死)/志摩子を守る/宗介とダナティアの治療
【ダナティア・アリール・アンクルージュ】
[状態]:全身に無数の傷/体力消耗/精神的にダメージ/[メフィストの治療が施される]
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水一本消費)/半ペットボトルのシャベル
[思考]:群を作りそれを護る。
[備考]:ドレスがボロボロになっている。
【相良宗介】
[状態]:両腕切断/貧血/気絶/[メフィストの治療が施される]
[装備]:コンバットナイフ。
[道具]:荷物一式/弾薬/右腕
[思考]:半ば絶望/かなめを救う?/テッサに報いるため長生き?/ダナティアを憎む?
【死亡:テレサ・テスタロッサ】
[装備]:UCAT戦闘服(胸部分に穴が空いている)
[道具]:デイパック(支給品一式)
167
:
今、一人が死んだ【修正稿】(1/報告2)
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 01:56:50 ID:yBh8MmFE
【D−4/森林/1日目・15:00】
【キノ】
[状態]:精神的に動揺している。
[装備]:ソーコムピストル(残弾11)/ヘイルストーム(出典:オーフェン/残弾6)/折りたたみナイフ
カノン(残弾無し)/師匠の形見のパチンコ/ショットガン(残弾無し)
[道具]:支給品一式×4
[思考]:最後まで生き残る。/目の前に居る人識にどう対処するか。
【零崎人識】
[状態]:平常
[装備]:出刃包丁/自殺志願
[道具]:デイバッグ(ペットボトル三本、コンパス)/砥石/小説「人間失格」(少し濡れた)
[思考]:惚れた弱み(笑)で、凪に協力する。/落とし物も拾った事だし、凪の所に戻ろうかな
[備考]:記憶と連れ去られた時期に疑問を持っています。
【D-6/地下/1日目/15:00】
【千鳥かなめ】
[状態]:吸血鬼化進行中?精神に傷
[装備]:鉄パイプのようなもの。(バイトでウィザード「団員」の特殊装備)
[道具]:荷物一式、食料の材料。
[思考]:吸血鬼化進行による黒い欲望や妄想に抗う
【美姫】
[状態]:通常
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品入り)
[思考]:上機嫌
168
:
今、一人が死んだ【修正稿】
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 02:01:39 ID:yBh8MmFE
以上の内容となります。
重要な修正点は次の通り。
・開始時点では雨が降り出しておらず、話の中で14:30になった時点で雨を降らした。
・終了時間が30分ずれこみ、15:00になった。
ついでに
・登場していなかった為か纏めサイト収録時に外された志摩子と終のテンプレをこっちでも外した。
・雨が振る描写を詰め込む為にそれより前に細かな微修正。内容は変化無し。
・他にも文体の修正は多少。
以上となります。
丸ごと入れ替えになりますが、どうかよろしくお願いします。
169
:
擦り抜ける灯火【修正】
◆eUaeu3dols
:2005/07/10(日) 02:15:35 ID:yBh8MmFE
続けて擦り抜ける灯火の修正。
こちらは一点のみです。
【セルティ・ストゥルルソン】
[道具]:デイパック(支給品入り)(ランダムアイテムはまだ不明)、携帯電話
↓↓↓
【セルティ・ストゥルルソン】
[道具]:携帯電話
天使のなっちゃんに取られておりました。
◆VoEIlrZXW2さんのメイド天使誕生の時からのミスのようです。
170
:
俺はロリコンじゃない(本人談)2/5修正 ◇R0w/LGL.9c
:2005/07/21(木) 20:38:19 ID:qfeNU2Ao
ザアアアアアァァァァァァ────……………
「アーリューセー! だーいーじょーぶーかー!」
「全然ー! 前もー! 見えませんのー!」
まさしく滝のような雨が全身を打つ。
1m先も見えずに、凄い雨音で声も聞こえにくい。
これでは追跡どころではない。
そう思い二人は雨の中建物を探して走っていた。
しばらく走り、先のほうにぼんやりと建物の影を見つけた。
「アーリューセー! あーそーこーはーいーるーぞー!」
出雲はアリュセの手を引っ張り、倉庫に向かって走っていった。
「到着!」
バーン! と倉庫の扉を思いっきり開けつつ登場した。
そこで出雲は中を見回し、そして思考をめぐらした。
倉庫の中には下着姿で焚き火を囲んでいるロリッ娘が二人。
こちらを無表情で睨んでいる。
「い、出雲さん…この方々は?」
背後からさらにロリが話しかけてきて再び思考を巡らす。
そして、手を打った。そうか。そういう事だったのか。
「すなわちここはロリワールド!──わあい異世界に突入だ俺」
「ぎゃはははは! 覗きは喰われてあの世行きだぜおにー───っさん!」
一瞬で間合いを詰めてきた貧乳ロリはいきなり殴りつけてきた。
コンクリートや鉄板を砕く一撃が出雲の腹に突き刺さった。
「おっと、やべぇおにーさん。結構本気で殴っちまった」
普通だったら腹部や内臓が根こそぎになる一撃だったが、打撃だったので出雲は加護の力で無事だった。
171
:
俺はロリコンじゃない(本人談)3/5修正
:2005/07/21(木) 20:39:37 ID:qfeNU2Ao
「ぐ、ぐふぅ…最近のロリはセメントだな」
「うわ頑丈すぎ! 最強だってボクの一撃食らったらただじゃ済まねーはずなのに──なーおねーさん」
いつの間にか生乾きの服を着ている長門に視線を送りながら出夢は言う。
アリュセがにやにや笑ってる出夢になるべく敵意を見せないように話しかけてみる。
「あの、特にこっちは戦う意志は無いんですの、だからここに雨宿りしてもいいですの?」
「んー? おおいいぜー。こっちもあんたらを殺す気は…あんまり起きねー──っての。なーおねーさん。
っつー──かおにーちゃんも女の子連れて覗きなんかするもんじゃねぇぜっ」
「うわなんかさらりと殺す気で殴られた俺を無視した発言」
「まー気にすんなおにーさん。突っ込みだって今のは。
ほらアンタの名前は出雲、ボクの名前は出夢。名前的にも相性ばっちりってか? ぎゃははははっ」
「今のは突っ込みか? いつからロリワールドは千里スタンダードな力加減に!?
あ──待て! そこの無表情系ロリ! 生乾きの服を無理に着ることは無いぞ! なんならこのバニーを一時的に──」
出夢の突っ込みが炸裂。出雲は吹っ飛ばされたが跳ね起きた。
「平気だからってぼかぼか殴るな! 俺が変になったらどうするんだ!」
「おうおにーさん。案外まともになるかもしんねぇぜ──とりあえずバニーをしまいな」
「くそうこの露出系ロリー──」
アリュセは諦めて焚き火の傍に近づいていった。無表情の女性と視線が合った。
「大変ね」
「ああ見えていい人なんですの」
ため息をついて焚き火で温まることにした。
172
:
俺はロリコンじゃない(本人談)5/5修正
:2005/07/21(木) 20:41:08 ID:qfeNU2Ao
『覚とアリュセ』
【出雲・覚】
[状態]:左腕に銃創あり(出血は止まりました)
[装備]:スペツナズナイフ
[道具]:デイバッグ(パン4食分:水500mm)/うまか棒50本セット/バニースーツ一式 /炭化銃
[思考]:ウルペンを追う/千里、ついでに馬鹿佐山と合流/アリュセの面倒を見る/ 雨宿り/ 出夢・長門には不干渉
【アリュセ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ(パン5食分:水1500mm)
[思考]:ウルペンを追う/カイルロッドと合流/覚の面倒を見る/ 雨宿り/ 出夢・長門には不干渉
※この場合の不干渉は行動を共にする・敵対する意志は無い、という意味です
173
:
俺はロリコンじゃない(本人談)修正
:2005/07/21(木) 20:42:53 ID:qfeNU2Ao
修正点
出夢君の他人称おにーちゃんからおにーさんに
出雲の装備と道具変更
宜しくお願いします
174
:
別離と対峙 2/9・修正版
◆7Xmruv2jXQ
:2005/08/01(月) 17:03:56 ID:FRS5uqYo
蒼い殺戮者が離れていくのは気配でわかった。
どうやら気を使ってくれたらしい。
風見は胸中で苦笑した。
3rdの自動人形ではあるまいし、あの歩兵にそんな気遣いが可能だとは。
よくよく考えればすでにかなり世話になっている。
拳銃使いから逃げ切れたのは彼のおかげだし、墓を掘ったのも彼だ。
どこかでまとめて借りを返さなければならないだろう。
「アンタに借りた分は、返せなかったわね」
墓穴に横たえられた、小柄な少年を見やる。
自然と体が震えた。
物部景。
島での最初の遭遇者。
線の細い、頼りなさそうな少年。
青いウインドブレーカーの魔法使い。
共同戦線……この時は、まだ疑いを持っていた。
移動途中に少女の遺体を見つけた……この島の現実を認識した。
どこか奇妙な女の子に襲われた……庇われ、少年は傷を負った。
眠る少年の顔を見る……この時、疑うことを止めた。
腕を振るった朝の食卓……ちょっとした恩返しだった。
襲撃者の登場……再び庇われ、少年は、命を落とした。
彼との同盟は、たったの半日しか続かなかった。
間違えた判断を後悔する。
間違えた自分を憎悪する。
戦うことには慣れていた。命が失われる意味も知っていた。
だから大丈夫だと、自分はなんとかできると驕っていた。
風見千里の驕りこそが物部景の命を奪った。
捨てることのできないその思いが、震えとなって現れている。
「……っ」
風見は奥歯を噛み締めた。
握った拳がぎしりと音を立てる。
175
:
別離と対峙 5/9・修正版
◆7Xmruv2jXQ
:2005/08/01(月) 17:05:30 ID:FRS5uqYo
なんとかしてこのゲームを終わらせ、そして、海野千絵に、このクロスを届けてもらう。
青い魔法使いの、待ち人の下へ。
風見はクロスを自分の首にかけると、よしっと頬を両手ではたいた。快音が響く。
顔がひりひりとする。
硬い相方のせいで溜まっていたフラストレーションが少し解消された気がする。
盛られた土を穴へと落とし込んでいく。
青が、姿を消していく。
五分ほどで少年の姿は見えなくなった。
最後に手の平で土を固め、丸石を添える。
腰に手を当て、風見は胸を張って言葉を放った。
「意地でも生き残ってやるわよ。佐山の馬鹿や覚と合流してね。
アンタの言葉も、絶対伝える。
だから……ちょっとの間、寝てなさい」
風見は息を一つ吐くと、躊躇いなく後ろを向いた。
――さあ、気合を入れなさい。
後悔はある。しかしそれに押しつぶされるわけにいかない。
物部景の死を抱えたまま、風見千里はさらに先へと進んでいく。
それが、風見にできる唯一のことだ。
「ブルーブレイカー! 待たせたわね」
叫びながら、風見はやれやれと肩を竦める、魔法使いの声を聞いた気がした。
* * *
腕時計を見る。
時刻はニ時四十五分。
埋葬を終えて歩き出してから四十分が経過していた。
「結構続いてるわね、この地下道」
「そのようだ。あるいは、島を一周しているのかもしれない」
「その可能性は高いかも。
私が逃げるのに使ったのと、アンタが入ってきたの。
すでに二つの出入り口があるんだもの。他に出入り口があったっておかしくないわ」
176
:
別離と対峙 7/9・修正版
◆7Xmruv2jXQ
:2005/08/01(月) 17:06:31 ID:FRS5uqYo
「……雨?」
風見が地上へ出ると同時、無数の雨粒が体を叩いた。
耳に染み込むような雨音。
靴が踏みしめた土は泥のようで、危うくバランスを崩しそうになる。
服にたちまち水が染み込んで体温を奪っていく。
風見は天を仰ぎ嘆息した。
長居は遠慮したいところだ。
意味もなくクロスを弄びながら辺りを見回す。
風見のいる場所は巨大な窪みの中心だった。
本来そこは湖で水が抜けて湖底が露出したのだが、神ならぬ風見にそこまでわかるはずもない。
「とりあえず何もなさそうね」
額に張り付く前髪をはがして風見は呟いた。
――できるだけ覚えとかないと。
周囲の地形を覚え、ここがどのエリアか判別しなくてはならない。
ここで地図と照らし合わせたいところだが、この雨ではそうはいかない。
照合は地下に戻ってからの作業になる。
持ち時間は五分。
雨が勢いを増す中、風見は水流で見づらい時計で時刻を確認、記憶を開始した。
* * *
西の森を抜けて男はエリアB-7へと踏み入った。
降りしきる雨が全身を濡らしているが、男に気にした様子はない。
男は雨のスクリーンの向こう、何かが動いた気がして目を細めた。
「あれは――――」
* * *
「こっちは南だったわね。見通し悪いけど・・・・・・特に見るべきものはなし」
少しづつ体を回して視界を動かす。
――東には何かある。結構大きいけど、見通せないか。北には灯台。西には・・・・・・
177
:
別離と対峙 8/9・修正版
◆7Xmruv2jXQ
:2005/08/01(月) 17:07:24 ID:FRS5uqYo
森が、と胸中で呟いて、風見は動きを止めた。
西の森の前に立つ、凶相の影。
雨で霞んだその姿は判然としない。
影は歩を進め、跳躍して湖底へと降り立った。
ぼんやりと男のシルエットが浮き上がる。
男が近づいてくる間、風見は動けずにいた。
迷うことなく逃げるべきだ。地下への入り口はすぐそこにある。下りるのに一分とかからない。
しかし。
――背中を見せたら殺られる・・・・・・。
本能的に風見は察していた。
男から滲み出る殺気は、絶えずこちらに向けられている。
彼我の距離は今だ百メートルはある。が、男はその距離を越えて迫ってくると。
隙は見せられない。
階下の自動歩兵に敵の存在だけでも伝えたかったが、迂闊に声を出すこともできない。
男が距離を詰める。悠然とした、一歩一歩を確かめるような足取り。
全身が緊張する。思考を切り替え、目の前の男にのみ集中する。
風見は息を大きく吐くと、いつでも走れるように力を溜めた。
顔の水滴を拭う。前を見る。
瞬間。
雨を、紅い光が切り裂いた。
風見の背筋を悪寒が駆け抜ける。
大気を凍らせる、強く凶々しい、紅。
「誰かと思えば。……お前か」
風見の十メートル手前で男は停止した。
雨はいよいよ勢いを増し、痛いくらいだ。
しかし、全身を叩く雨も、男の熱を冷ますにはまるで足らない。
長く縛られていた戒めからようやく解き放たれたかのように、男は牙を剥き出しにしていた。
風見がクロスを握る手に力を込めて、男の名を口にする。
「甲斐、氷太」
178
:
別離と対峙 9/9・修正版
◆7Xmruv2jXQ
:2005/08/01(月) 17:08:18 ID:FRS5uqYo
【B-7/湖底/1日目・15:00】
【風見千里】
[状態]:表面上は問題ないが精神的に傷がある恐れあり、肉体的には異常無し。濡れ鼠。
[装備]:グロック19(全弾装填済み・予備マガジン無し)、頑丈な腕時計、クロスのペンダント。
[道具]:支給品一式、缶詰四個、ロープ、救急箱、朝食入りのタッパー、弾薬セット。
[思考]:BBと協力する。地下を探索。仲間と合流。海野千絵に接触。とりあえずシバく対象が欲しい。
【甲斐氷太】
[状態]:左肩に切り傷(軽傷。処置済み)。腹部に鈍痛。カプセルの効果でややハイ。自暴自棄。濡れ鼠。
[装備]:カプセル(ポケットに数錠)
[道具]:煙草(残り14本)、カプセル(大量)、支給品一式
[思考]:とりあえずカプセルが尽きるか堕落(クラッシュ)するまで、目についた参加者と戦い続ける
[備考]:『物語』を聞いています。悪魔の制限に気づいています。
現在の判断はトリップにより思考力が鈍磨した状態でのものです。
【B-7/湖底の地下通路/1日目・15:00】
【蒼い殺戮者(ブルーブレイカー)】
[状態]:少々の弾痕はあるが、異常なし。
[装備]:梳牙
[道具]:無し(地図、名簿は記録装置にデータ保存)
[思考]:風見と協力。待機中、五分間風見を待つ。しずく・火乃香・パイフウを捜索。
脱出のために必要な行動は全て行う心積もり。
179
:
◆7Xmruv2jXQ
:2005/08/01(月) 17:11:46 ID:FRS5uqYo
あー、すいません。最初の2/9じゃなくて3/9です。
用語ミス、時間軸、風見の持ち物を修正。
お手数ですが投下したものと差し替えお願いします。
180
:
「信義の天秤」・状態表
◆l8jfhXC/BA
:2005/08/03(水) 15:31:44 ID:0wNbWEVw
「信義の天秤」の状態表の
・ガユスのデイパック2(パン10食分、水2500ml、咒式用弾頭、手斧、缶詰、救急箱、ミズーを撃った弾丸)
を
・ガユスのデイパック2(パン10食分、水2500ml、咒式用弾頭、手斧、缶詰、救急箱、ミズーを撃った弾丸、青酸カリ、銀の短剣)
に修正します。
181
:
マスマーダー・コインシデンス(気紛れ殺人鬼) 7/8◇R0w/LGL.9c
:2005/08/14(日) 16:18:09 ID:1cac.Ob.
「っかはは……おいおい、最高の傑作じゃねぇか。──負けるなんてよ! かはははははっ!!
あ、そのナイフさ、鋏を二つに分けたんだぜ。うまくいくと思ったんだけどよ」
「…だからわざわざ投げると宣言したのか」
「おいおい負けちまったぜ。くっそ。人類最強からも負けなかったのによ──誠心誠意傑作だっつーの。
最悪の殺人鬼集団零崎一賊が聞いて呆れるぜ……ところでよ」
「なにかね?」
「太宰は好きか?」
「…物語は乱読派でね。一応全て読んだ。『今の自分には幸福も不幸もありません』」
「『ただ、一さいが過ぎていきます』ああやっぱ太宰は最高だな。あ、そうそう。
団結の話だけどよ。別に組んでいいぜ。俺が飽きるまで──な。つまんなくなったら抜けるからな」
「…十分だとも。喜びたまえ。零崎君は団結決意からの第一号だよ? 景品はなにが良いかね。IAI製品があればいいのだが。
とりあえず診療所に戻ろうではないか。宮下君が心配している」
二人は武器を回収して診療所に歩き出す。零崎は雨と泥で濡れて笑い出したい気分だった。
《C-8/港町の診療所/一日目・17:00》
『不気味な悪役失格』
【佐山御言】
[状態]:全身に切り傷 左手ナイフ貫通(神経は傷ついてない) 服がぼろぼろ 疲労
[装備]:G-Sp2、閃光手榴弾一個
[道具]:デイパック(支給品一式、食料が若干減)、地下水脈の地図
[思考]:参加者すべてを団結し、この場から脱出する。 零崎を仲間に入れることに成功 怪我の治療
[備考]:親族の話に加え、新庄の話でも狭心症が起こる
182
:
マスマーダー・コインシデンス(気紛れ殺人鬼) 7/8◇R0w/LGL.9c
:2005/08/14(日) 16:19:12 ID:1cac.Ob.
「殺人鬼家族零崎一族」は「殺人鬼集団零崎一賊」に修正しました
宜しくお願いします
183
:
狂犬は戦いを欲す・状態修正
:2005/08/14(日) 22:39:35 ID:cBUny2Xk
風見のカプセル所持数を三錠→五錠に変更します。
よろしくお願いします。
【風見千里】
[状態]:やや甲斐のプレッシャーに押されている。
表面上は問題ないが精神的に傷がある恐れあり、肉体的には異常無し。濡れ鼠。
[装備]:カプセル(手の中に五錠)
グロック19(全弾装填済み・予備マガジン無し)、頑丈な腕時計、クロスのペンダント。
[道具]:支給品一式、缶詰四個、ロープ、救急箱、朝食入りのタッパー、弾薬セット。
[思考]:甲斐の言葉を受けて、どう動くか思考中。
BBと協力する。地下を探索。仲間と合流。海野千絵に接触。とりあえずシバく対象が欲しい。
184
:
メメント・モリ(死者の形見)
◆fg7nWwVgUc
:2005/08/23(火) 22:48:11 ID:hNdeEao2
レス番186の冒頭、
「我は跳ぶ天の銀嶺!」
↓↓
「我は踊る天の楼閣!」
185
:
足なんて飾りです
:2005/08/25(木) 16:09:49 ID:9PeVQCyI
レス番191のハックルボーン神父の描写を
「頭髪のない強面の人と赤い髪の女性の抱擁。」
から
「顎鬚のある強面の人と赤い髪の女性の抱擁。」
に変更します
186
:
足なんて飾りです
:2005/08/25(木) 16:10:31 ID:9PeVQCyI
すいません名前欄ミス
187
:
銃殺天使キノちゃん1/4 ◇R0w/LGL.9c
:2005/08/26(金) 13:07:23 ID:9PeVQCyI
再度ミスor2
188
:
紳士の心得、調停士の想い
◆wEO8WH7kR2
:2005/08/28(日) 09:47:09 ID:AmmRjaLo
EDが自己紹介しているところで
「エドワード・シーズワークス・マークウィッスル」
となってますが
「エドワース・シーズワークス・マークウィッスル」
に修正します。
よろしくです。
189
:
俺はロリコンじゃない(本人談)3/5 ◇R0w/LGL.9c
:2005/08/28(日) 18:06:26 ID:Iw5pLK8k
再度口調を変更…たびたびすいません
「ぐ、ぐふぅ…最近のロリはセメントだな」
「うわ頑丈すぎ! 最強だってボクの一撃食らったらただじゃ済まねーはずなのに──なーおねーさん」
いつの間にか生乾きの服を着ている長門に視線を送りながら出夢は言う。
アリュセがにやにや笑ってる出夢になるべく敵意を見せないように話しかけてみる。
「あの、特にこっちは戦う意志は無いんですの、だからここに雨宿りしてもいいですの?」
「んー? おおいいぜー。こっちもあんたらを殺す気は…あんまり起きねー──っての。なーおねーさん。
っつー──かおにーさんも女の子連れて覗きなんかするもんじゃねぇぜっ」
「うわなんかさらりと殺す気で殴られた俺を無視した発言」
「まー気にすんなおにーさん。突っ込みだって今のは。
ほらアンタの名前は出雲、ボクの名前は出夢。名前的にも相性ばっちりってか? ぎゃははははっ」
「今のは突っ込みか? いつからロリワールドは千里スタンダードな力加減に!?
あ──待て! そこの無表情系ロリ! 生乾きの服を無理に着ることは無いぞ! なんならこのバニーを一時的に──」
出夢の突っ込みが炸裂。出雲は吹っ飛ばされたが跳ね起きた。
「平気だからってぼかぼか殴るな! 俺が変になったらどうするんだ!」
「おうおにーさん。案外まともになるかもしんねぇぜ──とりあえずバニーをしまいな」
「くそうこの露出系ロリー──」
アリュセは諦めて焚き火の傍に近づいていった。無表情の女性と視線が合った。
「…ああ見えていい人なんですの」
「そう」
とことん興味が無さそうな返事が返ってきた。
ため息をついて焚き火で温まることにした。
190
:
時間修正
◆8L3KP6.ps6
:2005/08/30(火) 04:57:22 ID:zBzCnzsg
時間の修正をお願いします。
『平穏は続かず』
【E-8/林/1日目・14:20】 → 【E-8/林/1日目・14:40】
『メメント・モリ(死者の形見)』
【E-8/絶壁/1日目・14:30】 → 【E-8/絶壁/1日目・14:50】
『リメンバー・ビースト(殺意の連鎖)』
【D-1/公民館/1日目・14:40頃(雨が降り出す直前)】 → 【D-1/公民館/1日目・14:55頃】
以上三話分です。
191
:
Thinkin' in the Rain
◆5KqBC89beU
:2005/08/30(火) 20:09:42 ID:rxWyBrZc
すいませんが、よろしくお願いします。
※(1/6)の3〜6行目を、以下のように修正します。
EDはB-6の森へ向かった。これ以上、雨に打たれ続ければ、いざというとき満足に
動けなくなる。可能な限り、体力は温存しておくべきだろう。
彼は、森で雨宿りする気だ。隠れ場所としては便利な地形なので、誰かが隠れている
可能性は充分にあった。警戒しながらも、EDは森の様子を観察する。
※(6/6)の状態表を、以下のように修正します。
【B-6/森の端/1日目・15:00頃】
【エドワース・シーズワークス・マークウィッスル(ED)】
[状態]:やや疲労/全身が湿っている
[装備]:仮面
[道具]:支給品一式(パン4食分・水1500ml)/手描きの地下地図/飲み薬セット+α
[思考]:同盟を結成してこのイベントを潰す/このイベントの謎を解く
/ヒースロゥ・藤花・淑芳・鳳月・緑麗・リナを探す
/第三回放送までに地下通路の出入口まで移動し、麗芳・子爵と合流する
/動かずに雨がやむのを待つ/雨宿りより、待ち合わせを優先する
[備考]:「飲み薬セット+α」
「解熱鎮痛薬」「胃薬」「花粉症の薬(抗ヒスタミン薬)」「睡眠薬」
「ビタミン剤(マルチビタミン)」「下剤」「下痢止め」「毒薬(青酸K)」以上8つ
192
:
失格者(修正)
◆xSp2cIn2/A
:2005/09/05(月) 18:04:47 ID:2SF39t2A
失格者(5/6) ◆xSp2cIn2/A の一行目
>時間は八時二十分。どうやら三十分近く気絶していたようだ。
の時間を 十八時二十分 に修正お願いします。
後、報告のラストに
『キノは18時の第三回放送を聞き逃しました』
と追加お願いします。
193
:
切り裂く風、噛み砕く犬
◆7Xmruv2jXQ
:2005/09/15(木) 20:39:37 ID:SIr8m/5U
(1/12)の2行目を、
与えられた五粒の錠剤――――カプセル。
(2/12)の13行目を、
五錠のうち四錠はポケットの中へ。残された一つをじっと睨み、
(12/12)の状態表の【風見千里】を、
[状態]:全身が冷えており疲労困憊(休養の必要あり)。右足に切り傷。あちこちに打撲。
表面上は問題ないが精神的に傷がある恐れあり。濡れ鼠。
[装備]:カプセル(ポケットに四錠)、頑丈な腕時計、クロスのペンダント。
[道具]:支給品一式、缶詰四個、ロープ、救急箱、朝食入りのタッパー、弾薬セット。
[思考]:眠い。BBと協力する。地下を探索。仲間と合流。海野千絵に接触。とりあえずシバく対象が欲しい。
に修正お願いします。
194
:
演者集結(怨者終結)
◆Sf10UnKI5A
:2005/09/17(土) 12:29:22 ID:HBjOjtXg
(9/15)の15行目を
「殺人を冗長する気は無い! だが戦いの結果としての死を否定出来るか!?
↓
「殺人を助長する気は無い! だが戦いの結果としての死を否定出来るか!?
に修正お願いします。
195
:
魔女の見る夢【紅と灰の願い】
◆eUaeu3dols
:2005/09/21(水) 06:27:59 ID:MUcMHaeQ
福沢祐巳の名前を誤って裕巳と書いていました。
裕巳となっている所を祐巳に修正お願いします。
検索・置換していただければ一発ですが、一応全て記載。
>(8/12)
>「全ての救いを要する者達を、一人残らず救い出す。あたくしの手を届かせるわ!
> リナも、シャナも、千鳥かなめも、福沢裕巳も――!」
> 静かな叫びが闇の中に響きわたった。紅い道が生まれていた。
>(10/12)
>「『この子』の涙かしらね」
>カーラは夢の中でも自らを宿す、福沢裕巳の胸に手を当てた。
>やや小降りの胸は、落ち着き払ったカーラとは裏腹に早鐘のように脈を打っていた。
>(11/12)(ここに集中)
>だがそれに夢の中という事まで加わって、ほんの僅かな時間だけ、
>“彼女”はカーラではなく裕巳として、豊かな感情を溢れさせた。
>それがこの涙と悲しみと、何かに同情する心の痛み。
>「…………考えすぎかしら」
>たとえカーラにどんな過去が有ったとしても、彼女は裕巳を乗っ取った。
>それに考え方や思想が違う。きっと裕巳にとってカーラは紛れもない敵だろう。
>そんな敵に同情まで抱くものだろうか。
>もしまた肉体が暴走でもしたら目も当てられない。
>カーラは福沢裕巳の詳細な記憶を探ろうと、奥へ、底へと潜って行った。
>彼女が信じる灰色の未来、灰色の道を進むために。
加えて状態報告の修正。
場面には殆ど出ていませんが、傷の治癒された相良宗介の報告を追加。
【B-4/病院/一日目/16:30】
【創楽園の魔界様が見てるパニック――混迷編】
【藤堂志摩子】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品入り)
[思考]:争いを止める/祐巳を助ける
【ダナティア・アリール・アンクルージュ】
[状態]:疲れ有り
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水一本消費)/半ペットボトルのシャベル
[思考]:救いが必要な者達を救い出す/群を作りそれを護る
[備考]:下着姿
【相良宗介】
[状態]:左腕喪失/右腕繋げたてで動かしづらい/やや貧血
[装備]:(コンバットナイフ)
[道具]:(荷物一式/弾薬)
[思考]:半ば絶望/ダナティアに敵意/かなめを救う?/テッサに報いるため長生き?
[備考]:装備品は一時没収されています。
【G-4/城の中の一室/一日目/16:00】
【福沢祐巳(カーラ)】
[状態]:食鬼人化。夢を見ている。精神、体力共に消耗。睡眠にて回復中。
[装備]:サークレット 貫頭衣姿
[道具]:ロザリオ、デイパック(支給品入り/食料減)
[思考]:祐巳の記憶から状態を確認/起床後はフォーセリアに影響を及ぼしそうな参加者に攻撃
(現在の目標、坂井悠二、火乃香)
ほぼ毎回修正入ってる気がしますが、どうかよろしくお願いします。
196
:
◆MXjjRBLcoQ
:2005/10/06(木) 12:57:59 ID:pBSSTsig
かなり遅くなりましたが、懲りない彼女の修正版です、後半部を以下に差し替えてください。
さて、場面移してここは港町である。
ドッグからも中心街からも比較的離れた南部の住宅街、ここにもやはり人影は見えない。
建売の住宅が疎らに並び、木造漆喰の平屋と融合している様は、実に懐かしき田舎島の情景といえる。
だだ家々に明かりは灯らず、犬猫だけが町を闊歩する様は、耳を澄ませば終末の呼び声が聞こえてきそうだ。
そんな町の一角で、煌煌と照らす蛍光灯の元、再生機から教育シリーズ日本の歴史DVD第一巻を第二巻へと
差し替える影があった。
誰かは語るべくもない。
ドイツはグローワース島が領主ゲルハルト=フォン=バルシュタイン子爵である。
手分けをする意味だろうか、西へと赴くEDと別れた後、彼は先ほどの港町に舞い戻ってきたのであった。
収穫は無かった。エネルギーの残量を考えれば骨折り損とも言える。
すでに赤銅髪の青年は去っていた。港の南部は死体ばかりが目立った。
14:30を過ぎ、雨は銀河をひっくり返したように降り注いだ。
黒い空に、光は一片たりとも望めなかった。
適当な住宅へと侵入し、彼はそれ以上の行動を全て放棄した。すなわち雨宿りである。
幸いにも住宅は生きていて、電気も水道も、電波やガスさえその営みを止めていない。
コンロはひねれば紅茶が沸かせた、リモコンを押せば心地よい音楽が流れる。
ゲルハルト城には及ばないながらも、島のなかでは群を抜く快適空間であった。
そして現在に至るという具合である。
ディスクの入れ替えはほどなく終わった。子爵の念力がスイッチをたたく。
がしょん、と音を立ててDVDが飲み込まれた。そして、
がしょん、と音を立てて、わずかに遠くで雨戸が閉まった。
子爵はあわてた風もなく、付けたばかりのDVDとテレビを止めた。
照明を落とせば、カーテンの閉められた隣家から、わずかに光が漏れている。
明かりをつけた住宅は誘蛾灯、つまりはそういうことであったのだ。
荷物を放置し、子爵はおもむろに窓を開けた。
無風であった。
豪雨の中に隠れ潜む邪悪と静寂が、子爵をその場に押しとどめた。
不吉の気配、とでも言えばいいのであろうか、圧倒的な存在感が虚空に深く根付いていた。
彼ははしばしその場に立ち竦む。
空はいよいよ重く、あるいはこの雨は、それらを押し流そうといているようにも見えた。
197
:
懲りない彼女 修正
◆MXjjRBLcoQ
:2005/10/06(木) 12:58:51 ID:pBSSTsig
さて、隣家は比較的大きなもので、軒には宿の文字があった。
窓は多くが規則正しく並んでおり、足音がそれらを順にめぐっている。何者かが部屋を検めているのであろう。
子爵は玄関を避け、裏口から三和土へと回り込んだ。裏では給湯器が起動しているのか、かすかに熱気が漂っていた。
三和土はよくよく使い込まれており、かすかに煤と魚の臭いが残っている。
そこを上った先は八畳間となっていた。おそらくはダイニングとして使われていたのであろう。
背の低いテーブルが中央に鎮座し、そしてその上に少女が一人。
見知らぬ少女であった、意識はなく、しかしその幼い顔に笑みは絶えない。
ふむ、と小さく血文字が浮かび上がった。小波のように揺れるそれには、逡巡の色が濃く映る。
子爵の知覚は魂を見る。少女の深淵を覗き見たのかもしれない。
いまださざめく子爵は、その手をそっと少女に伸ばし、足音を捕らえて三和土へとさがった。
あたりを見渡すように蠢いて、竈の中に隠れこむ。
乱入者は女であった。
ふむ、とふたたび文字が浮かぶ。
女は子爵の見知らぬ、しかし心当たりのある者だった。
長身の女。吸血鬼。胸ポケットには火傷を避けるためか、ハンケチーフで包れたロザリオ。
子爵の聞いた特徴に符合する。
吟味の間も、女は忙しそうに動き回った、廊下を行ったりきたり、そして浴衣とタオルを抱えて戻ってきた。
電子音が響き、女が後ろを振り仰いだ。風呂の合図である。
女は優しくかつ邪に笑った。膝を突き、横たえた少女そのカーディガンの裾に手をかける。
少女の細い腹と、形のよい臍が覗くいた。
【まぁ、待ちたまえ】
子爵の赤がその上を走る。
それは紳士としてか、決意の表れか。子爵は女の眼前へ、ついにその姿を現した。
女は果たして、この現象をどう捉えたのであろうか?
腰を落とし少女を抱き上げあたりを警戒し周囲を探る様は、その事実を知るものには滑稽ですらある。
子爵はさらに呼びかけた。
【落ち着きたまえ、ここに余人はいない、そして、私は隠れてなどいない。これが、この血液が! 私の現身である。
信じる信じないは君たちの自由だが、私にはこの身体しか意思伝達の手段がないのでね、しばし辛抱してくれたまえ。
いずれ理解にも達しよう】
漆喰の壁すら赤い液体、子爵にとってはノートである。
その筆術はいかなる技か、文字配列の緩急が、その大小が、女に会話の錯覚すら与る。
【いや、驚かせてすまなかった。私はドイツはグローワース島が前領主ゲルハルト=フォン=バルシュタイン子爵!
市政こそ既に委ねたが、21世紀も今なおかの地に君臨する紳士であり、ご覧のとおり吸血鬼である!
いや、すまない冗談だ】
女の柳眉が釣りあがるよりも早く、子爵は次の言葉を言い放った。
【まぁ、君の同胞であることも元領主の身分も真実だがね】
その言葉に、幾分落ち着きを取り戻したのか、女はしかししかと少女を抱えて、子爵と対峙した。
もっとも、彼は他人の警戒を歯牙にかけるような男でもない。優しく諭すのみである。
【私は紳士だ。暴力に訴えるような真似ははしない。最も、この身体ではそれも叶わないが……
とりあえず、私は君が血を吸うことも、配下を増やすことも咎めるつもりはないことを理解してほしい。
君より遥か昔に生を受け吸血鬼となり、それから数百年の時を生きてきた、
中には奇麗事の言えない時代を過ごしたこともあったとも】
血液が、ふ、と細く伸びる。おそらく、それが彼の「遠い目」なのだろう。
『表情』は一刹那に消え、血文字がすぐに、先ほどと同じ調子に紡がれた。
【ともあれ私が君に望むことはそう多くない。繰り返すが私は、おせっかいと無干渉を身上とする紳士で、吸血鬼だ。
いかに君が多くの者の血を吸ってきたとしても、私はそれを責める気も罰する気もない!】
そこで子爵は言葉を止めて、少女の手に触れる。
少女の肌にその赤は、不吉なほど良く映えた。
【だいぶ冷えているね、早くしたほうがよいようだ。一つでいい、質問をすることを許して欲しい。
他は君達の湯浴みの後にしよう。
なに、そう難しいものではないよ、あるいは答えてくれなくてもそれは一向にかまわない】
あごに手を添える仕草、一拍の間、そして
【貴女は佐藤聖嬢で間違いはないかね?】
198
:
懲りない彼女 修正
◆MXjjRBLcoQ
:2005/10/06(木) 13:00:55 ID:pBSSTsig
【D-8/民宿/1日目/16:00】
【Vampiric and Tutor】
【十叶詠子】
[状態]:体温の低下、体調不良、感染症の疑いあり。外見的にもかなり汚い。
[装備]:『物語』を記した幾枚かの紙片 (びしょぬれ)
[道具]:デイパック(泥と汚水にまみれた支給品一式、食料は飲食不能、魔女の短剣)
[思考]:???
【佐藤聖】
[状態]:吸血鬼化完了(身体能力大幅向上)、シャナの血で血塗れ、
[装備]:剃刀
[道具]:支給品一式(パン6食分・シズの血1000ml)、カーテン
[思考]:身体能力が大幅に向上した事に気づき、多少強気になっている。
詠子の看病(お風呂、着替えを含む)
[備考]:シャナの吸血鬼化が完了する前に聖が死亡すると、シャナの吸血鬼化が解除されます。
首筋の吸血痕は完全に消滅しています。
16:30に生存が確認(シャナの吸血痕健在)されています。
【ゲルハルト・フォン・バルシュタイン(子爵)】
[状態]:ややエネルギー不足、戦闘や行軍が多ければ、朝までにEが不足する可能性がある。
[装備]:なし
[道具]:なし(隣家に放置)
[思考]:聖にどこまで正気か? どこまで話すべきか?
アメリアの仲間達に彼女の最後を伝え、形見の品を渡す/祐巳がどうなったか気にしている
EDらと協力してこのイベントを潰す/仲間集めをする
3回目の放送までにEDと地下通路入り口で合流する予定
[補足]:祐巳がアメリアを殺したことに気づいていません。
この時点で子爵はアメリアの名前を知りません。
キーリの特徴(虚空に向かってしゃべりだす等)を知っています。
199
:
その腕は、とても長い・修正
◆7Xmruv2jXQ
:2005/10/06(木) 23:13:17 ID:ZcOOx.36
9レス目の三行目の
「む、どうしたヴェーミリオン。さっさと寝ろ」
を、
「む、どうしたヴァーミリオン。さっさと寝ろ」
に修正おねがいします。
……今度こそ修正ないと思ったのに。無念。
200
:
懲りない彼女 修正の修正
◆MXjjRBLcoQ
:2005/10/13(木) 19:15:15 ID:pBSSTsig
何度も申し訳ございません。修正版の修正願いです。
まず修正版の際穂の段落中ほどの行の頭にある。
ゲルハルト城 を バルシュタイン城
に差し替えお願いします。
さらに 修正版の
2段落目頭の
さて、隣家は比較的から
【まぁ、待ちたまえ】直前までを
さて、隣家は比較的大きなもので、軒には宿の文字があった。
窓は多くが規則正しく並んでおり、足音がそれらを順にめぐっている。何者かが部屋を検めているのであろう。
子爵は玄関を避け、裏口から三和土へと回り込んだ。裏では給湯器が起動しているのか、かすかに熱気が漂っていた。
三和土はよくよく使い込まれており、かすかに煤と魚の臭いが残っている。
そこを上った先は八畳間となっていた。おそらくはダイニングとして使われていたのであろう。
背の低いテーブルが中央に鎮座し、そしてその上に少女が一人。
見知らぬ少女であった、意識はなく、しかしその幼い顔に笑みは絶えない。
ふむ、と小さく血文字が浮かび上がった。小波のように揺れるそれには、逡巡の色が濃く映る。
子爵の知覚は魂を捉える。少女の深淵を覗き見たのかもしれない。
いまださざめく子爵は、その手をそっと少女に伸ばし、足音に気づいて三和土へとさがった。
あたりを見渡すように蠢いて、竈の中に隠れこむ。
乱入者は女であった。
ふむ、とふたたび文字が浮かぶ。
女は子爵の見知らぬ、しかし心当たりのある者だった。
長身の女。吸血鬼。胸ポケットには火傷を避けるためか、ハンケチーフで包れたロザリオ。
子爵の聞いた特徴に符合する。
吟味の間も、女は忙しそうに動き回った、廊下を行ったりきたり、そして浴衣とタオルを抱えて戻ってきた。
電子音が響き、それを確かめるためにか、女が後ろを振り向いた。風呂の合図である。
女は優しくかつ邪に笑った。膝を突き、横たえた少女そのカーディガンの裾に手をかける。
少女の細い腹と、形のよい臍が覗いた。
に差し替え。
できるときでいいのでお願いします、重ね重ね申し訳ありません。
201
:
449:霧の町 黄昏の道
◆685WtsbdmY
:2005/10/16(日) 13:54:52 ID:edhAt3e6
お手数ですが、まとめサイトの方の
『(あたしは、あたしの役目を果たす。潤さんたちが戻るまで、二人のことはあたしが守る)』
と
『(……汕…子)』
の間
および
『戦うことのできない自分のために、二人をこれ以上の危険にさらしてはいけない。 』
と
『「わっ!! とっと」』
の間について、行間を二行分取るように修正をお願いいたします。
こうしないと、どの部分が誰のパートかわかりにくいもので。
202
:
危険に対する保険
◆685WtsbdmY
:2005/10/16(日) 14:06:59 ID:edhAt3e6
(5/5)の
【C-4/商店街/1日目・17:30】
を
【C-4/ビルの前/1日目・17:30】
へ修正お願いします。
203
:
立つには長く、眠るには短すぎて・修正
◆wkPb3VBx02
:2005/10/16(日) 21:48:30 ID:iUWyO5UQ
人類が最後の三人になった。
それでも殺し合うだろう。
二人が一人を除け者にし結束するために仕方なく。
人類が最後の二人になった。
それでも殺し合うだろう。自分一人が生き残るために仕方なく。
人類が最後の一人になった。
そして自殺するだろう。自分一人という孤独のために、さらには自分の中の何かに耐えられず。
イェム・アダー「混沌の言祝」 皇暦四八九年
今は亡きクレスコスの椅子の亡骸を掻き抱いて、ギギナは静かに城を出た。
人気のない城の裏手に周り、森の中へ進む。暫く進んで適当な所に決めると、しとしとと雨が降り注ぐ空の下で、無表情を貫きつつ魂砕
きで穴を掘った。
雨で濡れていたせいか、土は柔らかくなっていた。小一時間かけて掘った穴の中に、布で包んだ椅子の残骸を優しく入れる。中身が木屑
と廃材であろうと、彼の身体であることに変わりはない。あのまま放置することなど、ギギナには出来なかった。
土をかけ、やがて布は見えなくなる。少しだけ盛り上がった土の上に、墓標代わりのワニの杖を突き立てた。
「こんなものですまぬが……今は墓標を作っている時間もないのだ」
完成した墓碑に黙祷を捧げる。手足が泥だらけになっていたが、いずれ雨で流れ落ちるだろう。前衛咒式士が風邪を引く筈もないから、
身体の方の心配も不要だ。
雨に濡れぬのよう木の下に置いていたヒルルカ入りのデイパックを掴む。鞄に入る大きさにまで収納出来るようにしたギギナの技術は、
一流の職人と同等だ。
辺りを見渡し行く先を思案した時、鞄を置いた木よりおよそ二十メルトルほど離れた先に、誰かが倒れているのを見つけた。雨のせいで
薄まってはいるが、血の臭いが漂っているのにギギナは今気付いた。
(……明らかに身体能力が弱まっているな……)
本来、一流の前衛咒式士ともなれば不眠不休で一週間戦えるのが普通だ。そうでなくては話にならない、とさえ言われる。
それがたった一日、ヒルルカの治療に莫大な集中力と体力を使ったのも事実だが、たった一日でへばるのは可笑しい。
(主催者への反抗を抑制するため、と考えるのが妥当だろうな)
剥き出しの逞しい右腕に描かれた刻印を撫でる。これが弱体化に大きく関わっていると見て間違いない。咒式とは異なる未知の法則で構
築された刻印に関しては、ギギナは門外漢だ。恒常咒式の無効化と能力低下の関係を疑うことが出来ても、具体的な解決策は浮かばない。
雨に打たれ放題の二つの死体、その娘の方、趙緑麗の傍で膝を突き体を改める。硬直具合や死斑から死後十三時間前後と見て取るが、雨
の影響も考えられるため一概には断言できない。死因は撲殺だろうか。頭がぐしゃぐしゃに成っていて、生前の面影も見えない。頭部以外
には損傷はなかった。念の為、という題目で右腕の刻印を確かめる。
―――あった。
(……死後も刻印が消えない理由。いや、そもそもの奴等の目的は……)
思考しつつも手は休まない。関心は死体からデイパックに移行し、食料を求める手が、懐かしい感触に触れた。
204
:
立つには長く、眠るには短すぎて・修正
◆wkPb3VBx02
:2005/10/16(日) 21:49:40 ID:iUWyO5UQ
取り出してみれば、分離した金色の刃と柄。にやりとギギナは不敵に笑い、
「久しいな。戦友(とも)よ」
重々しい金属の連結音が響き、刃と柄が合体。本来の姿―――屠竜刀ネレトーの姿を取り戻す。
「下らぬ思考遊戯は止めだ。私はただ闘争と剣戟の間に生を見いだせばよい……」
食料以外をその場に捨て、デイパックを背負いギギナは歩き出す。びり、とパンの封を切り齧りつく。
片手にネレトー、心にヒルルカ、口元にアンパン、背中にヒルルカを。嗚呼、嗚呼、嗚〜呼〜。
道なりに沿って歩いた後、禁止エリアに入る前の辺りで進路を北へ。
ギギナは闘争を求めるドラッケンの血が騒ぐのを感じつつ、獲物を求め彷徨い歩いていた。
ネレトーを右手に持ち、魂砕きを腰に差している。肩から提げている二つのデイパックの片方には食料が、もう片方にはヒルルカが入れ
られている。
暫く北に向って歩いていたギギナの足が、止まった。ネレトーの切っ先が上がり、察知した気配の方に向けられる。
「出て来い」
短いが重い一言に恐れをなしたか、がさりと葉と枝の擦れ会う音と共に、人影が現れる。
黒髪に吊りあがった黒瞳、全身黒尽くめの人相の悪い男。どう見ても小物面だ、とギギナは思う。
「おお、二回連続で黒尽くめに会うとはなんたる僥倖。やはり生き別れの兄弟による遺産相続が絡んだ揉め事か。
おおーい、誰か弁護士を呼んでくれー、これ以上増える前に……ぎゃっ!」
素早く伸びた黒尽くめの男オーフェンの手が、喧しい人精霊を地面に叩き付けた。
ギギナのなんだそれは、と問う視線を感じオーフェンは無視して端的に告げた。
「率直に言おう、俺はこのゲームに乗る気はない。あんたとは戦う気もない。それを降ろしてくれ」
オーフェンの提案を鼻で嗤って一蹴、ギギナが返す。
「どいつもこいつも腰抜けどもめ。この島には臆病者しかおらぬのか」
露になった怒気を隠そうともせず、忌々しげにギギナが吐き捨てた。いい加減、鬱陶しくなってきたのだろう。
「貴様に闘う気がないのなら、私が起こしてやろう!」
ヒルルカを優しく地面に降ろす。そしてギギナは疾風となった。
「―――ッ!!」
ギギナの振り下ろすネレトーの刃が、オーフェンの黒髪を毟りとっていく。
(……殺らなきゃ殺られる!)
間一髪で避けた刀刃は翻り右から迫る―――のはフェイントで下からの切り上げに瞬時に切り替わり、避け損ねた衣服の端が斬られてい
く。バックステップから横っ飛びで追撃をかわし、剣の間合いから出ようとするも出口を塞がれる。
縮めた上体の上を死神の刃が駆けていき、安心する間もなく次の斬撃が来る。避けていられるのが奇跡なのだとしたら、何時までも続か
ない。
205
:
立つには長く、眠るには短すぎて・修正
◆wkPb3VBx02
:2005/10/16(日) 21:50:29 ID:iUWyO5UQ
そして奇跡は突然去り、バランスを崩して倒れるオーフェンが残される。脳天を目指す刃―――
「我は紡ぐ光輪の鎧っ!」
瞬時に構成した光の網が屠竜刀の侵入を阻み、僅かな、武器を戻す間だけ隙を作る。
それだけあれば十分だった。
剣の間合いから飛び出したオーフェンは転がりながら、掌をギギナに向けて叫んだ。
「我は放つ光の白刃ッ!!」
熱衝撃波と眩い光が、オーフェンとギギナの両名の視界を埋め尽くす。
後に残るは静寂のみ。だが、立ち上がるオーフェンは油断しない。周囲の警戒を怠らず、ただ煙が晴れるのを待っていた。
煙が晴れた先には何もない。しとめたか、と思い始めたオーフェン目掛けて、何かが飛来する!
「ぐっ!?」
咄嗟に庇った左手を、何かが抉りとっていった。先程までギギナが腰に差していた魂砕きだ。
―――後方に飛んだオーフェンの目の前で、ギギナが急角度で襲来。オーフェンの側転と同時に斬りかかってくる。
ゲメイラ
生体変化系咒式第二階位<空輪龜>。身体に噴射孔を作ってそこから圧縮空気を打ち出し、短時間の飛翔や体勢の維持を行う咒式。
オーフェンは確かに、ギギナの足から噴射されているのを見た。そしてそれが何かは分からなくとも、それによって魔術が回避されたこ
とを悟った。
「くっ……!!」
魔術を二回連続で使った所為ためか、酷い頭痛と吐き気がした。それは魂砕きが齎すものだということを、オーフェンは知らない。奥歯
噛み締めて懸命に堪えつつ、回避を続ける。
「避けてばかりでつまらぬ。それとも……反撃できぬのか?」
魔術など反撃の内にも入らぬ、と冷たく切り捨てギギナは猛攻を続ける。迅く、正確無比で、一度で浴びれば死ぬ太刀に、オーフェンは
少しずつ追い詰められていく。
「あー盛り上がってるとこ悪いが、おまえらと読者の皆さんオレのこと忘れてねっか?」
やや拉げたスィリーが口を挟むが、ギギナは無視、オーフェンは構っている余裕がなかった。
オーフェンはギギナの隙を窺うが、反撃の糸口を掴めずにいる。ギギナの屠竜刀も、思うように獲物に喰らいつけない。
永遠に続くかと思われた剣舞が、突如止まる。防戦一方だったオーフェンが仕掛けた。
相手の攻撃に合わせてのカウンター、寸打がギギナの割れた腹筋にぶち当たる。一刹那だけ、ギギナの動きが止まる。
腹に当てた手に、さらなる力が篭る。
「我は放つ光の白刃!」
熱衝撃波が、ギギナを吹き飛ばした―――
「ぐ……がはっ!」
ギギナが吐血し、唇を血で彩る。内臓の幾つかを損傷したと見て、治癒咒式を発動させる。
「面白い。今までに会ったことがない類のものだ。咒式ではないな」
にやりと笑いながら唇を拭い、再びオーフェンのもとに向おうとして、ギギナは気付いた。
爆風の煽りを受けた鞄から、自分の娘が飛び出しているのを。
巻いた包帯が外れて、ヒルルカがバラバラになっているのを。
「ヒ、ヒルルカーーーッ!!!」
慌てて、ギギナはヒルルカの元に駆け寄った。
206
:
立つには長く、眠るには短すぎて・修正
◆wkPb3VBx02
:2005/10/16(日) 21:51:16 ID:iUWyO5UQ
オーフェンはギギナの反撃を警戒して、木陰に隠れていた。
だが、幾ら待ってもギギナの追撃が無い。不審に思い、ギギナが吹っ飛ばされた方角へと慎重に近づくとそこには―――
懸命に椅子に包帯を巻いているギギナの姿があった。
「なにやってんだ、こいつ?」
何時の間にか戻って来たスィリーが疑問の声を放ち、オーフェンが「俺が聞きてぇよ」と返した。
ギギナはどうにかして取れた足を固定しようとするのだが、上手く行かずポロリと取れてしまう。その度に、
「諦めるなヒルルカ!まだ希望はある!」
と、椅子を励ますのだ。見ていて不気味なことこの上ない。
「あれはおまえのせいじゃねっか?例えそうでなかったとしても、ここでどうにかしてしまったりすると好感度が上がってお買い物フラグ
が立ったりするぞ」と、スィリー。
「立つか、んなもん」と言いつつ、オーフェンは声が届くところまで近寄り、魔術を構成した。
「我は癒す斜陽の傷痕!」
ヒルルカが光に包まれ、ビデオテープの巻き戻しを行うように元に戻っていく。
「おお、ヒルルカ!よくぞ、よくぞ戻ってきてくれた!」
感無量とばかりにヒルルカに抱きつくギギナを呆然と見下ろし、はっと気付いたようにオーフェンはその場を去ろうとする。
「待て」
呼び止められてしまった。
何時の間にかがしりと肩を掴まれ、嫌々振り返るとそこにはギギナの笑顔があった。
「よくぞヒルルカの怪我を治してくれた。我が友よ」
―――フラグが立ってしまった。
【E-5/森周辺/1日目・17:30頃】
【オーフェン】
[状態]:疲労。身体のあちこちに切り傷。
[装備]:牙の塔の紋章×2
[道具]:給品一式(ペットボトル残り1本、パンが更に減っている)、スィリー
[思考]:フラグ立っちゃった…。
【ギギナ】
[状態]:幸福
[装備]:屠竜刀ネレトー、魂砕き(地面に刺さったまま)
[道具]:給品一式(パン4食分・水1000ml)、ヒルルカ、咒弾(生体強化系5発、生体変化系5発)
[思考]:1,ヒルルカを護る。2,強い者と闘う
*G5の袁鳳月と趙緑麗の食料、支給品は無くなりました(スリングショットは放置)。
*メフィストの手紙は鳳月のデイパックに入ったままです。
*G5の森の西端に翼獅子四方脚座の墓とワニの杖があります。
207
:
指し手の備え(1/4)修正
:2005/10/18(火) 17:19:11 ID:RB9CPqq.
二段落目、最終的に〜からを以下に差し替えて下さい。
最終的に、臨也が持って行くと決めた荷物は以下の通りになった。
解除機に探知機、ライターといった小物。それに救急箱。
救急箱は、先ほどの死闘で負った怪我を治すのに使わせてもらった。
更に、ガユス達のデイパックの奥に隠されていた青酸カリも回収している。
武器は、手斧や長剣は一見頼り強そうだが、相手に警戒心を抱かせやすい。
青酸カリと共に隠されていた血染めの短剣――よく見ると、奇妙な紋様が入っている――は、
サイズ的にナイフと同じ役割しか果たせそうに無い。
(やっぱり本命はこっちだな)
臨也は柄だけの剣を軽く握り、構えて言った。
「……光よ」
すると、低い音と共に光が刃の形となって現れた。
と言っても、長さはせいぜい二十センチほど。ナイフと同じ程度にしかならないが、
相手の不意を打つのにこれほど便利なものは無い。
多少邪魔になるが、短剣と一緒にコートの内側に仕舞い込めそうだ。
子荻の使っていたライフルは、残弾が三十発。随分と与えられていたらしい。
手斧以上に相手に警戒されそうな代物だが、探知機と組み合わせれば狙撃も不可能ではない。
もっとも、達人級の腕前であった子荻と違い、臨也は完全に素人なのだが。
そして、水と食料は一食分をここで消費し、持って行く分は最初から入っていた分だけにすることにした。
このゲームの最終局面で、万が一水や食糧不足に陥ったとしても、
(禁止エリアを解除すれば、ここまで取りに戻れるからね)
臨也は探知機で誰もいないことを確認すると、パンを持って立ち上がり部屋を出た。
理由は二つ。一つは、置いていく荷物の隠し場所を探すため。
そしてもう一つは、――自称殺し屋の言葉の真偽を確かめるため。
208
:
指し手の備え(2/4)修正
:2005/10/18(火) 17:23:01 ID:RB9CPqq.
(2/4)の4〜5行目
> 床に転がっている方は、剣が刺さったままだ。セーラー服を着ている彼女は、
>長い黒髪や顔立ちから、どうやら日本人らしいことが見て取れた。
↓
床に転がっている方、セーラー服を着ている彼女は、長い黒髪や顔立ちから日本人らしいことが見て取れた。
同じく(2/4)の最後から三行分
> が、残念ながら刺さりっぱなしの短剣以外は何も見つけられなかった。
> 短剣にしても、使い勝手はナイフの方が上だと判断。
> 臨也はトイレで手に付いた血を洗い流し、その場から離れた。
↓
しかし収穫は無く、臨也はトイレで手や短剣の血を洗い流し、その場から離れた。
209
:
指し手の備え(3/4)(4/4)修正
:2005/10/18(火) 17:25:53 ID:RB9CPqq.
(3/4)の14行目
>(草刈鎌の代わりにはなるかな。邪魔になったら捨てればいいし)
↓
(少し短いけど、草避けの杖程度には使えるかな。邪魔になったら捨てればいいし)
(4/4) 全文差し替え。
【D-1/公民館の外/1日目・14:55】
【折原臨也】
[状態]:上機嫌。やや疲労。
脇腹打撲。肩口・顔に軽い火傷。右腕に浅い切り傷。(全て処理済み)
[装備]:ナイフ、光の剣(柄のみ)、ライフル(残弾30発)、銀の短剣
蟲の紋章の剣、カーテン(雨具)
[道具]:探知機、ジッポーライター、禁止エリア解除機、救急箱、青酸カリ
デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
[思考]:商店街へ移動。
セルティを捜す。同盟を組める参加者を探す。人間観察(あくまで保身優先)。
ゲームからの脱出(利用できるものは利用、邪魔なものは排除)。残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す
[備考]:ジャケット下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。
ベリアルの本名を知りません。
※公民館の物置に、
・子荻のデイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
・ガユスのデイパック1(支給品一式(食料・水除く)、アイテム名と場所がマーキングされた詳細地図)
・ガユスのデイパック2(パン9食分、水2000ml、咒式用弾頭、手斧、缶詰(少し)、ミズーを撃った弾丸)
・ベリアルのデイパック(支給品一式(食料・水除く) 、風邪薬の小瓶)
及び、リボルバー(弾数ゼロ)が隠してあります。
210
:
利害の一致と利用価値 修正
:2005/10/18(火) 17:27:55 ID:RB9CPqq.
続いてこちらの修正です。
(1/7)の13行目
>「くどいぜマージョリー。このゲームは“都喰らい”と質は違うが、同じくらいに奇妙で危険だぜェ?
↓
「くどい質問をするんじゃねえよ。このゲームは“都喰らい”と質は違うが、同じくらいに奇妙で危険だぜェ?
(2/7)の2行目
>「ギャハハハハハハハッ!!どうしたってんだい、マージョリー!?
↓
「ギャハハハハハハハッ!!
一体どうしたってんだ!? 我が怒れる戦姫マージョリー・ドー!!
同じく(2/7)の12行目
>「なあマージョリー・ドー」
↓
「なあ、ちょいと聞くがよ」
状態表、臨也の項を差し替え。
【折原臨也】
[状態]:上機嫌。やや疲労。
脇腹打撲。肩口・顔に軽い火傷。右腕に浅い切り傷。(全て処理済み)
[装備]:ナイフ、光の剣(柄のみ)、銀の短剣
[道具]:探知機、ジッポーライター、禁止エリア解除機、救急箱、青酸カリ
デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
[思考]:マージョリーと共闘(利用)。
セルティを捜す。同盟を組める参加者を探す。人間観察(あくまで保身優先)。
ゲームからの脱出(利用できるものは利用、邪魔なものは排除)。残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す
[備考]:ジャケット下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。
ベリアルの本名を知りません。
>まとめ管理人さん
量が多くなってしまってすみませんが、よろしくお願いします。
211
:
◆R0w/LGL.9c
:2005/10/20(木) 17:27:52 ID:uldm.0p6
これまでの高里要の表記とその他を変更します
285:犠牲が出た時点で幸福ではない
「兄ちゃん上着貰うぜ」
↓
「坊ちゃん上着貰うぜ」
321:紅白怪我合戦!
「無理ですって。僕の服あげますから血を止めてくださいよ」
服を脱いで、上半身が肌着のシャツになる。
↓
「無理ですって。僕の服あげますから血を止めてくださいよ」
服を脱いで、上半身が肌着になる。
413:黄昏に消えしボンタ君
野菜を渡してくれた心配そうな若者が要。
↓
野菜を渡してくれた心配そうな子供が要。あたしより歳は下だろう。
212
:
◆R0w/LGL.9c
:2005/10/20(木) 17:28:41 ID:uldm.0p6
434:銃殺天使キノちゃん
声からすると男が2人、女が1人。
ボクは躊躇無く家に踏み入りました。一息で玄関から声のした部屋まで駆け抜け扉を蹴り開けます。
「うわっ!?」
「敵!?」
部屋の中には男が1人少女が1人──犬が一匹。
声は3人分したので犬が喋ったということでしょう。
シズさんの犬、陸も喋っていたから特に不思議には思いませんでした。
驚いて窓から逃げ出そうとする2人に抜き打ちの形で銃口を向けました。
指に力が──その瞬間少女がこっちを向きました。
何も写していない、虚ろな瞳。
その瞳で咄嗟に零崎人識を連想したボクは急に震えが来ました。
手の握力は急激に弱まり抜き打ちで下から上に跳ね上げていた銃は手から離れ、天井に叩きつけられました。
「早く──!」
男が少女の手を引きます。
↓
声はどれも幼い感じのする響きです。
ボクは躊躇無く家に踏み入りました。一息で玄関から声のした部屋まで駆け抜け扉を蹴り開けます。
「うわっ!?」
「敵!?」
部屋の中には少年が1人少女が1人──犬が一匹。
声は3人分したので犬が喋ったということでしょう。
シズさんの犬、陸も喋っていたから特に不思議には思いませんでした。
驚いて窓から逃げ出そうとする2人に抜き打ちの形で銃口を向けました。
指に力が──その瞬間少女がこっちを向きました。
何も写していない、虚ろな瞳。
その瞳で咄嗟に零崎人識を連想したボクは急に震えが来ました。
手の握力は急激に弱まり抜き打ちで下から上に跳ね上げていた銃は手から離れ、天井に叩きつけられました。
「早く──!」
少年が少女の手を引きます。
213
:
◆R0w/LGL.9c
:2005/10/20(木) 17:29:54 ID:uldm.0p6
本スレ46:悪。鬼。泡。神。そして炎。(11/11)
【宮下藤花】
[状態]:足に切り傷(処置済み)
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml) ブギーポップの衣装
[思考]:不明。(佐山についていく)
古い作品まじりですがこれらをお願いします。
214
:
Stream of Light (1/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:11:23 ID:gYkCE786
お手数ですが、以下の文にすべて差し替えをお願いします。
爽やかな青い空はいつしか暗鬱とした鈍色に染まり、自分を照らしていた暖かな陽光は容赦なく遮られた。
そのことに少し苛立ちを覚えながらも、平和島静雄は足を止めずに歩き続けていた。
(にしてもまだ痛むな。くそ、いいからさっさと治りやがれ。……やっぱりあいつは会ったら殺す。絶対殺す)
歩くたびに腹部に響く痛みをあの男への怒りで抑えつけ、さらにその怒りを痛みで打ち消す。余剰分は無理矢理“我慢”する。
怒りに囚われても、また怪我と痛みでいざというときに力が使えなくなっても、セルティを守ることは出来ない。
あの妖刀事件以降、力とそれに伴った感情をある程度制御出来るようになっていたのが幸運だった。
“暴力”ではなく“力”でなければ、彼女を守ることは出来ない。
(……っと。禁止エリアか。面倒くせぇ)
足を止めることなく地図を確認すると、ここからすぐ東が立ち入り禁止になっていることに気づいた。
動きがとりづらい森には入りたくなかったので、そのまま進路を南東へと変更する。
周囲の平原は見晴らしがよく障害物がないため、誰かが──それこそセルティがいてもすぐにわかる。
もちろんゲームに乗っている者に見つかりやすくなるというデメリットもあるが、そんなことは気にしなかった。
「……あれは」
そのまましばらく行くと、広い砂浜と海が目に入った。空の色を映した黒い波が打ち寄せている。
場違いな程穏やかな波音が耳に響き、これまた場違いな程優しい潮風が腹部の傷口を撫でた。
これだけなら足を止めることもなく通り過ぎたのだが──見覚えのある人間が、砂浜に横たわっているのが見えていた。
215
:
Stream of Light (2/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:13:14 ID:gYkCE786
(朝に城で別れた子だったか? ……名前も聞いてなかったな)
白砂に足を踏み入れ近づくと、目を見開いたまま倒れている黒髪の少女の顔がはっきりと見て取れた。──死んでいる。
臨也と遭遇した後出会った一行にいた少女だった。別れる時に少し言葉を交しただけで、名前すら知らない。
それでも少し前まで隣にいた人間がこうもあっさり死体に変わると、あまりいい気分にはなれない。
膝をついて手を伸ばし、見開かれた瞼をそっと閉じさせる。指に涙で濡れた頬の感触が残った。
(こっちは……さすがに二連続で顔見知りじゃないか)
少女の隣には、赤毛──だが先程の男とはまったくの別人が倒れていた。
髪とその影に隠れて表情は見えないが、生気はまったく感じられない。
「……ん?」
ふと視線を感じて辺りを見回すと、砂浜に座り込んでいる人影が目に映った。
セーラー服に身を包んだ、高校生くらいのお下げの少女。怯えと絶望の色を滲ませた瞳でこちらを見つめている。
その目に多少の苛立ちを感じながらも、無視して通り過ぎるわけにもいかず、立ち上がって近づいていく。
「おい──あ」
声を掛け、座り込んだままの少女に向けて手をさしのべようとして──左肩に奇妙な感覚が走った。
そちらに目をやると、手を下げるために右肩だけ傾けたせいか、先程の戦闘でデイパックに開けられていた穴から小物類がこぼれ落ちていくのが見えた。
方位磁石や時計などが砂浜へと沈むのが見え、さらにあの赤毛の笑みが思い出され、舌打ちする。
しかし落ちたものを回収するよりも少女への対応が先だと判断し、視線を彼女の方へと戻した。
「……?」
そしてふたたび手を伸ばそうとして──しかし一変した少女の様子を見て動きを止める。
少女はこちらを見向きもせずに、ただ目を見開いて砂浜を見つめていた。
──正確には、その砂浜に落ちた自分の支給品であるロザリオを。
216
:
Stream of Light (3/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:13:57 ID:gYkCE786
気がつけば、人が大勢集められた場所にいた。
気がつけば、そこで人が二人死んでいた。
気がつけば、砂浜にいた。
そこに常に支えてくれていた従姉の姿はなく。
そこに常に助けてくれていた幼馴染の温もりはなく。
そこに常にそばにいてくれた“姉”の笑顔はなく。
そしてそこに常にあった、彼女からもらい、一度突き返し、そしてまた戻ってきたものはない。
──ゆえに、絶望した。
そしてあっけなく、死んだ。
「れい、ちゃ……」
白い砂浜に映える深緑の石。
それを繋げた鎖の先にあるのは、十字架とそれに張り付けられている男を象った細工。
目に焼き付いていたそのロザリオに、由乃はおそるおそる手を伸ばした。
「……っ」
しかしその指は十字架に触れることなく、地面の砂を掻く。
それに納得できず砂に沈んだ指を上げ、ふたたび触れようとして、また砂に沈む。
まるで穴を掘るように、それを何度も繰り返す。
両手ですくい取ろうとして、石をつまみ上げようとして、鎖を手にかけようとして、何度も何度も砂を掻く。
「う……ぁっ……」
十字架の中央に第一関節まで潜り込ませたところで、やっと指が理解して止まる。
もう、自分は死んでいる。この身体は所詮仮初のものにすぎない。
もう二度と、彼女には会えない。
言葉を交すことも、姿を見ることも出来ない。
そのことを改めて痛感し──それでも、悲しみ以外の感情が浮かんでくることに気づいた。
217
:
Stream of Light (4/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:15:12 ID:gYkCE786
「……令ちゃん」
涙を拭い、じっとロザリオを見つめる。
彼女と同じくもう二度と見ることが出来ないと思っていたそれが、確かに目の前にあった。
彼女のいない世界に放り込まれた自分が唯一の拠り所にしようとして──そしてどこにも見つからなかったものが、今こうしてここに戻ってきた。
……どうしようもない暗闇の中に、光がひとすじさしたような。
まるで彼女自身が助けに来てくれて、手をさしのべてくれたような──そんな感覚があった。
たとえ触れることが出来なくとも、その救いは確かに目の前にあった。
それだけで、十分だった。
「……」
ふたたび溢れた涙が地面に落ちる。
砂を濡らすことはなく、染みは出来ない。涙すらも世界に拒絶される。
もう何かに触れることは出来ない。誰かを助けることも出来ない。
(……でも、まだ令ちゃんに伝えたいことがある。
祐巳さん達に、言いたいことがある。それまで消えることなんて出来ない)
まだ、誰かに言葉を託せる口がある。
彼女に伝える言葉を届けることが出来る、友人達が生きている。
そして彼女達を捜すことが出来る、歩ける足がある。
──まだ、誰かに助けを求めることが出来る。
(しょぼくれてる私なんて、らしくないよね)
そしてまた涙を拭い、拳を握りしめた。
──先手必勝。受けより攻め。いつもイケイケ、青信号。
それでこそ、“令ちゃんの由乃”なのだから。
「……よし」
小さく呟いて顔を上げる。
目の前には、細身でかなり背の高い男がいた。おそらく彼の支給品として、このロザリオが与えられたのだろう。
彼はあっけにとられた表情で、こちらへとさしのべた手を所在なさげに下ろしている。
……彼がどんな人かはわからない。ゲームに乗っていない者とは限らない。
それでもキーリとハーヴェイが死んでしまった今、頼れるのはもう目の前にいる男しかいない。
大きく息を吸い、叫ぶように訴えた。
「お願いします! どうか助けてください!」
218
:
Stream of Light (5/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:16:04 ID:gYkCE786
「じゃあ、この三人のうちの誰かを見つけて伝言を届ければいいのか?」
「はい。でも、出来ればやっぱり自分の口から伝えたいから……大丈夫です、邪魔にはなりません。触れられないから」
少し寂しそうに、少女──島津由乃が言った。
その言葉通り彼女の名簿を指す指の先が、少し紙を突き抜けているのが見える。
少女がロザリオを見て泣き出し──かと思えば何かを決意した表情になり、そしてこちらに助けを求めた後。
真摯な態度で事情を説明し始める彼女を無視することは出来ず、静雄は立ったまま彼女の話を聞いていた。
彼女の話の節々でやや怒りを覚えることはあったが、抑えられる程度だった。
──まだ生き残っている知り合いに、元の場所にいた親友宛の言葉を伝えてもらいたい。
要約するとこうだ。それと別の死者から伝えられた伝言も、当人達に会えたら伝えたいとのことだった。
(遺言か……)
自分には無縁の言葉だと思う。
本当に死の間際になった場合、もしかしたらセルティや家族には何か言っておきたいと思うかもしれないが──今はまったく想像できなかった。
そもそもこうやって誰かと関わり合う──しかも頼られるということ自体が自分にはほとんどない。
仕事や数少ない友人からの依頼を除けば、“お願い”されることなど何年ぶりになるか。
「ただ、ついていかせてもらえるだけでいいんです。
それでもし間に合わなかったら──十七時になって私が消えてしまったら、今言った人達に伝言を届けて欲しいんです。
……あ、私壁をすり抜けられるから、きっと役に立つと思います! 刻印もないから禁止エリアも大丈夫だと思うし、だから……」
切羽詰まった口調で、少女は必死に助けを求める。
未だかつて向けられたことのなかった真剣な眼差しに、少し戸惑う。
219
:
Stream of Light (6/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:17:49 ID:gYkCE786
(……確かに、“邪魔”にはならないな)
由乃の依頼を受けても、セルティ捜索の支障にはならない。
彼女のいる場所の心当たりはないため、明確な目的地はない。ついでの捜し人が数人増えたところで特に問題はない。
それに彼女は肉体を持っていないため、戦闘に巻き込まれたとしても守る必要はない。
……逆に、傷つけるおそれがないとも言える。
確かにある程度の力の制御は出来るが、何かの拍子に怒りに囚われてしまった場合は少し自信がない
そう言う意味でも、彼女はそばにいてもいい人物と言える。
「……伝言の方は、会えてもうまく伝えられるかどうか保証できねえが、ついてくるだけなら──」
「あ、ありがとうございます!」
言い終わる前に思い切り頭を下げられた。反応に困る。
とりあえず名簿をしまって地図を取り出し、明確に捜索場所を決めることにする。
本当は単純に道なりに行くつもりだったが、同行者が出来てしまったため適当に行動するのは気が引けた。
(北東に進むと港町。真北には市街地があるが……森を突っ切ることになるか)
樹木は槍で払えばいいが、森歩き自体に慣れていないため時間が浪費される。
どうせ行くならば、港町を訪れた後に西に進むルートの方がいいだろう。
(北西には商店街とビルか。建物が密集してる。人が集まりそうな場所だな)
それに、この周辺は平地が多い。
もしかしたら、地図に書かれていない何か他の建物があるかもしれない。
(で、西には学校と公民館と……遊園地? 趣味悪ぃな)
派手すぎて誰も近寄らない気がする。
だが他の二つ──特に最西端に位置する公民館などは、怪我人や戦えない者が隠れている可能性がある。
220
:
Stream of Light (7/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:18:44 ID:gYkCE786
(まあ、これくらいか? ……いや、もう一つあったか)
──南の城。
部屋の数が多く、何より目立つ。遊園地と同じくやや派手すぎる感はあるが。
自分が立ち去ってから誰かが入った──あるいは入る可能性は十分にある。
(港町、商店街周辺、公民館周辺、城。とりあえずはこの四つか)
候補を絞り、鉛筆で適当に地図に丸をつける。
そしてこちらを不安そうに見つめていた由乃に地図を見せ、話を振った。
「とりあえずはこの四つのどれかに当たるつもりだが──どうする?」
「え? えっと……」
問われると、由乃は眉を寄せて考え込み始めた。
真剣な眼差しで地図を睨んでいる。本当にその友人達と、ここにはいない親友のことが大切なのだろう。
しばらく経った後、彼女はおずおずと口を開いた。
「それじゃあ、ここに────」
221
:
Stream of Light (8/8)
◆l8jfhXC/BA
:2005/10/25(火) 19:20:02 ID:gYkCE786
【F-6/砂浜/1日目・14:20】
【平和島静雄】
[状態]:下腹部に二箇所刺傷(未貫通・止血済)
[装備]:神鉄如意
[道具]:デイパック(切り裂かれて小さな穴が空いている、支給品一式・パン6食分・水2000ml)
[思考]:捜索場所を決める。由乃に付き合う。
セルティを捜し守る。クレアを見つけ次第殺害。
[備考]:由乃・クルツの伝言内容をすべて聞きました。
【島津由乃】
[状態]:すでに死亡、仮の人の姿(1日目・17:00に消滅予定)、刻印は消えている
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:捜索場所を決める。静雄についていく。
支倉令への言葉を誰か(祐巳・志摩子が理想)に伝え、生き残って令に届けてもらう。
宗介・テッサ・かなめにクルツからの伝言を伝える
[備考]:恨みの気持ちが強くなると、怨霊になる可能性あり
【ハーヴェイ】
[状態]:気絶。脱水状態。左腕大破(完治には数時間必要)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:ウルペンの殺害
[備考]:服が自分の血で汚れてます。
※ハーヴェイはこの後「431:雨葬」に続きます。
※周囲にドゥリンダルテ、由乃のロザリオ、キーリのデイパック(支給品一式)
静雄の支給品(方位磁石、時計等の一部の小物)、Eマグが落ちています(Eマグは431話で回収されるため拾得不可)
222
:
◆jxdE9Tp2Eo
:2005/10/26(水) 00:49:31 ID:bRhAgbFo
本スレ123に追加
メフィストの腕の中にはテッサの死体が収まっていた。
「諸君、それぞれの信じる神の元に祈りの言葉をお願いする」
その遺体を見てダナティアは首をかしげる
毛布に隠れていたので分からなかったが、その死体には左腕がなかったのである。
「先生、まさか?」
「死者への冒涜と私をなじるかね?、だが彼の左腕を復元するにはこれしか方法はなかった
聞けば彼と彼女は堅い主従の仲で結ばれていたという、ゆえに彼女の腕は彼の助けになると私は判断したのでね
軽率であったのならば、もはや取り返しはつかないが、謝罪しよう」
「いえ、そんな…」
メフィストの顔を直視できず、顔を伏せるダナティア。
「彼女もきっと彼の役に立てて本望だと思いますわ」
ありがとう、それだけをメフィストは口にする。
「あいつどうするんだろう…これから」
終の言葉に、振り向かず答えるメフィスト。
「多分、次にあう時は敵だろうな」
本スレ128に追加
「いこう、宗介」
宗介を促すかなめだが、あることにようやく気がついた。
「宗介、その手…」
「ああ」
今の彼の左腕、何度も見覚えのあるその腕は彼の上官、テレサ・テスタロッサのものだった。
いかなる経緯をたどって、それが今失った彼の左腕の代わりとなっているのかは、彼にはわからない。
だが、もう今となってはどうでもいいことだ。
(大佐殿、あなたにもらったこの腕で俺は千鳥を守っていきます、だから力をお貸しください)
223
:
◆jxdE9Tp2Eo
:2005/10/26(水) 01:19:47 ID:/omT2fMs
本スレ128のみに追加
「いこう、宗介」
宗介を促すかなめだが、あることにようやく気がついた。
「宗介、その手…」
「ああ」
傷口の処理は完璧だったが、今の彼には左腕が欠損していた。
それを知ってかなめは、より近く深く、宗介へと擦り寄る。
「大丈夫…私が宗介の左腕になってあげるから」
「左腕だけじゃすまないかもしれないぞ」
「右腕がなくなったら右腕になる、足がなくなったら足になるから
そしたらいつか、私は宗介の全部になれるかもしれない」
「し、しかしだな、気持ちは嬉しいが移植には色々と面倒がつきまとう、それに」
かなめの言わんとしてる意味が何か、宗介にもわかってはいる。
だが、どう応じていいか分からないのだろう、
かなめはそんな宗介の不器用さが愛しく思えて仕方がなかった。
224
:
red tint(1/10)
◆jxdE9Tp2Eo
:2005/10/26(水) 18:31:31 ID:BAIQk6pw
「ここは?」
相良宗介の目覚めた場所、そこは所狭しと機械が並ぶブリッジ。
「軍曹、何を寝ぼけている!軍曹!」
自分を叱り飛ばす声に顔を上げると、そこにいたのは彼が最も苦手とする上官、マデューカス中佐だ。
「はっ!失礼いたしました、中佐殿!、妙な夢をみていたのであります!」
すばやく直立不動の姿勢をとる宗介。
「奇妙な夢、詳しく言ってみろ!」
「はっ!自分と大佐殿、以下ウェーバー軍曹らを含む一行が拉致…」
「そこはいい、最近の出来事を述べよ」
「はっ!正午頃謎の女性と遭遇、千鳥かなめを人質にとられ戦闘を強要された次第であります!」
「その女性は何者かね?」
「名は不明、ですが非常に美しい姿をしており、また奇怪な力を使うようであります!
身体的な特徴は長い髪で顔の半分を隠している、その程度です」
そこで黙り込むマデューカス。
「そうか、で君は、むざむざその女の要求を飲んだのかね?」
「お言葉ながら人質を取られており、ご存知であることを前提に申し上げますが
非常に特殊な状況下ゆえ、一時従うことが最善と判断いたした次第であります!」
「して、場所はどこかね?」
「それは…」
そこで宗介の視界が大きくぐらつく、床が揺れているようだ。
「今のは攻撃ではありませんか?中佐殿」
「話を逸らすな!続けたまえ!」
改めて姿勢を正しながらも宗介は妙な気分になっていた、この僅かな違和感は何だ。
それに…あの数々の出来事が夢だったとはやはりまだ考えづらい…。
「失礼ながら申し上げます!大佐殿はどちらに行かれたのでありますか?」
恐る恐るの質問、そのときまた大きな揺れ。
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red tint(2/10)
◆jxdE9Tp2Eo
:2005/10/26(水) 18:32:53 ID:BAIQk6pw
「大佐は現在別任務に就いている」
別任務?いや自分の知りうる限りこの状況でそれはありえない…。
それに考えてみれば何故中佐は自分の夢の中身を知っているのだ?
その時また大きな揺れ、そして不意に別の光景が目の前に開けた。
「おい!せんせー!せんせーってばよ!」
「何かね?治療中は邪魔をするなと」
「いいから外見ろよ!」
終の言葉に窓の外を見るメフィスト、周囲の風景が動いている。
「ほう…山が動いてるな」
「違う!動いてるのは山じゃない!病院だよ!雨でぬかるんで地滑りを起こしてるんだ!」
終の声と同時に建物が急速に軋みだす。
「この肝心な時に」
催眠術による尋問も佳境に入りつつあるところで何たることか。
「君は志摩子くんらを頼む、私は…」
しかしその時ベッドの上の宗介が目を開く、
(目覚めたか!いかに私の力が弱体化されてるとはいえ、なんという精神力の持ち主だ!)
だが、動揺するメフィストではない、宗介の確保を素早く行おうとするが、
床が傾き、そちらに注意が向いてしまう。
その隙に宗介は窓から外へと飛び出してしまっていた。
(逃走を選ぶか!判断力も一流だな、潜在能力は京也くんらと同じレベルと見た)
もちろんメフィストの技量ならばこの状況でも確保は容易い、だがそうはしなかった、かわりに、
「千鳥かなめを救い出したいのならば自分の心を偽るな!何が起きてもただありのままの心をもって
彼女の全てを受け入れたまえ!」
そう声をかけると、メフィストは病院内へと戻っていき、それから数分後、病院は山肌もろとも粉砕されたのだった。。
「大丈夫かね?」
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red tint(3/10)
◆jxdE9Tp2Eo
:2005/10/26(水) 18:33:55 ID:BAIQk6pw
病院のガレキを軽く押しのけながらメフィストが難を逃れた志摩子らに声をかける。
「私たちは大丈夫です、でも終さんが」
「あたくしたちをかばおうとして、そしたら目の前で転んでそのまま土砂の下敷きになってしまったんですの」
「なるほど…」
まったく世話が焼ける…そういう顔のメフィストは聴診器を取り出し土砂に当てる。
「あの少年は非常に頑健な肉体を持っている、この程度なら平気だろうが…」
聴診器を当てた位置からしばらく歩いた地点を指差すメフィスト、
「あの場所だ」
みると地面が僅かに盛り上がっている、そしてしばらくたつと、泥まみれの姿で這い出してくる終。
「おい医者!場所がわかってるんならちったあ手伝ってくれよ!」
「医者として君の生命力を信じたまでだ、必要以上に治療を行わないのも医者の条件の一つでね」
「この…」
藪医者だなんていえない。
「それに自力で逃げられる者はまだいい、彼女はもはや動くことも叶わない」
メフィストの腕の中にはテッサの死体が収まっていた。
「諸君、それぞれの信じる神の元に祈りの言葉をお願いする」
テッサの埋葬を済ませた一同、
「とりあえず雨風の凌げる場所にいきませんか?」
志摩子の提案に頷く一同、それに泥まみれの終の服も調達せねばならない。
「あの…ドクター」
そうだ、伝えなけれならないことはたくさんある、しかしダナティアの言葉をさえぎるメフィスト。
「すまないが後にしてくれないかね、我々には片付けねばならぬことが多すぎる、それに会わねばならぬ者もいてね
せめて6時まで待ってくれないだろうか?」
口調はやわらかいが、断固とした意思の表示だった。
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red tint(4/10)
◆jxdE9Tp2Eo
:2005/10/26(水) 18:34:40 ID:BAIQk6pw
口をつぐむダナティア、だが何としてもこの医師を自分の陣営に引き込まねば…彼ほどの逸材を自分の傍らに置ければ、
それは百万の味方を得たにも等しい。
まして分散の愚を犯したがゆえに、彼女はむざむざ仲間を失ったのだ。
同じ轍は踏まぬ、そう考えながら雨の中を歩くダナティアだった。
一方のメフィストも険しい表情を見せている。
(あの女、相変わらず不可解極まりない…まるで1人の戦士を育てているようなものだというのに)
「夢では…なかったのだな、俺としたことが」
ずぶぬれになりながらさ迷う宗介、窮地を脱出したとはいえ…もう彼に気力は残されていなかった。
(首を5つじゃ)
美姫の言葉が冷たく響く…もう間に合わない。
いや…まだ手はある、最後の手段が…
「生きていてくれさえすれば…俺はそれだけで」
いつしか雨はやみ、そして濃霧が周囲を包む中、宗介は教会へと向かっていた、が。
教会周辺の草むらには明らかに何者かが通りった新しい足跡があった。
(そんなっ!)
心配が焦りへと変わる中、道を急ぐ宗介、墓地を通り抜けると教会がある。
あの女と出会った祭壇の背後には階段があったはず、おそらくあの教会に通じているはずだ。
教会の中は凄まじい戦いの痕跡があった、床には見知らぬ少年の死体が転がっている。
その奥には眼光鋭い長髪の戦士が立っていたが、何かを言い含められていたのか
黙って道をあける。
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