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尚六幾星霜

38「人を模した神獣」8:2018/02/16(金) 23:33:41
関弓山中腹の禁門前に、王の乗る騶虞と宰輔の乗る使令が並んで降り立った。
門番達は戸惑いながら王と宰輔を出迎えた。主従が揃って出奔する時は、大抵長らく帰って来ない。それなのに半日も経たずに戻ったのは、彼らにとって想定外の出来事だった。
ひらりと騎獣から降りた王は、厩舎に戻せ、と騶虞の手綱を下官に預ける。
使令の背から降りた宰輔をちらりと振り返り「ついて来い」と淡白な口調で言うと、王はさっさと歩き出した。
宰輔である少年は、珍しく何も口答えせずに王の後ろに従った。

二人の姿が門をくぐって遠ざかり、禁門の大きな扉が再び閉ざされると、門番達は顔を見合わせた。
主従の間に流れる空気が、明らかにいつもと違っていた。普段二人で出奔した時は、互いに悪態をついたり軽口を叩き合いながらも満足そうに戻って来るのに。
あまり感情の起伏を表に出さない王はともかく、妙におとなしい宰輔の様子が特に気になった。
宰輔の身に何かがあって急遽戻ってきたのだろうか、と話し合ってみたものの、特に体調が悪そうにも見えなかったから違うのかもしれない。
真実がどうであれ、主従の側仕えでもない彼らにはそれ以上のことは分からず、ただ顔を見合わせて首を捻った。


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