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尚六幾星霜

183「幾星霜を経て」25:2019/04/10(水) 20:08:44
尚隆の唇と舌の動きに今度こそ六太は応じようとした。口づけは深くなり、触れ合うだけになり、合間の息継ぎでは吐息が混じり合う。角度を変えて、また奥深くまで。
長い口づけの間にも尚隆の手は動いて、六太の身につけていたものは剥がされていく。六太は緊張したが、目を瞑ったまま抗わなかった。上から下まで全て脱がされてから、やっと唇が離れた。
尚隆は少しだけ身を起こし、自分も帯を解いて、唯一着ていた薄物を素早く脱ぎ捨てた。その間、彼の視線は六太の顔から足の先までを確認するように動いた。改めて見られるのは気恥ずかしくて、あまり見ないでほしい、と六太は思う。
尚隆は再び六太の顔に視線を戻し、ふと笑った。
「ちゃんと反応しているな」
言いながら、彼の手は下のほうに伸びていき、暖かい手が包むように六太の中心に触れた。そこが熱くなっているのは先程から自覚していたが、条件反射的に身体が強張ってしまい、六太はぎゅっと目を瞑った。
「六太」
優しい声に名を呼ばれ、瞼に唇を落とされた。六太が目を開けると、尚隆は安心させるように頷いた。
「––––大丈夫だから、楽にしていろ」
そんなの無理だよ、と六太は思ったが、なんとか頷き返した。
六太のものは尚隆の手に柔く握られて、緩やかに上下に動かされた。
「あ……」
びくっとして腰を引きそうになったが、あいにく動く余地がなかった。
徐々に、だが確実に、尚隆の手の動きは速さを増して、六太の身体は血液の温度が上昇したかのように熱くなっていく。
「ん……や……まだ、待って……」
全身が熱いのに背筋がぞくぞくして、頭の中では真っ白な何かが明滅している。五感がどこかで狂ってしまったんだと思った。
「あ、あ……、だめ、やだ……変だよ」
未経験の感覚が不安で不安で、何かに縋りたくて、尚隆の首筋に両腕を回してしがみついた。
「大丈夫だ、六太」
耳元で囁かれ、頭を撫でられる。それでも不安は消えなくて、六太はしがみついたままかぶりを振った。
「やだ、怖い……尚隆……!」
上擦った声で訴えても、尚隆の手は止まってくれない。
「怖くない、大丈夫だ」
「でも、あ……ん、やっ……」
優しい声とは裏腹に、尚隆の手は容赦がない。緩急をつけた刺激を与えられ続け、熱くて、ぞくぞくして、痺れて、六太はただひたすら翻弄される。
「もう出していい。––––俺の手に出せ、六太」
出せと言われても、どうすればいいか分からない。だが限界まで張り詰めていたものは、六太の意志とは無関係に弾けた。
「やっ……あぁぁ、あ……んん……」
尚隆の手の中に精を放つのと同時に、信じられないような嬌声が六太の口からほとばしった。
一箇所に集まっていた血が一気に逆流したように、全身に震えが駆け抜けて、六太は尚隆に夢中でしがみついた。嵐のような感覚が過ぎ去ると、全身から力が抜けた。
しがみついていた腕を離して、六太は脱力した身体を褥の上に預ける。乱れた呼吸を整えようと、ゆっくり息を吸って吐いた。
虚脱状態の六太の頭を尚隆は左手で柔らかく撫で、唇に軽い口づけを落とす。
「出したのは初めてか?」
尚隆に問われたが、少し冷静になると、完全に我を忘れてしまった自分が恥ずかしい。六太は視線を逸らしてから頷いた。
「……うん」
「気持ち良かったろう」
「え……よく、分かんない……」
「分からないか?」
尚隆は軽く首を傾けると目を細めて、ふっと小さな笑い声を漏らした。
「––––その割に、随分といい声を出していたな」
六太は耳まで熱くなって、尚隆を睨んだ。
尚隆はなんだか嬉しそうだが、そんなこと言わないでほしい。あんな声が自分から出ると思わなかったから、六太は今ものすごく恥ずかしいのに。
先程のあれは、六太が初めて経験した性の快楽というものだろうか。だが理性を吹き飛ばされるような激しく強烈な感覚に、今はただ戸惑っていた。


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