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【尚六】ケータイSS【広達etc.】

428「青眼 〜前〜」9/12:2008/08/22(金) 18:57:52
 明けて翌早朝、桓堆は最悪の体調と機嫌のまま護衛の任務に赴いた。
 結局、昨日は黄昏時に同室の黎阮が戻って来るまで、麦侯相手の有らぬ妄想
を種に散々自慰行為を重ねてしまった。あんなに幾度も続けてした事など十代
の頃でも終ぞ無かった様な気がするが、主の細い指が自分のものにそっと絡ん
だり、薄い唇の隙間からちろりと出した桃色の舌先で淫らに舐め上げられたり
する情景を思い浮かべるだけで、達したばかりの自身は直ぐにその力を取り戻
した。挙げ句、自分の腕の中で有られも無く喘ぎ声を上げる主の姿までが鮮明
に浮かんでしまい、桓堆は自らの想像力の逞しさに思わず苦笑していた。
 しかし、それでも彼の鬱屈した思いは中々収まらず、心配する黎阮を無理矢
理引き摺って宵の街へ繰り出し、日付が変わる頃まで浴びる様に深酒をしてか
ら、漸く兵舎に戻って少しだけ眠る事が出来た。お蔭で無理に付き合わされた
黎阮の方も、寝不足と宿酔の為、相当に苛ついている様だった。
「……お前に何があったかなんて、正直どうでもいいし知りたくも無いがな、
もし今日、何か事が起こって俺がへまをやらかしたり、それが元で死んだりし
たら、全部お前の責任だからな。良く憶えておけよ」
 そう呟きつつ山吹色の瞳──昼間は瞳孔が三日月の様に細くなっている──
で睨んできた黎阮に、桓堆は思わず口許を歪めて微笑った。
「ああ、分かっているさ……その時は俺も一緒に死んでやるから安心しろ」
 その言葉にほんの僅か眉根を寄せた黎阮は、一瞬もの言いたげな視線を投げ
てから己の馬首を巡らせ、歩兵の部下達と斥候の任務に当たる為、一足先に出
発して行った。

 この日、近郊の郷城まで運ぶ荷駄は大型の駟──四頭立ての馬車──で五台
分。広い荷台に山と積まれた麻袋の中身は大量の米や大豆、雑穀類である。先
代の比王が登遐してから既に二十年以上続く空位の時代にあってなお、これだ
けの収穫を得る事が出来、且つ何とか持ち堪えられているのも、偏に麦侯の指
揮した治水事業や減税策が効を奏しているからに他ならない。


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