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【尚六】ケータイSS【広達etc.】

419「夕陰 〜蛇足〜」8/8:2008/08/12(火) 21:44:28
 快感に潤む眼を僅かに見開くと、直ぐ目の前に月色を反射して光る、ほんの
少し眇められた瞳があり、浩瀚はまるで魅入られた様に動けなくなった。
「──これからは毎日、そう感じさせて差し上げますよ……この俺がね」
 そう囁かれ貪る様に口付けられる。同時に桓堆の身体の動きが速くなった。
「ぁあっ、……ん、っう……ああぁっ──!」
 一息に絶頂まで追い立てられる。弾ける様な吐精の瞬間、浩瀚は瞼の奥に、
おそらく訪れる事の無い未来の幻を見た気がした。

 ゆるゆると瞼を持ち上げると、目の前には少し心配そうな桓堆の貌があり、
浩瀚は見守られていた事に心底安堵して、柔らかく微笑んだ。
 丁度、月明かりが牀榻の中に真っ直ぐ射し込み、灯火が無くとも桓堆の表情
が分かる。青白い双眸が月光を反射し、きらりと煌めいた。
「……綺麗な瞳だ……」
 そう囁いて精悍な頬に触れると、桓堆がふわりと目許を和ませ呟いた。
「……二度目ですね」
「──え?」
「貴方が俺の眼を綺麗だと誉めて下さるのは、これで二度目なんですよ……最
初はいつだったか、憶えておいでですか?」
 浩瀚は暫く考えてみたが、どうしても思い出せなかった。
「すまない……」
 素直に謝ると、笑いながら優しく抱き締められる。
「謝らなくて良いんですよ。俺だけが憶えていればいい事なんですから……」
「だが、私も知りたい。──その時の自分の気持ちを、思い出したいんだ」
 自分を見つめる真摯な眼差しに、桓堆も静かに答えた。
「……長い話ですが、構いませんか?」
 浩瀚は無言で頷く。夜明けまで、時間はまだ充分に残されていた。

 〈了〉

  *   *   *

つー訳で、次回はクマの思い出話です
桓浩なんて超マイナーカプ誰も読みたくないだろうとは思いますが
もう少々書き手のシュミにお付き合い頂ければ幸いに存じます…


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