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尚六SS「永遠の行方」
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「しかし、そうすると拙官を含めてどう対処すれば良いのでしょう。見通しが立たないの
に根拠なく励ましても説得力に欠けますし、かと言って主上のおっしゃることに迎合して
も悪い事態になりそうです」
「さよう、やたらと励ましても逆効果でしょうな。しかしここはとにかくお心を語ってい
ただけるように努力するしかありますまい。口に出せば、それだけで気が晴れるというこ
ともあります」
「いたずらに迎合せず、かと言って頭から否定もせず、ですか。難しいですねえ」朱衡は
嘆声を漏らした。
「――そう。たとえば台輔が心から主上を信頼しておられたとか、そういう心情がわかる
証言でもあれば良かったのですが」
「信頼?」
「台輔なりのお考えあってのこととはいえ、主上に何の言伝もなかったのは非常にまずい
やりかたでしたからな」
自分を見捨ててほしいとの六太の伝言は、極論すれば王にも官にも解決できないと、彼
らを役立たずだと言ったも同然だった。むろん皆が気に病まないようにとの配慮によるこ
とはわかっている。しかしあれはむしろ、何年かかろうと呪を解いてくれると信じている
とでも伝えるべきだった。それなら信頼に応えるべく歯を食いしばって粘り強く解決に当
たれるし、何より伝言自体が心の支えになる。
しかし肝心の六太が諦めてしまっていては。麒麟なしでも主君の治世に何の陰りもない
との確信が、彼にとって王や諸官に対する究極の信頼のつもりだったとしても。
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