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十二国記SS「† 夜に別れを †」

7名無しさん:2004/08/18(水) 00:49
 月渓は呆然としながら、突然現れて自分をひたむきに見つめている獣を見た。
これはどういうことなのだろう。幼い麒麟といえば蓬山公である峯麒としか考え
られない。しかしそんな幼い麒麟を蓬山の女仙たちが外に出すわけはない。ならば
なぜ目の前にこのような神々しい獣がいるのだろう。
 そこまで考えて月渓は自分がとんでもない無礼を働いていることに気づいた。
自分は今、神獣を目の前にしているのだ。月渓は慌てて獣の足元に額づいた。
「こ、これはご無礼つかまつりました。あまりに突然のお越しゆえ・・」
 そんな月渓に峯麒は鼻づらを摺り寄せるようにして言った。
「いいえ、そんなこと・・頭を上げてくださらないと困ります。さあ、立ち上がっ
てください」
 峯麒は鼻づらで押すようにして月渓を促した。そして月渓が立ち上がるがはやいか、
今度は獣のほうが月渓の足元に額づいた。
 その様子を期待を込めて凝視していた人々に幸せなどよめきが流れた。今、自分
たちはこの国の歴史の、最も重大で喜ばしい瞬間に立ち会おうとしているのだ。


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