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十二国記SS「† 夜に別れを †」

42名無しさん:2004/08/26(木) 03:12
自分に王たる資格と資質がもしあったなら、と月渓は夢想せずにはおれなかっ
た。もしそうなら、自分は峯麒を迫害などしなかっただろう。彼が飛来したその
日から大切に扱い、今もいつもつきることなく溢れ出ている峯麒への情愛を遠慮
なく表現することができただろう。あの氾王のように麒麟の鬣を撫でて、主従で
満ち足りた時を過ごせたことだろう。
 しかし月渓は自分に王たる資格も資質もないと知っていた。尊敬し敬愛してい
た前王、それに氾王。今日、氾王に接してみて、前王や氾王にはあって、自分に
はない何か、その存在をまざまざと認めないわけにはいかなかった。上手く言葉
では表現できない何か。それが自分には明らかに欠けている。


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