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十二国記SS「† 夜に別れを †」

30名無しさん:2004/08/22(日) 15:23
小庸は駆け寄った。
「何をなさるのです、こんな女の子に」
少女は泣きながらも、なにか透明な布を被っていてそれを脱ぎ落とすかのような
仕草をした。
何かを脱ぎ落とした少女はもはや小庸のかつての想い人ではなかった。
そこには金の髪の見たこともないほど美しい少女の姿があった。
しかし、その整いすぎた顔には月渓の蹴り上げた跡が無残にのこり赤くなってい
る。
「ひどい…。ひどいわ。どういうことなの」
こ、これは噂にきく範国の麒麟ではないかと、月渓と小庸は青ざめた。
範国の麒麟である氾麟は宝重の布を被り王宮の中を探索中に月渓に行き会ったの
である。この宝重を被ると氾麟の姿は見る者にとって好ましいものに見えるので
普通はこのような危険な目に合うことはない。それで氾麟の使令たちも油断をし
ており月渓の攻撃をかわしきれなかったのだ。
「も、申しわけありません。お許しを…」
そう言って小庸は床に額をこすりつけた。
氾麟は涙をこすりながら月渓に向かって言った。
「この布を被っていれば、私の姿は見る人にとって好ましいものにうつるはずよ。
あなたは自分の好きな人を力いっぱい蹴ったりするの? あなたってなにか
おかしいわよ!」


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