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十二国記SS「† 夜に別れを †」
29
:
名無しさん
:2004/08/22(日) 15:19
一方、下界視察から戻った月渓は、賓客たちが既に到着したと聞いて、慌てたよう
に足早に回廊を進んでいた。小庸は小庸で戻った月渓を出迎えようとやはり回廊を
走っていた。あれから料理は作りなおされ無事賓客たちの食事は済んだのだが、
彼らは「芳国に麒麟が?」とざわついていたようだった。
小庸は回廊の彼方に月渓の姿を見つけると、「月渓様」と駆け寄ろうとした。
月渓の側に少女の姿が見えた。その少女はなぜか、かつて遥か昔に小庸が想い
をかけた少女に良く似ていたので小庸はハッと足を止めた。
そのときだった。小庸は悲鳴を上げた。月渓がいつも峯麒にしているごとくに
その少女に蹴りをくらわせたのである。蹴りは見事に少女の顔面に入った。
とたんに少女は火がついたように泣き出した。最近は峯麒も巧妙になり反射神経
も鍛えられて、月渓の蹴りも顔や急所ははずれることが多かったのだが、今日の
蹴りは久々の直撃だった。
「ふん、懲りないやつめ。今日は油断したようだな」
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