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十二国記SS「† 夜に別れを †」

28名無しさん:2004/08/22(日) 02:41
「あっ。なんということを!」
女官の叫び声で峯麒は我に返った。見ればそこには女官のほかに何人かの見たこと
のない人々の姿がある。彼らはあぜんとした顔つきで峯麒を見ていた。
あぜんとするのも無理はなかっただろう。客として案内された食事のための部屋
に来てみれば、そこでは頭に布を巻いた子供ががつかつと卓上の料理をむさぼっ
ているのである。
「こら!」
女官が峯麒をつかまえようと手を伸ばした。峰麒が一瞬はやく逃げたので女官が
掴んだのは、峯麒の頭を覆う布の結び目だった。峯麒が逃げると女官の手は自然
と結び目を引く形となり、布は峯麒の頭から解け落ちた。その瞬間、峯麒の
金の髪がはらりとこぼれ出た。
 客人たちは予想もしていなかった事態に驚いた。客用であるはすの料理を
こどもが貪っているのにもびっくりしたが、そのこどもが芳国にはいるはすのない
麒麟であるとなるとなると想像の範疇を超えていた。風のような速さで部屋を逃げ
出して行く麒麟を、ただ呆然と見送るしかなかった。
 一方、峯麒は走って逃げながらも、自分の失態を悔いていた。
みっともない姿を見られてしまった。しかも麒麟であると知られてしまった。
これが芳国の麒麟であると思われたら、国の恥、月渓の恥ということになってし
まう。


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