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十二国記SS「† 夜に別れを †」

27名無しさん:2004/08/22(日) 02:37
それは懐かしい香りだった。蓬山で食べていた食事。峯麒はこの王宮で厨房
等に侵入して野菜等を盗むことはあったが、料理は盗み食いする気になれな
かった。普通の人間用の料理は麒麟には食べられないからである。しかし、この
香りは違った。慢性的な飢餓感に苛まれている峯麒はよい香りに吸い寄せられて
その部屋にしのびこんだ。
 卓の上には普通の料理と麒麟用の料理とがところ狭しと並べられていた。それ
は客人たちのために用意されたものだった。客人たちは昼食の用意ができて
いることを知らされたが、旅装からの着替えなど仕度もあるので少し遅れるから
すぐに食べられるよう準備だけしておいてくれと伝えていたのである。
しのびこんだ峯麒はそこに人の姿がないのをよいことに、料理の保温用の蓋
を開けるとがつがつと食べ始めた。懐かしい味わいが口に広がると、もう理性
も吹き飛んでしまった。峯麒はただもう本能のままに食べつづけた。


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