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十二国記SS「† 夜に別れを †」

16名無しさん:2004/08/19(木) 16:46
一方、月渓も苦しい生活を強いられていた。そもそも月渓は初めて人間形の峯麒
を見たとき、倒れそうだった。峯麒の外見はそれはもう月渓の好みのストライク
ゾーンど真ん中で、そこに直球を投げ込まれたも同然だった。ただでさえ半身
としての懐かしさから峯麒を求めている月渓にとって、これは天のあまりにも
な仕打ちといえた。ともすれば毎日頭を下げたり擦り寄ってくる峯麒を
抱きしめたくなってしまう。だがそれは芳国のために決してしてはならない
ことだった。抱きしめたい気持ちをふりはらうために、月渓はよく、峯麒を
力いっぱい蹴り上げるのだった。はやく、この自分を恨むようになり嫌いになり
よそへ行ってくれないかと思った。このままでは辛抱が切れそうだからだ。
しかしそうなったらそうなったで、心がひきちぎれんばかりの喪失感と悲しみ
を味わうであろうことはわかりきっていた。いっそ国を思うことはやめて
峯麒を受け入れ玉座をも手に入れてしまおうかと魔が差すこともあった。
その気持ちを追い払うことが日に日に難しくなってきている自分に月渓は
危機感を抱いていた。


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